愛国 二
「じゃあ僕らは何をするんだい」
「うん、そうだね」
貴志の問いにコヒョは笑顔で応える。
「僕らは異世界の、帷国って国の上にいるんだ」
「帷国……」
「そう、その帷国の国王は独善の心を起こして、民衆を虐げ、圧政を強いているんだ」
「それを、やっつけるの?」
「まあ、そういうこと」
羅彩女の答えに、リオンは笑顔で応える。
「かー、なんじゃそりゃ。一揆をしろってのか」
「まあそういうことだね。そう世界樹から聞いてるけど」
「でも……」
話を聞き、貴志は少し考えこむ仕草を見せる。
「単に悪王を倒せばいい、ってわけでもないんじゃないかな。世界樹は、単純なことをさせたりはしないだろう」
「ああ、うーん、まあそうかな」
リオンとコヒョは、貴志の鋭さに感心しつつ、言葉に詰まった。悪王を倒すため一揆に加わるのかどうか。今までのことを思えば、話はそんな単純なものではないかもしれない。
「本番はその悪王をやったあと、ってか。らしい話だな」
「まーたややっこしいことに巻き込まれた、ってわけねえ、あたしら」
源龍と羅彩女も今までのことを考えれば、それくらいの予想はつく。
「ごめんなさい、悪王を倒してからのことは、何も聞かされていないの」
申し訳なさそうに香澄は言ってから、にわかに微笑みを見せる。
「でも、何があっても乗り越えてきたじゃないの。今度も大丈夫よ」
「大丈夫ってねえ、簡単にお言いでないよ」
羅彩女は香澄の微笑みに苦笑で返す。乗り越えてきたといえば、まあそうなのだが、生きるか死ぬか、生きるも死ぬも紙一重だったのである。簡単に言ってくれると、苦笑も禁じ得ないのもやむをえなかった。
「まったく、仕方がねえな」
と言いつつ、源龍はそばに置いていた得物の打龍鞭を手に取って、掲げる。
「なんでもいいから、早く悪王のところに行けよ。こいつでおねんねさせてやっからよ」
さすが源龍は戦い慣れているだけに、目つきも鋭く、意気盛んではある。しかし他の面々は首を横に振る。
コヒョは少し慌てて諫める。
「さすがにいきなりは無理……」
「そんなら、反乱軍かなんかいねえのか」
「うん、いまそんな感じなのを探してるところ」
「探す? 悠長なことだな。ちゃちゃっと終わらせようぜ」
いかにこの面々が強くとも、帷国の都、王宮に赴き、いきなり攻め込んだとて、衆寡敵せずである。一国をひっくり返すようなことをするなら、それなりの勢力や深謀遠慮が必要なことは想像に難くない。
「悪王の暴政があれば、それを憂う、憂国の士の集まりもある。その人たちと合流出来たら……」




