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気づくとそこに
俺は白井薫。カオルだ。両脇を2人の兵士に捕まれ、身動きできない体制で連行される。
「ここがお前の囚人部屋だ、さっさと入れ。」
兵士は俺を投げ出し、横たわる。幾度となく繰り返された尋問で俺の体力はすり減り、意識を保つだけで精一杯だった。
すると、何か起動する音がして正面に画面が写し出された。
【セーブしますか? Yes or No】
俺の意思とは関係なく、カウントダウンが始まる。
これは確か、この世界に来る時に説明があった俺のスキルだ。
ただ、猶予は10秒しかない。逡巡する間も無く、俺は咄嗟に【Yes】を選択した。
その選択が、大いなる惨禍の始まりなることを俺はまだ知る由もなかった。