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Memory57

誤字ってるところ発見!

こっそり修正しとこ()




俺は光属性の魔法で、光り輝く剣を創造し、アストリッドとの戦いに備える。


「その剣は何かな?」


ニコニコしながら、アストリッドは俺にそう尋ねてくる。


「別に、ただの光り輝く剣だよ。あえて名付けるとするならば『聖剣』、とかかな」


俺は言って、すぐに光速で移動する。

アストリッドは俺の動きを追えないはずだ。まずはアストリッドの周囲に展開されている血の刃、それを破壊することから始めよう。


俺が取るべき行動はあくまでアストリッドを戦闘不能に追い込むこと。

アストリッドを殺すのはNGだし、四肢を切ったりなんかもよろしくない。


だから、基本的にはアストリッドに魔力と体力を消耗させる、持久戦に持ち込むべきだ。


俺は次々にアストリッドの周囲にある血の刃を、『聖剣』で砕いていく。


「流石にはやい、ね!」


アストリッドは、どうやら空中に静止するだけだった血の刃を、魔力を込めることによって動かし始めたらしい。俺が潰そうとした血の刃が、光の速度を超えて俺の『聖剣』から逃れんとし、空中を自由に滑空する。


「ちょこまかと……」


「私を無視してそんなものと戯れるのか………。いいだろう、そちらが来ないというのなら、こちらから行かせてもらうよ!!」


アストリッドが行動を開始する。走りながら血の剣を創造し、俺に向かってその剣先を向けてくる。が、問題はない。


「無駄だよ」


「何?」


俺に向かって血の剣を向けてくるアストリッドに、大量の光の槍が攻撃を開始する。

そうだ。俺はアストリッドと戦う前から、光の槍を用意していた。それの対処に追われたからか、アストリッドの歩みが少し止まる。


俺はその間に、再び血の刃の破壊を開始する。

しかし、どうやら彼等(ちのやいばたち)も、無抵抗でやられたくはないらしい。


今までは破壊されないように逃げ回るだけだった彼等(ちのやいばたち)は、その矛先を俺に向け、突撃をかましてくるようになる。


向かってくる血の刃を、一つ、また一つと撃ち落としていく俺だったが、流石に対処が間に合わない。


俺の左太腿に、血の刃が少し掠った。


「っ…!」


しかし、痛みに怯んでいる暇はない。

こうしている間にも、血の刃は俺に向かって何度も何度も向かってきている。


(クロ)が欲しいんじゃなかったのか、吸血姫(アストリッド)は。

これじゃまるで殺しに来てるようなものだ。


「手こずっているようだね……。どうやら戦況は、私の有利に進んでいると見ていいかな」


アストリッドが勝ち誇ったかのような笑みを俺に向けてくる。

アストリッドの奴、俺の光の槍を一発もくらうことなく、全て手に持ったその血の剣で薙ぎ払ってるみたいだ。


まずいな……。

今の状態、俺が左太腿を多少負傷しているとはいえ、そこまで大した傷じゃあない。


ただ、俺はアストリッドの実力を理解していない。

現状、お互いに展開させた周りの攻撃性飛行物体ちのやいばとひかりのやりを潰し合っているだけで、直接俺とアストリッドで一対一(タイマン)をしたわけじゃないからだ。


なら……。


愛から聞いた話によると、以前の俺、つまり、シロが組織を裏切った後の俺は、闇属性の魔法を主体として戦っていたらしい。


最初に聞いた時は驚いた。だって、俺がシロと特訓している時に使っていたのは、光属性の魔法だけだったものだから。


『ダークアイ』なんかも、名前からして闇属性っぽく見えるが、実際のところ光を遮断する魔法なので、属性としては光なわけだし。


まあどうやら、俺の闇属性の魔法は、シロが組織を裏切った後に俺の脳を組織が弄ったことで使えるようになったものらしいのだが………。それ以降の記憶がないのも、変に脳を弄られていたせいなのだろう。


闇属性の魔法、使った記憶がないから、あんまり上手くいくかわかんないんだけど、使うしかないか。


「『ブラックホール』!!」


俺は、巨大な黒い渦を眼前に形成する。

アストリッドの作り出した血の刃達が、その渦に吸い寄せられ、次々にこの場から消失していく。


「なっ、クロ、それはズルじゃないかな? 私は真面目に、一個一個、処理してるって、言うのにさぁ!」


アストリッドは、何度か光の槍を血の剣で潰しながら、俺にそう話しかけてくる。

その額には、汗のようなものが垂れているように感じる。多分、焦っているんだろう。


「よし、全部吸い込んだ」


『ブラックホール』は役目を終え、その場から姿を消す。

血の刃は全て吸い取った。後は光の槍を使いながら、アストリッドを攻めればいい。


「ん、それなら」


アストリッドは再びその周囲に血の刃を形成させ、俺の光の槍とぶつけさせる。


まあ、別に構わない。というか、むしろ積極的に魔力を使わせるのが目的なのだから。


「魔力、無駄に消費しちゃったんじゃない?」


「クロだって、ベアードとの戦いで魔力を消費しているだろう? それに、ずっとその速度で動いてちゃ、移動するだけで君は魔力を消費してしまう」


言いながら、アストリッドは俺に物凄いスピードで接近し、血の剣を俺の頭上から振り下ろしてくる。


咄嗟に俺は『聖剣』を目の前に出し、その攻撃を受け止める。

眼前では、その衝突による火花が弾けて見えた。


「ぐっ……」


「やっぱり、力じゃ私の方が強いみたいだね。いやはや、最初はどうなることやらと思ったけど、どうやら私の勝ちは揺るぎないみたいだ」


アストリッドの力が、どんどん増していく。


「っ…………!」


「ふふっ、そんな華奢な体じゃ、私の力には敵わないよ、クロ。でも必死に頑張るその姿は、愛らしくて好きだけどね。絶対に私のモノにしてやるから、ここで負けて、ね!」


俺の『聖剣』の刃先が、アストリッドの血の剣によって、削れていく。

剣の形をしていたものは、アストリッドが力を入れるたびにその形状を変化させていってしまう。


剣として、そして武器として、相応しくないものに。


普通の剣が刃こぼれするかのように、『聖剣』は、剣と呼べない形に劣化していってしまう。


光の槍は、血の刃と喧嘩中。

俺の身を守るものは、この今にも壊れてしまいそうな、儚い一本の光の剣しかない。


アストリッドの言う通り、力じゃ敵わない。


ましてや、ここまで質の落ちてしまった『聖剣』では、傷をつけることすら難しい。


そして、アストリッドは余裕の表情。

勝ちを確信しているのだろう。


最初から全力でアストリッドの首を狙うべきだったのだろうか。いやしかし、命を奪いたくはない。俺ができるのはあくまで魔力と体力を消費させる持久戦に持ち込むことだけ………。







…………いや、待て。


魔族って確か、人間よりも数倍体が丈夫なんだったんだよな?


仮に俺が全力でアストリッドを傷つけに行ったとして、それで死ぬのだろうか、彼女は。


「ねえ、アストリッド。吸血鬼の、体って、どれ、くらい、丈夫、なの、かな?」


俺は『聖剣』で血の剣を受け止めながら、アストリッドに問いかける。

攻撃を耐えながら話しているため、途切れ途切れになってしまってはいるが。


「あれ? この前の戦いで私の頑丈さは知ってもらえたと思ってたんだけどね。まあ、少なくとも、今君が使っているあの光の槍を全部くらっても、死にはしないんじゃないかな。まあ、君のアレは込められている魔力量が多いから、全部くらったらしばらく戦えなくはなるだろうけど」


「そっか。それなら、いいや」


俺は、アストリッドが剣を掴んでいる腕に、無理矢理自分の腕を絡み付かせる。

アストリッドの手が、血の剣から離れて……。




アストリッドの片手と、俺の片手を繋ぎ合わせる。





アストリッドが、

俺から、





()()()()()()()()()



「急に腕を掴んできて…………どうしたんだい? しかもこれ、恋人繋ぎじゃないか。もしかして、私と一緒に来る気になったのかな? それとも、私の片手を封じて、少しでも私が剣に込める力を分散させようとでもしているのかな?」


「光と闇って、対になっているイメージがあるよね」


「ん? そうだね、それがどうかしたのかな?」


「だから、闇属性の魔法に『ブラックホール』があるなら、当然、その対になる光属性の魔法もあるよね」


「何の話を…………」


「『()()()()()()()』」


俺がそう唱えた途端、アストリッドの背後に、真っ白な、光り輝く渦が出現し、そこから、()()()()()()()()()()()()が、渦の前方にいるアストリッドに向かって、突撃する。


「なっ………んで………それは………………わた………しの………」


「人を勝手に下に見て、慢心しきってしまったのがお前の敗因だ、アストリッド」



血飛沫が舞い、地面が真っ赤に染め上げられ、


一人の王が、その場に倒れ込む………。


空中で争っていた血の刃は、まるで命を失ったかのように空中から零れ落ちる。


勝負はついた。

光の槍も、自身の役目を果たしたと判断し、空中で霧散する。




悪の組織所属の魔法少女と、全ての吸血鬼を統べる吸血姫の戦いは………。




吸血姫の自滅によって、幕を閉じた。

うーん

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― 新着の感想 ―
[一言] 勝者の権利として吸血姫ちゃんと百合ん百合んしないんです? みんなの前で!見せつけるように!
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