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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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水魔法の使い方

 メサルの護衛任務が終わってから数日、プヨンは、いつものようにレスルに行っては、簡単な運搬や町のそばでの材料収集などの雑用をこなしていた。メサルの件は、もともと同行するだけの簡単な護衛の予定だったため、報酬としてはたいした金額ではないはずだったが、襲撃などもあり少し色を付けてくれたようで割り増しになっていた。プヨン達にしても、直接剣を交えるようなものではなかったにしろ、最悪死んでしまうほどの攻撃を受けていたわけで、無事済んだから言えることではあるが、学ぶことは多かったと思えた。


今日もレスルに赴いたところ、町はずれの森、フィナのいる丘を越えたあたりのため池で、大量の蚊のような吸血性の羽虫が発生しているので様子を見てきて、できそうなら駆除してほしいとの依頼を受けた。羽虫だけで人が死んだり怪我をすることはまずないが、疫病などの媒介や家畜への影響などは懸念されていた。それに虫が大量にいるだけでも気分的に極めてよくない。街道沿いなどで大量発生されてしまうと困ってしまう。ただ、全滅させてしまうと、これをエサにしている生き物への影響が大きい。報酬も、家畜に被害が出るとか、蜂などのように人に危害を加え限りわずかしかでない。それで怪我でもしようものならわりにあわず、ずっと放置気味になっていた。

(見に行くだけなら自分ひとりでやってもいいけど、フィナに相談しよう)

そう思ったプヨンは、町を出てフィナのところに行こうと歩いていた。

「プヨン、待ってください。いいところで会いました」

ふいに声をかけられた。振り向くとユコナが立っていた。

「ユコナ・・・何かあったの?」

「い、いえ。特に用事ではないのですが、ちょっとプヨンに確認したいことがありまして。プヨンはどこかにいくのですか?」

「え?僕に?僕は、ちょっとレスルの依頼で、現場調査みたいなものかなぁ。その前にちょっとフィナのところに行こうと思ってる」

「フィナ・・・さんですか?初めて聞く方です。では、その件が終わったら相談させてください」

「え、終わってからでいいのかい?話しながらでもいいよ。ついてきたらいいんじゃないの?道中で話してくれたほうが時間も助かるけど」

「そ、そうなんですか?ついていっていいのですか?お邪魔と思いまして」

「問題ないと思うよ。ただ、僕はレスルの依頼で、町の外にいくんだけど、それでよければ」

プヨンは、そういうと町の出入り口の門に向かって歩き出す。

「あ、待ってください。大丈夫ですよ。付いていきますし、昼間なら1人で帰れますから」

ユコナは、あわててプヨンを追いかける。2人は話しながら町の外に出て行った。


今日も天気がよく空は雲も見当たらないくらいの晴天だったが、長袖を着てはいたが寒かった。風がひやっとしている。そうしてしばらく歩くと、プヨンは、今日も後ろから何かがついてきているような気がした。ユコナやサラリスといると、時折感じていたが、今日はより強く感じる。後ろを振り向いても、風景上は特に何も見えないが、たしかにいつもの何かしら気配のようなものを感じていた。

「ユコナ、後ろに何かいる気がしない?」

「え?後ろですか?・・・特に何も気になりませんけど?」

ユコナは、そう言われて後ろを振り返って確認したが、これといって気になることはなかった。そんな気配を感じては後ろを振り返ることを何度か繰り返したが、これといって何かが起こることはなかった。


ふと、プヨンは、気になったことを試してみることにした。体温で獲物を見分けるヘビのピット器官のようなものをイメージしてみる。

「メインフレアー」

目で赤外線も見えるように、まぶたに特殊な偏光フィルターを作り出す。まぶたにあたった赤外線領域の光を見える範囲の波長に変え、色として見えるようにしてみた。そして、目を閉じる。通常の景色は見えなくなるが、そのかわりにサーモグラフィーのように、物の温度が色として見えるようになった。外はまだそんなに暖かくなく、まわりの景色や木々などは青系の色で見える。冷たいところほど紫や濃い紺色だ。比較的、マシなところは、水色っぽく見える。

「あ・・・、いた・・・」

プヨンは、意図せず、ぼそっと呟いてしまった。10mほど後ろに、明らかに人型の赤いシルエットが見える。ただ、いきなり動いては怪しまれてしまう。もう少し、タイミングを見ようと、気づかないふりをして前をみた。前にはユコナの人のシルエットが赤く見えている。ユコナの表情はべたっとした色のため細かくはわからないが、動きが不自然だったからか、

「どうかしたの?プヨン?」

「い、いや、別に・・・」

立ち止まって聞かれたが、適当にごまかして、また、歩き続けた。赤い影は、こちらが歩くと一定の距離を保ってついてくる。立ち止まって振り返ると、あちらも止まっていた。


「バターアップ」

何度か繰り返したあと、タイミングを見て仕掛けてみた。以前、フィナと引っ越したときに使ったものを持ち上げる魔法の応用で、勢いをつけて持ち上げてみる。ユコナが氷魔法をで、氷を投げつけるような要領で、赤いシルエットを空中に放り投げてみた。

「うぉぉわぁぁーーー」

突然、人の叫び声がし、手足をばたばたさせた赤いシルエットが空中を飛ぶ。

ザシュ。

しかし、空中で態勢を整えたのか、赤いシルエットはなんとか足から地面に落ちたようだった。

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