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亡霊のたくらみ  作者: 長栄堂
第七章 首都警察にて
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一回目の作戦会議

 隼人と早奈が鉄平のマンションに帰って来たのは、午後四時を十分ほど過ぎた頃だった。

「ずいぶんと長く警察にいたんだな。逮捕されたんじゃないかって、心配したぞ」

 飛馬が冗談めかして言う。

「遅くなってすまない。早速だが、今から作戦会議をやろう」

 隼人に促されて、全員がこれまでと同じようにソファに座った。

「まず、太田虎彦の動きを探ろうと思う」

 隼人が口火を切る。

 太田虎彦とタケチは、現在、隼人と早奈の居場所を見失っているはずだ。至急、コブラを立て直し、二人を探し出そうとするはずである。タケチと接触する可能性も高い。その動きを調べてタケチの素性を暴き、彼らの連絡方法を探ってやろうというのが隼人の考えだった。これには誰からも異論は出ない。

「これは俺と早奈がやる」

 その時、鉄平が口を開いた。

「隼人さん、太田虎彦の動きを探るのは賛成だが、同時にコブラの動きも探れないか?」

「うーん」と唸りながら、隼人はソファにもたれて天井を見上げた。

 タケチの素性を暴くのであれば、鉄平の言う通り、コブラの動きを探った方が良い。コブラを立て直すために実際に動くのはタケチだからである。しかし、今度はどこにコブラが集結するのか、それがわからない。さすがに火焔木の家はもう使わないだろう。 

 その時、ニーナが手を挙げた。

「あのう、私、コブラの通訳を探してみようと思うのですが……」

 コブラのリーダーは日本人だが、メンバーの大半はタイの人間だ。通訳を使っているに違いない。その通訳を探そうというのだ。

 なかなか良い考えだと隼人は思った。コブラのような違法組織の通訳は誰でも良いというわけではなく、固定されている可能性が高い。隼人はニーナの提案に乗ることにした。

「そうだな、通訳がわかれば、後は俺たちが責任を持って、コブラのアジトを探してやる」

 鉄平もニーナの提案に賛成だ。

「でも、ニーナが一人で動くのは危ないよ。鉄平君と飛馬君がニーナのボディガードをやってよ」

 鉄平と飛馬もそれは望むところである。

「鉄平さんと飛馬さんにボディガードをやって頂けると安心です」

 ニーナも嬉しそうだ。

 結局、隼人と早奈はマナカンホテルで太田虎彦の動きを探り、ニーナがコブラの通訳を探すことになった。鉄平と飛馬はニーナのボディガード兼通訳探しの助手だ。もちろん、通訳が見つかれば、そこからコブラに辿り着き、その動きを探るのは、鉄平と飛馬の仕事だ。

「それから、次にサボー村のチャイをここにいる五人で訪問することにしたい」

 隼人は次に、昨日、行っていたはずのサボー村のチャイ訪問を提案した。

 訪問は十二月二十三日。太田虎彦やタケチがT737を狙っている中でのサボー村訪問は、リスクがある。しかし、コブラが壊滅状態の今がそのチャンスでもある。隼人は、コブラが復活する前にサボー村を訪問したかった。

「太田虎彦とコブラの動きを調べるのに四、五日は必要か……。二十三日というのは良い線だ。コブラはそう簡単に立て直せないだろう」

 鉄平も飛馬も二十三日で賛成し、早奈とニーナも了解した。航空券の予約とサボー村への車の手配は、ニーナに任せることになった。

 今日のところはここまでだ。何か新しい情報が入れば、また考え直せば良いだろう。次回の顔を合わせての打ち合わせは、サボー村訪問の前日、十二月二十二日の夕方に行うことにした。

 全員が和食を食べたいというので、これもニーナに適当な店を探してもらうことにした。もちろん個室のある店だ。

「すぐにやりますわ。年末でどの店も混んでいますので……」

 ニーナは喜んで引き受けてくれた。


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