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Memory19

年末年始くらいに最終回が書けたらいいなぁとは思ってるんですけど、そうなると年末年始でかなり書かないといけないんですよね……。


文章の書き方とかまだ甘いなって書いてて感じる部分があったりするんですけど、推敲とかした方がいいんですかね?


背景描写とかもないですし、心理描写も薄めっていうかほとんどないんじゃないかなって思います。


素人だし、プロを目指して書いてるわけでもないのでこだわる必要もないんですけど、読んでる人が読みにくいなぁってなる文もどうかと思うので、ご意見頂けたら幸いです。


改善できるかどうかはまた別問題な気もしますが……。

「「お邪魔しまーす!!」」


「お前ら………何者だ……?」


来夏に敗北し、無様に何の成果も得られず組織に戻ってきた千夏の前に現れたのは、忍者の格好をした2人の茶髪の少女だった。


双子なのだろうか、二人の容姿はとてもよく似ている。

違いがあるとすれば、目だろうか。


片方は目の色が赤色、もう片方は目の色が青色になっている。

それに加えて目の色が青い方には涙黒子があるが、目の赤い方にはそれがない。


別にこれまで述べた要素だけなら特に問題はない(忍者の格好をするというのは常識的ではないのかもしれないが)のだが、明らかに普通の人間ではないと悟れる要素があった。


それは


(何でこいつら体中ツギハギだらけなんだ……? 縫った後が大量にある)


そう、何故か彼女たちの体は縫い後が大量にあり、まるでツギハギの体のようなのだ。


千夏は疑問に思うが、2人は考える隙を与えてはくれなかった。


「散麗には探りを入れるだけって言われたけどぉ」


「せっかくだし戦って行きたいよねぇ〜」


「っ! 連戦かよっ!」


二人の発言を聞き、直ぐに千夏は臨戦態勢に入る。

先程来夏に敗北したばかりなので、彼女としてはこのまま戦闘をするつもりはなかったのだが、相手が仕掛けてきた為、対処するほかない。


「火遁の術!」


「うおっ」


二人のうち、赤い目を持った少女が魔法を繰り出す。

彼女が繰り出した魔法はどうやら千夏がいた場所に簡易的な爆発を起こすものだったらしい。


勘でなんとか避けれたものの、次に繰り出されたら避けれる気があまりしない。

それに加えて……


「水遁の術!」


「水遁の術ってそういうのじゃねぇだろ!」


もう一人の少女の方も厄介だ。

魔力で作られた水の塊を容赦なく放ってくる。


先程赤い目を持った少女の火遁の術は視認できないため、一回一回に注意を払う必要があるが、青い目の少女の放つ水の塊は放つ瞬間も視認できるため避けるのは容易だ。


しかし、何度も繰り出されるのと、いつ放たれるか分からない火遁の術に怯えながら戦わなければいけない為、中々戦いにくい。


さらに


「「影分身の術〜!!」」


彼女達の姿が一つ、また一つと増えていく。

あっという間に千夏は10人もの茶髪の少女に取り囲まれてしまった。


(なっ!? 分身!? 実体はあるのか……? 本体はどれだ………? どうすれば‥‥)


千夏の焦りなど露知らず。10人の少女は一斉に魔法を放つ。

5人からの水魔法の攻撃と、5人分のいつ来るかわからない火遁の術。

二人の時でさえ対処するのに精一杯だった千夏にはこの量の攻撃を捌き切る事は不可能だった。


地面に千夏が倒れ伏す。


「どうする? こいつ殺しちゃう?」


「んー雑魚だから別に仲間にも欲しくないし、放って置いてもいいと思う」


「こんな雑魚しかいないなら、もっと奥までいけそうじゃない?」


「そうだね、行っちゃおう!」


雑魚呼ばわり。

確かに千夏は彼女達に手も足も出なかった。

しかし、相手側からそう言葉にされると来るものがある。


(クソっ! 馬鹿にしやがって……)


それに加え、まるで千夏は眼中にないとでも言いたげな彼女らの態度。

これ以上の侮辱はないだろう。


結果として千夏は、本日二度目の屈辱的な敗北を味わうこととなった。


この挫折が彼女にとってどの様な結果をもたらすのかは、まだ分からない。

しかし確実に、千夏の中でこの敗北は噛み締められることとなった。




☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆★




「私のことを知っていたんですね。何者なんですか?」


「貴方達の味方……と言いたい所ですが、貴方の様子を見るに、どうやら僕は貴方の敵になりうるかもしれません」


「その言い方からして、組織の人間ではなさそうですね……。魔衣さんの関係者ですか?」


「魔衣さん……? 誰のことを言っているのか分からないですね。それより、何故ここに死んだはずの身獲散麗がいるのか、僕はそちらの方が気になりますね」


ミツルは本当に誰だか分からないと言った様子のようだ。

魔衣とは関係のない人間なのだろう。


「口は割らなさそうですね。これ以上話しても無駄でしょう。安心してください、貴方に対して危害を加えるつもりはありません。少し、今日の記憶を忘れてもらうだけに留めますから」


そう告げた後、束は散麗に対してミツルの記憶を消すように指示する。


散麗は心属性使いの魔法少女だ。

生前ではその真価を発揮する事はなかったが、どうやら今は完全に使いこなしているらしい。


心属性の使い手で記憶操作ができるというのは相当な熟練度だからだ。


しかし、師をなくしてそのような熟練度に至る事は不可能だ。


(裏に誰かがいるのは確実でしょう。それも、かなりの腕前の)


ミツルは一人考察を続ける。

記憶を消されてしまうのはもう決定事項だが、消される直前までこの話について脳を巡らせることで、少しでも記憶を思い出す可能性を上げようとしているのだ。





だが、どうやらそれは無駄に終わったようだ。


完膚なきまでに記憶が消されたからではない。

その場に、散麗と束以外の二人の魔法少女が現れたからだ。


「「connection!」」


その場に現れたのは桃色の髪を持つ、まだあどけなさの残る少女、百山櫻とツンツンツインテ少女、津井羽茜だ。


「「友情魔法(マジカルパラノイア)・乙女の香り・ホムラ!」」


二人がそう唱えた瞬間、一つの火柱が廃墟に降り注ぐ。

火柱が降り注いだ途端、散麗と束の二人はまるで火柱に心を奪われたかのように火柱に注目している。


火柱が魅力的なわけではない。


友情魔法(マジカルパラノイア)・乙女の香り・ホムラの効果によるものだ。


乙女の香り・ホムラは火柱を発生させ、そこからとても魅力的な香りを放ち、敵を魅了し誘い込む魔法だ。


火柱の数が多ければ多いほど香りは増し、火柱は最大で20コまで作ることができる。

完全に敵を魅了することができればそのまま敵自らが火柱の中に突っ込んでいくこともあるし、そうならなくても敵の注意を完全に引くことができる。


「お兄さん! 大丈夫ですか!?」


「大丈夫。ありがとう。君達のおかげで助かったよ。記憶を失わずに済んだ」


束と散麗が火柱に気を取られている間に、櫻達はミツルの元へと駆けつけた。


櫻達がミツルを助けたタイミングでちょうど火柱が消え、散麗達は櫻達と向かい合わせの状態となった。


「あんたが散麗ってやつね。束、どういうこと? 事情を説明して!」


「茜さんには分からないですよ。誰も大切な人を失ったことがない貴方には」


「なっ!」


「茜さんだけですよ。身近な人が皆何不自由なく生きて暮らしていけているのは。私は散麗を一度失いました。櫻さんはお兄さんが行方不明に。八重さんは幼い時に妹さんを。来夏さんは母親を。真白さんは言うまでもないでしょう。貴方だけですよ。何も失ったことがない人なんて。そんな貴方に私の何が分かるんですか?」


「束ちゃん! 一体どうしちゃったの!?」


「櫻さん、こんなことを思うのは間違いだっていうことは分かっています。けれど思ってしまったんです。貴方が私と初めて出会った時、何でもっとはやく駆けつけてきてくれなかったんだって。あの日からずっと。私は櫻さん達を仲間だと思う気持ちと同時に、逆恨みに近い感情を抱いてしまったのかもしれません。もうこれ以上は仲間として接する事はできない。今日でお別れです」


「束!」


「茜さん、今までありがとうございました。今日から私は貴方達の敵です。次に出会った時は………殺します」


「ねえ束ちゃん。さっき美麗様から連絡が入ったんだけど、ヒヨリとカゲロウがやられたって」


「あの二人は何をやっているんですか………」


二人は会話を交わしながらその場を去っていく。


「束ちゃん! 待って!」


「櫻、諦めなさい。今日を持って束は私達の敵。次に会った時、戦闘は避けられないわ」


「そんな………」






☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆





「痛いよぅ……痛いよぅ………」


「うぅ………」


「うんうん。ちゃんと効いてるね! よかった〜。今まで実戦っていうのを経験したことがなかったから、ちょっと不安だったんだ〜」


千夏を倒したヒヨリ、カゲロウの二人は、調子に乗って組織の内部にまで侵入していた。

この場所は組織の本拠地ではないので、奥に進んでも問題はないだろうと踏んだのだ。運が良ければ本拠地の居場所が掴めるかもしれない。


そんな安易な気持ちで進んだ二人に立ち塞がったのは自分達と同じ魔法少女だった。


少女の名はユカリ。

長い髪をサイドアップに結んだ、紫色の髪を持つ14歳くらいの少女だ。


まだ幼さを感じさせる無邪気な表情からは想像も出来ないかもしれないが、彼女はヒヨリとカゲロウ、二人の魔法少女をものの数秒で地面にひれ伏せさせたのだ。


「でもやっぱり地味だよね〜毒って。私自身そんなに動かなくていいし、楽といえば楽なのかもしれないけど……あっ! お姉ちゃんに向いてる魔法かも!」


目の前に苦しんでいる少女が二人もいるというのに、笑って独り言を話す姿はサイコパスじみていると言えるだろう。


そんな彼女の姿は、ヒヨリとカゲロウにはとても恐ろしく思えた。

彼女達は今まで子供のようにはしゃいでいたのだが、それもなくなる。

恐怖のみに支配される。


「いゃ……殺さないで! カゲロウならあげるから! 助けて!」


「ひ、ヒヨリはどうなってもいいから、私は助けて!」


彼女達はお互いを差し出し合う。

その姿は醜く写るだろうが、仕方がないとも言えるだろう。

人間追い詰められると何をするか分からない。


「別に殺さないってば。お姉ちゃんと約束したんだもん。でも、このまま解放ってわけにもいかないよね」


「ユカリ、よくやった。それにしても…………とんでもないな。これが闇属性の一種だとはとても思えん。新たに毒属性としてもいいくらいだ」


いつの間にかユカリの隣に幹部の男、アスモデウスがやってきていた。

突然そばに現れたアスモデウスに対して、ユカリは特に驚くことなく対応する。


「今までずっと訓練し続けてたからね〜」


「死体にも効くのだな、この毒は」


「ありとあらゆるものに効くように調整してあるからね。他にも魔法少女に特化した毒とか、神経毒に幻覚を見せたりする毒とか、毒って言っていいのか分からないくらいのものまで使えるよ」


「しかしいくら強くてもお前を表に出すわけにはいかない。しばらくは大人しくしていろ。いいな」


「はいはーい。別に言われなくても分かってまーす」



少女に邪気はない。あるのはただ純粋無垢な心のみ。

しかしもし仮に彼女が人を殺めてしまうことがあれば、その心は邪悪に染まってしまうだろう。


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