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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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愛国 四

「南景は、何か動きがあるっぽいよ」

 と、通心紙をみんなに見せる。どこかの部屋でか、男たち映っている。服装も豪奢で、身分卑しからず。また部屋もこぎれいで、高級な調度品も置かれている。どこかの貴族の部屋のようだ。

「陽山君は、愛国心を臣下や民草に説き、それを以って帷国を治めておるが。もうこんなことは、終わらせるべきだ」

「そうだ、愛国心は確かに大事だが、無理強いするものでもない。愛国心があるかなきかを常に試し、なきとみなされた者は、ひどい仕打ちを受ける」

「先日、わずかばかりの粗相をした小姓が、毒を飲まされて自害させられたではないか。王の後ろについて歩くとき、少し咳をした程度で、『予に風邪を移す気か』と、それは愛国心がないことだと責め立て、衛兵に捕えさせ、鞭を加えた上に……」

「自害せねば一族郎党ことごとく愛国心なき謀反人として罰すると。小姓は一族郎党を守るため、涙とともに毒を飲んだ。全く、あれは、愛国心ではなく、疑心暗鬼を生ずではないか」

「その他、にわかもよおしの気まぐれで亡くなった者、数え切れぬ……」

 その男たちの会話の中に雨音も聞こえる。今この時、男たちはそんな話をしているようだし、その様を、リオンの通心紙はよく映し出していた。

「まったくすごいね、この通心紙というものは」

 貴志は感心しきりだ。源龍といえば……、

「愛国心だってよ、げろげろの、おえ~だぜ」

 と不快感をあらわにし。羅彩女も同じように、

「前に、維新がどうのという連中がいたけど、ろくでもない奴らだったねえ。なんか思い出しちゃって、気分悪いわ」

 そう、同じように不快感をあらわにした。

慶子義けいしぎ殿、いかにすれば、王の乱心は治まり、帷国は平安を取り戻せるのでしょうか?」

 男たちの視線が、慶子義と呼ばれた、三十代半ばそうな、少壮の男にそそがれる。

 この中の面々で一番背が高く、身体つきも頑丈そうで。髪は艶よく、眉も太く、目鼻立ちも逞しい。鉄甲の鎧をまとい、剣を持ち戦場を駆け抜ければ、一陣の風を吹かせられそうな武威すら感じさせる。

 他の面々が、髪に白いものが混じった初老の者が多いせいか、なおさら引き立てられて、慶子義なる者が立派に見える。

「こいつぁ、けっこうなやりてだぜ」

 源龍がぽそっとつぶやく。香澄と羅彩女は頷き。貴志とマリーにリオン、コヒョは無言で通心紙を見据える。

「ここで一番の若年ながら、文武両道に秀で、王の覚えもめでたいお方。慶子義殿のご諫言ならば、きっと聞き入れてくださりましょう」

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