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「騒がしいことだな……」


低く、何処か甘く響く男の声が堂の中にこもった闇を揺らした。


闇に溶けるような黒髪を肩に流して、立てた片膝に頬杖をついたまま、男は怠そうに視線だけを堂の外に向ける。


窓など無いのに、空気取りの僅かな隙間をぬって届くのか外の声がよく聴こえる。


きこえてくるのは下らない言い争いである。


「朱夏は兄上の身を案じているのでしょう」


男の視線が外に向いたのに気付いて、差し向かいに膝を揃えて座していた少女が凜とした声音を響かせた。


目の覚めるような彼女の赤い髪は、闇の中では濃茶色に見えて、まるでそこいらにいる町娘とそう違うようには思えない。


かすかに眉をひそめて、ながれは妹の額に目を留めた。


白い額に左右対になるように、小さな突起がある。


滑るような艶で光るそれは、黒い角である。


鬼なれば備えて然るべきものではある。

ながれの額にも勿論ある。

色は違うが。


「黒宇は過保護が過ぎる」


呟きに、ほむらはころころと楽しそうに笑った。

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