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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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護衛の仕方 2-10

サラリスとユコナのコンビの迎撃で、相手の火球の大半を防御できていた。サラリスはうち漏らしたことはすっかり忘れて、

「ふふふ、みたみた?相手きっとびっくりしてるわよ。ユコナもやるわね」

「ふふふ。努力の成果ですよ。こんなサービス滅多にしませんよ」

直接、刃を交えてないことと初撃を防御できたのもあって、2人とも気分が高揚していた。ただ、あちらも何か話し合っているのが見える。プヨンは相手の2人から目を離してはいなかったが、少し心配になっていた。

「まだ、終わってないし、次がくると思うよ。サラ、まだ、いけそう?」

「そ、そうよね。油断はダメね。ちょっと疲れてるけど、もう1、2回くらいはできるわよ」

「私はちょっと氷壁でふさいだだけですので、あれ以上の数は出せませんけど、回数はこなせます」

サラリスとユコナも大丈夫そうだった。そう思って相手を見ると、そのうちの1人が何やら手を大きく手を振っているのが見えた。どうやら、キャスティングのようだ。次の魔法がくるのがわかる。

「次、なんかくるっぽいよ。油断しないでね。って、あ、これは・・・」

「ど、どうしたの、プヨン?」

プヨンは、急にピリピリとした何かを感じた。高圧電線のそばや、髪の毛が静電気で立つような感覚だ。

(・・・。あっ。この高電圧の感覚は・・・。落雷か)

プヨンは、自分が電気魔法が使えるようになった時点で、相手が使ってきたときどうするかを考えたことがあった。すでに、ユコナが使ってるのもあり、十分ありえることだ。

「たしか、左手の中指が(で)で、親指が(ち)だったか・・・」

左手の、親指、人差し指、中指を使い、何度も向きを確かめる。間違えると逆向きになるから、かなり危険を伴う。かといって、防がないという選択肢はなさそうだ。

「プ、プヨン、どうしたのですか?何を?」

急にプヨンが複雑な指の動きをはじめたので、ユコナが気になって声をかけてきた。

サラリスは、前の方を見ているので、こちらには気づいていなかった。

「え、い、いや、気にしないで」

(き、気にするなといっても、気になります。こんな動きみたことない)

ユコナが、おかしなプヨンの指の動きから目が離せないでいると、

「ヘルムホルツ・・・チェインバー」

プヨンが、上空を見ながらつぶやいた。

プヨン達の左右に、電流が円状に流れる。それが、鉄鎖のように連なって上空まで続いていた。この電流により、一様な左から右への磁界が発生している。が、目には見えず、空と雲が見えるだけだった。


(なんでしょう。プヨンの今のは? 何も起こっていないようですけど・・・)

ユコナは、プヨンが何かをしたのはわかったが、何が起こったのかわからず、プヨンにつられて、上空を見上げていた。

「・・・何をしたのですか?」

ユコナがそう言った瞬間、急に、肌がぴりぴりとして、髪の毛が逆立った。

「2人とも目を塞げ、上からだ」

突然、プヨンが叫んだ。

「え? えぇっ?」

プヨンの上からの叫びに、反射的に両手を上にあげて目を閉じ、身構えてしまった。その瞬間、上空がまばゆく光る。目を閉じていたにもかかわらず、目の前が真っ白になった。

バリバリーン

空気を裂くような轟音がした。

「あぁっ」

あきらかに光や音より反応が遅れたユコナの叫びが聞こえた。サラリスの悲鳴も聞こえたような気がするが、目も耳も感覚がマヒしてしまっているようだ。特に耳を塞ぐ余裕がなかったんので、耳がキンキンしている。数秒して、なんとか目が見えるようになってそっと目を開いてみると、プヨンが耳を塞いでしゃがんでいるのが見えた。

(くっ。プヨンめ、わかってましたね)

ユコナは何か言ってやろうと思ったが、耳がおかしくなっている。聞こえないだろうと断念した。


「な、なんだと。なぜ、聖雷があいつらを避けるのだ!」

ニードネンがゴスイに向かって叫んでいた。ゴスイはわかるわけないだろうと言いたかったようだが、ニードネンを振り返りもせずじっとしていた。ニードネンが聖雷と呼ぶ一種の雷は、自然の雷より威力は小さいが、それでもユコナが使うものとは段違いに威力があった。それが、上空20mくらいから、まるで相手を避けるかのように急激に曲がって、地面に突き刺さるように落ちた。まだ、まぶたに、その残光が残っている。

「あ、あの女が両手を上げたな。まさか、聖雷をはじいたというのか? 」

プヨンが発生させた磁力線の中を電流が走ったため電流が曲げられた。いわゆるフレミングの法則だ。ニードネンには理由がわからなかったが、発生させた雷は途中から曲がり、プヨン達から10mほど離れた前方に落ちた。土がはじけ、一部焦げたようにも見えるが、プヨン達に光と音以外のダメージはほとんどなかった。

「どうなされますか?ニードネン卿」

「も、もう一回やる。なんだ、あいつらは・・・」

ニードネンは、再び詠唱をはじめた。ホイザーは、動く気配がなかった


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