護衛の仕方5
プヨンはジーワンに回復薬を与えた様子を見ながら、カバンにあったもう一本を取り出して、いつもの回復薬の祈る要領で、ジーワン向けを試してみようと思った。
(試してみるのは、いいけど、何を祈ればいいんだろう。意識体の解放をイメージするなら、魔法の防御と同じか。相手のエネルギーを霧散化するような感じか。それとも、殺気の塊の逆だと考えるなら、こう、友好的なイメージ・・・?)
効きそうな内容をイメージし、体力回復ではなく、魔法の抵抗のように、エネルギーを発散させて周囲に散らすことを意識して、回復薬に向かって注力してみた。とりあえずなので、そう長くもない時間祈った後、サラリスに、
「こっちは、どう?効く?」
「何か、さっきと違うのかな?いやっていうわけじゃないんだけどね」
そういうと、同じようにサラリスは試してみた。
「お、おぉ。徐々にだが、大きさが小さくなっていく。効いてるぞ」
ハリーが驚きの声をあげていた。徐々に、ジーワンの密度が薄くなるのか、透けて透明度があがり、向こう側にある倒れた兵士が透けて見えだしていた。ただ、やはり即席だから、完全に退治するほどの効果はないようで、消滅させることはできないようだった。
「へー、す、すごいね。でも、これだと、完全に退治したことにならないんじゃ?」
サラリスがそう言ったが、ホイザーとしては、ある程度効果に満足したのか、
「いや、効くだけでも大きい。こうやって薄まれば、時間とともに霧散化するはずだ。たぶん自我とかは残らないだろう。よし、次いこ」
そう言われて、薬瓶をもったユコナはホイザーに引っ張られて、次のジーワンのところに連れていかれた。
ユコナとプヨンと気を失って倒れたままの兵士は、後に残されていたが、刀傷などを受けて、けっこう重症なままだった。
「さすがに死にはしないだろうけど、なんか聞きたいこともあるっぽいし、治療しとく?」
ユコナに聞いて見たが、ユコナはちょっと渋い顔をしながら、
「うーん、いいんでしょうか?本人に悪意があったのなら、治すと、また、襲ってきませんか?」
「少なくとも、さっきよりは戦力低下しているだろうし、大怪我してると、聞けるものも聞けないんじゃないかな。でも、完全には治さないようにするよ」
プヨンは、そういうと切り傷など重症そうなのをとりあえず塞いでおいた。
「プヨン、切り傷治すの早くなった気がする。前はもっとかかってたよね」
「そ、そうかな。慣れたかな。あんまり気にしてなかったけど。ユコナも手伝って」
「うん。わかった」
表面的な出血や、大きな切り傷でないものなどは、ユコナにも手伝ってもらって治療をしてまわった。
サラリス他が回復薬でジーワンを小さくしているのに一歩遅れる形で、一周回ったところで、ホイザー達は最初の1人目のところに戻って、ハリーに目配せしながら、
「さてと、こいつらを起こして、聞こうぜ」
「あぁ、でも、こいつら、怪我してるけど、聞けるか?って、あれ?」
「どうした?」
「い、いや、なんか、こいつら、傷が治ってるみたいでな・・・」
ホイザーとハリーは、兵士たちの傷が治っているのに気が付いたみたいで訝しがっていた。ちょうど4人目の治療をユコナにまかせて戻ってきたプヨンがそれに気づいて、
「あぁ、ほら、あそこでユコナが治療しているよ」
と、ユコナの治療をさして、教えてやった。
「え?」「あ、あの子がかい?」
ハリー達は、一人で治療しているユコナを見て驚いていた。もともと治療できることを知っているホイザーですら、作業時間が異常に短いと思っているようだった。プヨンは、とりあえず、
「ホイザーは、何が目的か聞くんでしょ、あっちで座ってるから、あとで教えてね。傷は治ってるし、多少あらっぽくても、また、治療してくれるし」
「お、おぉ」「おい、起きろ」
そういうと、あらっぽく起こし始めた。プヨンは、ユコナ達のほうに戻りがてら、
「あらっぽくして、治療して、治ったらまたあらっぽくするって、される側には絶対なりたくねーな。そうやって脅すか」
とか、聞こえてきた。
(たしかに。そんなんされたら、怖すぎるな)
とプヨンは考えていた。
しばらく、プヨンとユコナは、サラリスのスイカ弾についていろいろ問いただしていた。
「サラは、あれ、放つ前にねらったところしかダメなの?」
「う、うるさいわね。そうよ。狙ったとこならかなりの距離でも絶対命中なのよ。避けるのは反則よ。失敗したわ」
「ふーん。100mくらい飛んでたよね。ハリー達もびっくりしてたよ」
「ふふん、そうでしょ。当然よ。けっこう苦労したもん」
「海行ったときに練習したんでしょ?そんな長い時間特訓するなんて、かわいそうに。ひやけ」
「うぅぅ。ユコナ・・・、あんたもいつか味わいなさいよ」
「いやですよ。でも、なんで、そんなところで訓練しようと思ったのか・・・・」
サラがいろいろいじられている間に、ハリー達の調査が続いていた。
 




