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十四の娘である。
それがこの山奥の隠れ里に、同じ年頃の友もなくひとり。
それを密かに切なく、ながれは思っている。
外の騒ぎはますます激しくなっていた。
ほむらが笑っていられなくなるほどに。
「やれやれ……」
いい歳をした大人が、小娘を困らせているのである。しかも、その片割れは自分の古い馴染みなのだった。
なんともかったるい話である。
「兄上。面倒がらずに仲裁してください」
呟いて肩を竦めたながれに、ほむらは乞うような視線を寄越した。
「兄上?」
それでも動こうとしないながれに、ほむらの整った面がみるみる曇る。
「放っておいたら夜が明けてしまいますよ」