表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の使い方教えます  作者: のろろん
51/441

保管魔法の使い方2

フィナは、プヨンが重い石を持ち上げたのをみて、頼み事があると言ってきた。

(いったいなんだろう?)

と、プヨンは不思議に思っていたが、何か聞いてみないことには始まらない。

「できることなら手伝うけど、いったい何を?とりあえず、話を聞こうか?」

そう、フィナに言うと、フィナは、ちょっと考えながら、

「実は、友達の引っ越しを手伝ってほしいの」

「え、フィナの友達?」

思わず、口から出てしまったが、フィナに友達がいるというのが初耳だし、ちょっと想像がつかなかった。フィナが、木の化身というか、精霊というか、実体化した姿だとすると、その友達というのは、なんだろう。

「フィナに友達がいるって、初めて聞いたよ。いったい、誰?引っ越すって?」

思ったままのことを聞いてみた。フィナは続けて、

「うん、ちょっとね、事情があって、今のところに住めなくなりそうなの。でも、現実的には引っ越しってちょっと無理だなって思ってたの。だから、プヨンがこんな重いものを持てるなら、ちょっと相談のってほしい」

「相談って、重いものを運んで欲しいってことなんかな?大きさにもよるけど、俺で持てるんかな?」

「そう。一度、見にきてよ」

「ま、まぁ、見てみないとわからないもんな。いいよ。今すぐ行くの?」

「う、うん。いけるなら。今すぐ」

「わ、わかった。近くなら、行こうか」

そういうと、2人は立ち上がって歩き出した。フィナが前を歩いて、プヨンはあとをついていく。


フィナは、街道を少し歩いてすぐ道からはずれ、そのまま森の方へ向かって歩き出した。そして、森の中に入っていく。フィナは歩きなれてるのか、すたすたと歩いていく。まるで、木がよけていくようにも見えるけど、気のせいなんだろう。


ガサッ

ふいにプヨンの右側で、しげみから音がした。ハッとして見ると、5mほど離れたところに弾丸うさぎが2匹現れた。と、思ったら、そのうちの1匹がプヨン目掛けて飛び込んできた。続けてもう1匹も。

ガスッ

プヨンは反射的に避けようとした。1匹目は避けられたが、避けたところに2匹目が飛んできて、よけきれず、太ももに体当たりされてしまった。

「い、いてっ」

プヨンは、思わず叫んでしまったが特に痛くなかった。最近、関節以外は常に肌を硬質化する癖がついていたので、これといってダメージを受けなかった。ただ、10kg以上はあるうさぎの体重分が、けっこうな勢いでぶつかってきたので、多少よろめいてしまい、1、2歩後ずさってしまった。一方で、ウサギは、全力でぶつかったのが、固いものにぶつかったので、岩に突撃してしまったような感じになっていた。頭を強打したことになるので、脳震盪でも起こしたのか、ちょっとおかしな動きをしていた。直接ぶつからなかったもう一匹は、それを見て逃げようとしているようだ。捕まえるか迷っていると、

「プ、プヨン、大丈夫?」

フィナが慌てて気遣ってくれた。プヨンは、体の表面の炭素分がロンズデーライト化しており、ダイヤモンドよりも固くなっているので、怪我自体はまったくなかった。表面に亀裂すら入っていない。

「いや、大丈夫。一応、体を丈夫にしてたから」

「そ、そう。大丈夫なんだね」

フィナは気遣ってくれたけど、事実、怪我はしてないわけで、特にどうこうすることもなかった。そうこうしているうちに、うさぎは2匹とも逃げてしまったようで、いなくなっていた。気を取り直して、先に進むようフィナを促すと、フィナも、また、歩き始めた。


どのくらい歩いただろう。森の中に入り始めて、たっぷり1時間以上は奥に入ったような気がする。こんな奥に友達がいるんだろうかとプヨンは思い始めていた。フィナとは、とりとめのないことを話しているので、退屈しているわけじゃなかったけど、さすがにどうしたものかと思い始めて、

「なぁ、フィナ、ずいぶんきたけど、まだなのかい?かなり奥だけど?こんなところに友達がいるのかな?」

そう聞くと、フィナは奥のほうを指差しながら、

「ほら、あそこに待ってる人がいるでしょ」

フィナがそういうので指差す方を見ると、女性が一人立っているのが見えた。

「あの女性が、引っ越す人なのか?」

フィナがそう聞くと、フィナは、頭を横に振って、

「違うよ。あの人は引っ越し先かな」

「え、引っ越し先?引っ越す方じゃなくて?」

こんなところに引っ越すって、なんだそれとプヨンがいぶかしがっていると、向こうのほうに立っていた女性がフィナに気づいたようで、こちらに寄ってきた。

「ようこそ、フィナ様。ご無沙汰しております」

もう、初老かなといえる、ちょっとふっくらとした女性が、大きな木のそばに立っていた。

(けっこう年配に見えたけれど、フィナ様って言うの?どんな関係なんだろう)

プヨンがそう考えていると、フィナも、その女性に返事して、

「ご無沙汰してます、バトさん。お願いしていた件ができそうなのできました」

そのあと、フィナとバトさんと呼ばれた女性は、しばらく立ち話していたが、フィナがこちらを向いて、

「プヨン、ここに引っ越してくる友達がいるの。手伝ってくれる?」

「え?この方の引っ越しじゃなくて?わけがわかりませんが?」

フィナの言っている言葉の意味はわかるが、プヨンにはフィナの意図がよくわからなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ファンタジーなんだから細かいこと気にすんな!と言われればそれまでですが、体の表面ロンズデーライト化って動けるんですかね?? 筋肉の収縮・弛緩でも皮膚は伸縮するわけで、皮膚パッキパキで動…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ