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Memory42

流血表現が入るため、R15にさせていただきました。急な変更で申し訳ないですが、よろしくお願いします。


R18になることは絶対にないので、そこはご安心を。




「まずはお前からだ」


アストリッドは櫻のいる位置へ、一瞬で距離を詰める。

櫻は『 桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』でアストリッドを迎え撃つ。


桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』は、名前に王が付いている。

その名前からも、その格の高さは読み取れるかもしれない。


そう。


桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』は、吸血鬼の王。ヴァンパイア・ロードであるアストリッドに立ち向かうための武器として、最も適していると言っても過言ではない武器だ。


王を倒すための、(おう)の、そして、櫻の、武器。


それが、『 桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』なのだ。


「くだらん」


しかし、そんな櫻の『 桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』は、アストリッドの指一つで粉々に砕け散ってしまった。


「そんな…!」


「櫻!」


桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』を壊し、続けて櫻に手を出そうとしたアストリッドに向かって、茜が魔法を放つが、アストリッドは止まらない。


茜の魔法には目もくれず、櫻の首を掴み、櫻の体を上へ持ち上げていく。


「うっ……………」


「命乞いをしてみろ。あぁ、死んでもいいというのなら、遺言でもいいかもしれないな。安心しろ、お前の兄にはちゃんと届けてやるよ。お前の遺体も、遺言も」


「しょ………う……かん………お……うめい……ざん!」


櫻はかろうじて働く声帯を使って、『桜銘斬』を召喚する。

そして、『桜銘斬』で、力を振り絞りながらアストリッドの体を斬りつけていく。


『桜銘斬』は、アストリッドの体に次々と傷をつけていく。

見ると、アストリッドの体は、徐々に赤色へと染まっていっていることがわかる。


「効いてる……? 『桜銘斬』が効いてるわ! 櫻! このまま耐えて! すぐに助けるから!」


茜は、アストリッドに追撃を加えながら、アストリッドへどんどん近づいていく。


「待って……茜、嫌な予感が……!」


真白が茜を止めようとするも、茜は止まらない。


「ふん」


しかし、この時茜は気付くべきだった。


ダメージが通っているにしては、アストリッドの顔は歪むことがなかったことを。


傷をつけられても、微動だにもしなかったことを。


桜王命銘斬(おうおうめいめいざん)』を指一本で破壊した少女に、何故か格の下がる桜銘斬の斬撃が効いたことの違和感を。


しかし、もう遅い。



ザクッ



グシャリッ



茜の体が、大量の赤い刃に貫かれる。



アストリッドの、血の刃に。



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()







「あっ………ごふっ………」




茜の口から、赤色の液体が流れていく。


茜はそのまま、真っ白な砂浜を赤色に染め上げながら、倒れ伏していく。



「私が吸血鬼なのだから、血液に対して何かしら警戒しておけばよかったものを。想像力が乏しかったみたいだな」


「………っ! てめぇ!」


辰樹はその光景を見て、アストリッドを睨みつけるが、何もできることはない。


魔法少女と違って、辰樹には何の力もないのだ。


いくら去夏の元で体力トレーニングを続けたとはいえ、トレーニングでどうにかなる問題ではない。


「首の骨を折るか、いや、せっかくだし、お前に流された血でとどめをさすとしよう」


アストリッドは、自身の傷口から湧き出る血液から、鋭利な赤いナイフを創り出す。





そして、そのナイフで。




櫻の腹を、突き刺した。


アストリッドを斬りつけていたその手が、静止する。




「あぁ。そうだった。命乞いをさせるのを忘れていたな。しかし、もう遅いか。これでは遺言すら言わせられないな」


櫻の手から、『桜銘斬』がこぼれ落ちる。


アストリッドが片手を放すと、そのまま櫻は、隣で横たわっている茜と同じように、地面に叩きつけられる。


「あああああああああ!!!!」


櫻と茜がやられたのを見て、真白は激昂。

アストリッドに突撃していく。


アストリッドは空中に無数の血の刃を出現させる。


しかし、頭に血の昇った真白は、周りを見ずに、ただアストリッドだけを見据えて、彼女に突進する。


このままいけば、アストリッドの無数の血の刃で、串刺しにされるだろう。


しかし、真白はもう止まらない。

後は先程の茜と同様に、砂浜を赤く染め上げるだけだ。


「お前も、同じように死ね」


アストリッドは血の刃を放つ。


真白に向けて。







ドンっ!


真白の体が横へと押し出される。


そのおかげか、真白は血の刃の攻撃を回避することに成功した。


押し出された方向に、真白が目を向けると。



そこには、大量の赤い刃に串刺しにされた(ユカリ)の姿があった。


「なん、で………」


「貴方も…………私の、おねえ……ちゃん………だか………ら…………」


ドサリッ


毒は消え去る。

ユカリが、アストリッドの手によって、串刺しにされてしまったから。


もう、どこにも毒はない。


アストリッドの体内にも、ユカリの周囲にも。




「あ……あ……………」


「さて、残り2人。ああそうだ。せっかくだから、どちらが生き残るか選ばせてやろうか。なぁ? ()()


アストリッドは、クロに対して話しかける。

そう、櫻たちがこの場にやってきた時から、クロは既に目を覚ましていたのだ。


ただし、言葉も発せず、体も動かせない状態にされて。


真白がクロのいる方へ目を向けると、クロは、その目から涙を流していた。


見ていたのだ。



茜が串刺しにされる様子も。


櫻がナイフで突き刺される様子も。


大事な妹が、もう1人の妹を庇って大量の赤い刃で貫かれる様子も。


全て。


「ほら、喋れるようにしたよ。はやく選びなよ」


アストリッドがクロに対して語りかける口調は、先程のような威圧感のあるものではなく、とても優しいものだった。


クロからしても、自分に危害が加えられることなど絶対にないとわかるほどに。


だからこそ余計に、辛い。


自分は絶対に助かる。それはわかる。でも、他の人はそうじゃない。

そして、それを覆すだけの力すら、持ち合わせてはいない。


おそらく、1番アストリッドに対して有効打になりうるのは、先程鯨型の怪物を倒した、友情魔法(マジカルパラノイア)だろう。


しかし、友情魔法(マジカルパラノイア)はもう使えない。


櫻がもう、戦えないからだ。


1%の希望すら、見出せない。


まさに、絶望。


クロの内心を支配するのは、ただその一言だった。


「ねぇ、クロ。全部君のせいなんだよ。だって、君のことを助けようなんて思わなければ、彼女たちはこんな無惨な殺され方をしなかっただろうしね。これからの長い人生を、ここで終えることはなかったんだよ。あーあ。君が下手に彼女らと関わっちゃったから、こうなっちゃったのかもね」


(そうだ…………全部……………中途半端に関わっちゃったから………)


クロは、今すぐに目を逸らしたい光景を見ながら、自身の行いを悔いる。


(最初から、馴れ合わなければ…………)


目の前には、先程まで恋人繋ぎをしていた少女が、真っ赤になって倒れ伏している。


(おれなんかが……うまれてきちゃったから……………)


そのすぐ近くでは、街を破壊され、一時期は敵意を向けてきながらも、最終的には、許し、また、クロの黒歴史を知りながらも、周りに言いふらすこともなく、秘密にしてくれていた(お人好し)が、砂浜を真っ赤に染め上げている。


(たすけてほしいなんて、おもっちゃったから………)


そして、アストリッドの足元では、自分の人生の中でも、最も大切だと言い張れる程の宝物(いもうと)が、大量の赤い刃によって壊されてしまっている。


「ごめん…………なさい……………」


クロは、涙でずぶ濡れになりながら、言葉を発する。


「ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん…………“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”………さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“……………な”さ“い”……………わ”た“し”………の“せ”い“…………で”………………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“…………な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………ご“め”ん“な”さ“い”……………」


そしてやがて。


「ご“め”ん“………な”…………さ………ぃ………」


声すらも、枯れ果てた。


「さぁ。選んでよ。友人(たつき)か、家族(シロ)か」


そして、少女(ヴァンパイア・ロード)は無慈悲にも、選択を迫る。




しかし。




精神も摩耗し、



声も枯れ果て、



流す涙もない。




そんな状態のクロには、




もう。




気力など、なかった。

【魔法少女】

  

★クロ  


組織に属する魔法少女。主人公。


使う属性は光→闇→闇×光




☆シロ/ 双山 真白(フタヤマ マシロ)


クロの双子の妹。たった1人の大切な家族であるクロを組織から助け出したいと考えている。


使う属性は光。




蒼井 八重(アオイ ヤエ)


常に冷静で、仲間に的確な指示を出す。

学校では委員長をしており、成績は優秀である。真白、クロの姉でもある。


使う属性は水。




深緑 束(ミロク タバネ)


一番最後に魔法少女になった少女で八重、来夏、真白、束の4人の中で最年少である。

怪人を前にして放心状態になっていたところを八重達に助けられ、以降共に戦うようになった。現在リリスの元で闇堕ち状態。


使う属性は風。




朝霧 来夏(アサギリ ライカ)


金髪の髪をローテールにした活発な少女。


使う属性は雷。




福怒氏 焔(フクヌシ ホムラ)


勝ち気で、燃えるような赤髪が特徴的な少女。能天気で明るい性格。


使う属性は火。




魏阿流 美希(ギアル ミキ)


褐色の金髪で、少しギャルっぽい少女。


使う属性は雷。




佐藤 笑深李(サトウ エミリ)


青色の髪をおさげにした、少し気弱そうな少女。


使う属性は水。




朝霧 千夏(アサギリ チカ)


Dr.白川の研究に協力している魔法少女。


使う属性は地。




虹山 照虎(ニジヤマ テトラ)


最強の魔法少女を目指す少女。八重にライバル意識を持つ。


使う属性は火、水、風、雷。




【人間】


風元 康(カザモト ヤスシ)


シロとクロの担任の先生。目の下にクマができていて、いつも怠そうに授業をしている。根は生徒思いのいい先生。




★Dr.白川


組織に属している科学者。自分の娘ですら実験体にする根っからの科学者。

八重と真白の父親で、クロの実質的な父親。




黒沢 雪(クロサワ ユキ)


クロの住んでいるアパートの隣の住人。明るく元気な20代。




蒼井 冬子(アオイ トウコ)


八重の母親。クロの住んでいるアパートと同じアパートに住んでいる。




広島 辰樹(ヒロシマ タツキ)


クロ、真白のクラスメイト。

裏表がなく明るい性格。

クロのことが好き。




伊井 朝太(イイ チョウタ)


クロ、真白のクラスメイトで辰樹の友人。

学級委員をやっている。




☆末田ミツル


元『対魔戦闘組織』所属の政府の人間。現在は表向きは普通の会社員として政府のために暗躍している。正直存在忘れてた。




百山 椿(モモヤマ ツバキ)


人類の為に魔族と戦う人物。




朝霧 去夏(アサギリ サルカ)


来夏、千夏の姉。来夏からは猿姉と呼ばれている。




【魔族】




双山 魔衣(フタヤマ マイ)


保健の先生で、魔法について詳しい謎の人物。

元『穏健派』副リーダー。




★幹部の男/アスモデウス


クロを見張っている組織の幹部。最近はクロのことを娘のように思っている。


使う属性は闇×雷




★ルサールカ


幹部の女で曇らせ好きおばさん。


使う属性は闇×水




★ゴブリン


5人いるうちの幹部の1人。クロが嫌い。クロも嫌っている。すなわち相思相愛()


使う属性は闇×地




★イフリート


幹部の1人。全身燃え人間。萌え上がれ。


使う属性は闇×火




★パリカー


幹部の1人。ボクっ娘。最近はアスモデウスの影響でクロに情を持つようになった。


使う属性は闇×無




★リリス/赤江 美麗(アカエ ミレイ)


幹部の男の元同僚。




★アッチィ・ホーク・ピタァ


リリスの仲間。

鷹のような見た目をした、人型の異形の怪物。

炎を操る。




★クロコ


リリスの仲間。

ワニの肌を持つメイドの少女。

水属性を扱う。




★アストリッド/『吸血姫(ヴァンパイア・ロード)


吸血鬼の姫。

クロのことを狙っている。




★オーディン


元『過激派』リーダーの魔族。

死亡したと思われていたが、裏で生きていた。




【譁?ュ励さ】




百繝 医(繝峨?)


逶ク驕慕ュ魔法少女≠繧九目覚めた普逶ク驕慕ュ。


使う√は√。




πカ√


クロpデーkj基諢丞峙縺励↑縺魔法少女。


使う√は√。




鬱黌懺 茜(j?。ィ ?。ィ)


q初に峨↓繧女と遉コ縺動しィ縺ェ繧九%縺ィ縲の少女。


使う√は√。



☆★☆★☆★☆★☆★


今回、別に死んだとは明記していませんね。



さて、ついに今年も終わりますね!


中々に濃い一年だったと思いますが、今年も12/31を迎えられたことに感謝、ですね。


誤字報告なども、してくださっているのはありがたいです。いいねや感想なども、実は執筆の励みになったりしているんですよね。本当に感謝です。


中々曇らせ成分を供給できないのと、後ちょっぴりリアルで上手くいかないのとで病んでたりした時期もあったのですが、それでもここまで続けられてこれたのは、読んでくださってる皆さんのおかげだと思います。



来年も是非、「悪の組織所属のTS魔法少女、はじめました」をよろしくお願いします。






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