13.イブの夜の真相
週末、しんごと会う約束をしていた。今日は家ではなく外で待ち合わせだ。
駅前で待っているとおおきめのカーディガンにゆるいデニム姿のしんごがやってきた。
「久しぶりだね。」
「あ、ああ。」
2週間前に帰り際に気まずい雰囲気になったため、部屋で会うのを躊躇して外に行くことを提案した。
「明日、どこか外に食べに行かない?」
「いいよ。じゃ11時に駅で。」
この日も相変わらず短いメッセージが返ってくる。昼飲みができる居酒屋に入り、焼き鳥と枝豆を注文する。
「あのさ、この前のことなんだけど……」
「何?」
別に興味がないですというようなぶっきらぼうな声で信吾が返してくる。
「ごめんね。私、そんなこと言ったなんて覚えていなくて。あの時、言った台詞はね大学時代に付き合っていた彼氏に言った言葉なの。4年付き合って就職で地元に帰るから別れようって言われた時に別れたくなくて言ったの。」
信吾はビールジョッキを持ちながら黙って私の話を聞いている。
「もう10年も前のことで未練もないし信吾に言われるまで思い出すこともなかったのに。……なんでだろう。あの雰囲気でそんな言葉聞かされたら信吾も冷めるよな、誤解しただろうなってすごく反省したしショック受けたの。だから、今日は誤解だけは解きたくて…。だから、嫌な思いさせてごめんなさい」
「……そうなんだ。」
信吾はぽつりと呟いたが、心なしか少し表情が柔らかくなった気がする。
「お待たせしました~」
店員さんが笑顔で焼き鳥の盛り合わせを持ってきてくれた。信吾はネギマとハツを自分のお皿にとって食べている。私がつくねとレバーが好きなことを知っていていつもその2つは譲ってくれるのだ。そういうさりげない優しさが嬉しかった。
そのあとはいつも通り口数が少なかったが、特に怒っている様子はなくいつもの信吾に戻っていた。
(そうだ……。なんか自分だけ気まずくなっていたけれど、信吾ってもともと自分から色々喋るタイプじゃなかった。何考えているか分からない時もあるけれど、信吾だとその沈黙も心地いいんだよな。)
会計を済ませ店を出て歩いていると信吾が足を止める。
「あ、……」
「どうしたの?」
視線の先に目をやると、信吾の好きなゲームの新作が売られていた。
「ちょっと見てもいい?」
そう言って店に入ったが見るだけでは物足りなかったようですぐにレジに向かっていた。
「この後、うち来る?ゲームやりたいんでしょ?」
「え、あ……うん。分かった?」
「うん、ゲームやろう」
(なんて分かりやすいんだろう。ゲーム以外でもこれくらい分かりやすかったらいいのに……。)
私から信吾を誘い部屋に招き入れる。
お茶を用意している間に、信吾は慣れた手つきでゲームの用意をしていた。プレゼントをもらった子どもが、いても経ってもいられずそわそわわくわくしながらコントローラーを操作しているみたいで面白かった。
「はい、お茶置いておくね」
「ん、ありがとう。」
ソファに座ろうとすると、床に座っている信吾が左手で自分の隣をトントンと叩く。
「こっち、来て」
ぶっきらぼうな言い方だけど隣に来るように言われて少しにやけながら信吾の左側に腰を下ろす。そのまま左手で私の肩を抱き寄せ、右手でコントローラーを器用に操作する信吾。
私も信吾の肩に頭を預け甘えてみた。
信吾からの体温を感じながら、ゲームの画面を見ていた。よく分からないが、設定をしているようで次々と画面が変わっていく。
すると信吾の左手が悪戯をしはじめ、服を少し引っ張ってきた。腕までずれて、肩からブラのストラップが姿をあらわした。
「あ、これ……。」
信吾はコントローラーを置き、こちらを見てにやりと笑った。
「え、ちょっと何するの?」
服の乱れを戻そうとする私の耳元に信吾の顔が近づけ囁いてきた。
「この前言ってなかったけれど、この下着クリスマスのために買ったやつでしょ?理沙そう言っていたよ」
「え…………」
驚いて動きが止まった私を見て、信吾は服を胸まで上げると黒の総レースの下着が全貌を露わにした。
「セクシーな下着だったから綺麗だねって言ったら『もしかしたらと思って新しいの買った』って。」
(クリスマスの夜、お酒に酔っていたとはいえそんなことを口走っていたなんて……)
「俺、嬉しかったんだよね。だけどその後に違う男と勘違いしているような事を言うから帰っちゃったんだよね。ねえ?この下着は誰のために買ったの?俺?それとも大学時代の彼氏?」
信吾が喋るたびに耳に息があたってゾクゾクした。そして聞かされる内容も、より私を興奮させている。
「し……信吾。この下着も、あの夜も、信吾のこと思っていた……。」
少し震える声で観念したように小さな声で言う。恥ずかしさでいっぱいだったが、ここは素直に言うべきだと思った
「良かった。今日は俺だけを見ていてね」
そう言って私を押し倒し下着越しに身体を撫でていく。昼下がりのまだ太陽の光が眩しく差し込む中、私たちは見つめ合いながら重なり合った。
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