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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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求める戦い、求めぬ戦い 八

「死にたいやつからかかってこい!」

 ぶうんとうなる硬鞭こうべん

 ここは戦場。風雲空を覆う。

「うおおお――ッ!!」

 硬鞭のうなりを合図にするように、くうが揺れるほどの雄叫びがあがった。

 赤い肌に赤い髪、紅い眼、頭から角を生やした異形のものたちが、大口を開けて叫びながら駆け出す。その大口から、鋭い牙が見えた。

 その太い手には、棘のある太い鋼の武具。これに打たれたらひとたまりもなく肉体は砕かれる。

 その数は、すぐには数えきれないが、百はあるかもしれなかった。

「おもしれえツラしやがって!」

 硬鞭を掲げた黒い鎧の戦士は不敵な笑みを浮かべ、駆け出す。

「君ひとりじゃ無理だよ!」

 と呼びかける声。黒き戦士とともに駆け出す書生風の青年。右手に短い槍を握り締めている。

 さらに、

「手柄を独り占めさせないわ」

 と言う柔らかな声。紫の衣をまとった少女だった。その手に握る剣の剣身には、北斗七星と同じ配列の七つの紫の珠がうめられている。

「まったくせっかちなんだから」

 今度は赤い鎧をまとった女戦士。長い黒髪をなびかせて駆け。その手には、軟鞭なんべん

 この、たった四人は、百はあろうかという鬼の軍勢に向かってゆき。

 ぶつかった。

 鬼の咆哮すさまじく、その手の棘のある鉄の塊、金砕棒かなさいぼうもうなりをあげ。四人を粉々に砕こうと迫る。

 しかし、四人はそれらをたくみにかわしながら、それぞれの武具がうなり、ひらめかせる。

「ぐおお――ッ!」

 咆哮は断末魔の叫びと変われば。鬼はまるで熱した鉄板に落ちた水滴のように、じゅわっと消えてゆく。

 鬼との戦い。

 四人、源龍、貴志、香澄、羅彩女は鬼どもをものともせずに果敢な戦いを見せた。

 とはいえ、数は圧倒的に鬼が多い。

 四人は奮闘しているが。その周辺には数多あまたの鬼が取り囲んでいるのだ。

 船から戦況を見守るマリーとリオン、コヒョは、四人を信じ、健闘を祈ってはいるが、気が気でない。

 空から戦況を見守るオロンは余裕の表情だ。

「おらあッ!」

 源龍は唸り、持ち主に合わせるように打龍鞭もぶうんと唸り。鬼の脳天にぶつけられる。そのそばで、貴志は衛兵の短槍を振るい、胸板を貫き。羅彩女は得物の軟鞭を振るってその横っ面にたたきつけ。

 香澄は七星剣を振るい、閃光がほとばしるかのように、まるで舞でも舞うかのような軽やかな動きを見せ、鬼を仕留めてゆく。

「うーん」

 リオンは何やら悩みに悩みぬく素振りを見せ。思い切って自分の考えをコヒョよマリーに告げれば。

「やってみましょう」

「どうせならやる後悔だね」

 と同意を得て。

 両手を組み、何やらむにゃむにゃと唱えてみれば。船が宙に浮いた。コヒョは船を自在に動かせる念力(?)も持っていた。

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