水魔法の使い方 2-2
プヨンが、ハリーの怪我を眺めていると、
「既定の報酬は払うから、こいつをなおしてやってくれないか?」
ビエラにそう言われた。包帯をとってやると、すでに血はとまっている。ただ、傷口を見ると、切り傷などではなく、なにかえぐり取られたというか、はじけ飛んだような傷口になっていた。もしかしたら、骨も砕けていたのかもしれない。
「かわった傷口だね、なんか、ここから、こう、爆発したみたいな。どうやったの?」
プヨンがそう聞いたが、ビエラも詳しくは知らないのか、
「さぁなぁ。俺も詳しくは知らない。女の子にちょっかい出そうとして、返り討ちにあったとしか・・・ただ、なんか、ハリーのことを探していたとも聞いたんだけどな、よくわからん」
そんな話をしていると、ユコナが慣れた手つきで、
「傷はそこまで深くなさそうですが、肉の部分がはじけていますね。でも、すぐ治せそうです」
そう言いながら、5分程度で治してしまった。表面的な怪我なら、ユコナはすっかり治療がうまくなったように思える。プヨンは、見ているだけだった。
ビエラに礼を言われながら部屋を出た。ユコナは、さらに奥の扉を抜けて、建物の裏にある試験場の方に歩いて行った。
「じゃぁ、次は、また、私の練習に付き合ってくださいね。」
「えー、こないだやったばっかりじゃないの?また、やるんだ。別にいいけどさ」
プヨンは、ユコナが果物ときゅうりを振り回しているのがよくわからなかったが、とりあえず、ついていくことにした。
ユコナは、レスルの試験場の端っこの方に歩いていく、
「このあたりなら、人も少ないからいいでしょう。実は、今日も、魔法の練習をしたいのです。ここにもってきた果物ときゅうりは、人の頭や腕とみなしてください。ここに攻撃魔法をかけますので」
そういうと、袋から取り出した。それぞれ2つずつある。
「それは、わかったけど、どうやるの?」
「私が、これに氷魔法をかけて攻撃します。ほんとの人ではまずいので、これを見立てて。プヨンの意見を聞かせてください」
「ふーん」
そう言いながら、ユコナは少し、場所を選んだり、果物を手に取ってすることをイメージしているのか、そう長い時間ではなかった、待っていると、入口のほうから声をかけられた。
「おーい、プヨン、ちょっときてくれー」
ハリーだ。もう1人はさっきいたビエラかもしれない。呼ばれたので、とりあえず、戻った。
プヨンがハリーのところに行くと、ハリーが話しかけてきた。
「プヨン、さっきはありがとうよ。寝てる間になおしてくれたらしいな」
「もう、動けるんだね。骨とかは怪我してなくてよかったね。ちょっと変わった怪我だったけど」
「あぁ、そのことで、ちょっとな。俺がナンパした女の子にやられたことになってるけど、俺がしたんじゃない、相手がしてきたんだ。しかも、俺の名前を指名でな」
「え?えぇっ?ナンパしてないって、それをわざわざ言いにきたの?」
プヨンがちょっとちゃかしていったが、ハリーはあんまり笑っていなかった。
「一応、治してもらった礼もあるから伝えておくが、俺を指名して、俺が怪我してるってことは、そうするつもりだったということだ。わかるか?」
「え、う、うん。その女の子に恨まれるようなことしたとかってことかぁ・・・」
「ちっがーう。そっちにいくなー。俺は狙われてたのかもしれねー、お前も気をつけろよ」
「ありがとう、僕はこころあたりありませんけど・・・。でも、治したのは僕じゃなく、あっちにいるユコナだよ。あとで、取り立てるってさ」
「えー、ほんとかよぉ。少ししたら、逃げるわー」
ハリーは、笑いながら、でも目は真剣そうだった。ほんとに踏み倒そうか迷っているのかもしれない。そう、プヨンが考えていると、ユコナも、こちらにやってきた。
「なんか、女性に襲われたらしいよ」
「そうなんですか?何か恨まれるような悪いことをしたとかですか?」
プヨンの説明に、ユコナは同じようなことを考えたようだ。ハリーは違う違うと、手を横に振りながら、
「また、助かったよ。さすがだなぁ」
「もう動けるんですね。治ってよかったです」
ハリーは礼を言い、ユコナは両手をそろえて差し出していた。お支払いよろしくのポーズをしていた。ハリーは、その手とユコナを黙って見つめていた。
「そういえば、2人は何やってるんだ?」
「プヨンに手伝ってもらって、ちょっと試したい魔法がありまして」
「試したい魔法?その果物を使ってか?まぁ、練習みたいなもんか。そういえば、この間も、水や氷の魔法が使えるっていってたもんなー。やっぱ秘密と特訓なのか?見ててもいいのか?」
「え?別にいいですけど、攻撃系の魔法ですが、うまくいくかどうかはわかりませんよ」
そういうと、ユコナは、プヨンにやりましょうと目で合図して、もとの場所に戻っていった。
「あいつら、どんなことするんだろうな。俺たちは魔法よりは、どっちかというと武器だしなぁ」
ハリーは、ビエラの腰の剣を見ながら話しかける。ビエラも頷き、そうだなと返していた。




