護衛の仕方4
ユコナの叫びを聞き、みんな、4人の兵士から一定の距離を取り遠巻きに取り囲んでいた。兵士たち自身は動かないが、あきらかに何かを感じる。殺気というほど強くはないが、敵意のようなものが感じられた。
「あ、あれはなんだ?」
ハリーが、4人の兵士のうちの1人の胸を指さしながら叫んだ。さらに、そこに向けて、剣を突き出している。すると、倒れている人の胸あたりから、なにか青っぽいもやもやとしたガスのようなものが漏れ出してくるのが見えた。
「どりゃっ」
ハリーがとっさに剣で薙ぎ払ったが、実態がないのかするっと通り抜けるだけで、ダメージを与えているようには見えなかった。ホイザー達もわかってやっているのか、一通り試したあとは、さらに距離を取って様子見をしていた。
「ユコナ、あ、あれは、ジーワン?小型だからジーツーかもしれんが」
プヨンがユコナに声をかけると、ユコナは、はっと驚き、
「プヨン、し、知っているのですか?私もそう思いました。死んだ人の意識体のはずのジーワンが、なぜこんなところに。カルカスなのでしょうか?ジーワンも強力な殺気を放ったり、何かにとりついたりします。もしかしたら、この兵士たちは、ジーワンに操られていたのかもしれません」
サラリスの問いかけに、ハリーが、
「カルカスだと?いや、違うな。こいつらは確かに無言でおかしかったが、少なくとも呼吸はしている。死体ではない。しかし、こいつらがジーワンなのか?俺も実際に見るのは初めてだが・・・・これで兵士たちは操られていたのか?」
そうしたうちにも、みんなモヤモヤしたガスを遠巻きに見ている。ガスは、徐々に集まって球体から、人型のようになってきていたが、特段何かを仕掛けてくることはなかった。
「ど、どうするの?」
みんなが固まっているので、サラリスが、ホイザーに聞いて見た。
「お、おう。ちょっとこういうのは予測してなくてな・・・・。ほんとにジーワンってのなら、これは、なんというか、浄化ってやつをすることになるだが」
そういうと、ハリーが、後ろにいるブローセンのほうを振り返って、
「ブローセン、浄化するしかないだろうが・・・・どうするっていったって、そんな準備はしてこなかったよな?なぁ?」
「あ?あぁ。回復薬はあるにはあるが・・・もともと、怪我回復のためのだから、たぶん、思ってるのと違うと思うよ」
そんなやり取りを聞きながら、プヨンは、ユコナに小声で、
「ユコナ、浄化ってどうやるか知ってる?回復薬がいるのかい?」
所詮、本でかじっただけのプヨンだ。ジーワンの存在は知っていたが、扱いについてまでは詳しく知らず、小声でこっそりユコナに聞いていた。
「そ、それは・・・。私も経験はないのですが、一番確実なのは、この世に残したなんらかの未練を断ち切って、浄化、言い換えると、意識体を霧散化させてやるのですが。これを意識した専用の回復薬があるようです。回復魔法も、人の肉体に使用すると、他の生命体を追い出す効果もあるようで、効果があります。意識生命体の扱いになれた神職、こうした精神体をあるべき場所に祓ってあげることもあるそうですが・・・」
参考書を読み返すように、ゆっくりと思い出しながら、ユコナが説明してくれた。
「な、なるほどなぁ。回復魔法か・・・しかしなぁ。これに直接触れながら回復魔法
はしんどいよね」
「それは・・・経験があって、確実ならともかく。さすがに直接触ると何かありそうです。効かなかったことを考えると、危険すぎますよね」
「回復薬は、自作のものがあるのはあるんだけど、これは傷回復だしなぁ」
「ちょっと貸してください」
ユコナは、プヨンのカバンをあさり、薬の小瓶を取り出すと、ジーワンのところに歩いて行った。
「すいません、ちょっと試させてください」
「お、おい、気をつけろよ」
ホイザーは止めに入ったが、ユコナは無視して、瓶をあけ、一体のジーワン向かって少し中身を振り掛けてみた。ハリー達も覗き込むように見ていたが、
「一応、効いてるっぽいが、微妙だなぁ」
ジーワンはそもそも表情がないからよくわからないが、複雑に形状が変わっているのは、何らかの効果があるようには見えた。




