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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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狩りの仕方3


2人ずつ並んで、イーゴズの待ち伏せを迂回して、遠回りして歩いていると・・・、噂をするとあるあるなのか、レオンがこっちを振り返って、

「あ、プヨンさん、あれ見えますか?ハーバードが飛んでいるようです、一応、気を付けてください」

と言ってきた。指差すほうをみると、青い空の中に黒い点が7つほど、縦一列に並んでいるように見える。

「よく、あんなのでわかるね。まぁ、何かいるのはわかるけどさ」

サラリスが感心してつぶやいているうちにも、徐々にこちらに近づいてきているようだった。

プヨンがよく見ると、どのハーバードの足元が何か丸まっているように見える。

「なぁ、あの鳥って、なんで足元まるっこいの?」

と、レオンに聞いてみた。

「あぁ、たぶん、石か何か持ってるんですよ。あいつら、頭がいいんですよ。あーやって編隊組んで、狙った獲物に爆撃するんです」

そう、説明してくれた。たしかに頭がよさそうだ。

「へー、そうなんだ。あの高さから石で狙われるときつそうだな。石当たるとやばいよね?」

「まぁ、ふつうはある程度避けようとするから、死ぬことはまれなんですけど、連発くらってよけそこなうと大怪我しますよ。そこそこ大きな動物でもやられることがあります。もちろん、当たり所がわるいと大ダメ―ジですし。人が狙われるかどうかは、その時の運ですね」

サラリスもユコナも、なんとなく上を見ながら歩いていた。

「なんか、こっちにくるねー。いやだなぁ」

「そうですねー」

だいぶ、黒い影が大きくなってきていた。獲物を探しながらなのだろうか蛇行しながら飛んでいるけど、きれいに7羽の位置は保たれていた。

「どうする?こっちにこないように、牽制する?」

と、サラリスに声かけてみると、

「え、まだ、かなり離れてるよ?どうやって?」

「うーん、適当にあっちに向かって、火魔法でも打ってみるとか?びっくりして逃げるんじゃないの?」

そういうと、サラリスは、少し思案したあと、何やらぶつぶつと言って、ハーバードに向かって、大きめの炎球をはなった。かなり集中しているのか、全力のようだ。思いっきり飛ばしているようだ。かなり速いスピード火球は、まっすぐに飛んで行ったが、徐々に小さくなっていき、50mを超えたあたりでテニスボールくらいになり、100mいくかいかないかくらいで消えてしまった。それでも、ハーバードまでの距離の1/3くらいの距離だったが、一列に並んでいた7羽は、ばらけてしまっていた。レオンは、それを見て、

「サラリス様・・・、今の、魔法は・・・・?尋常じゃない距離を飛んで行ったように見えましたけど・・・」

サラリスの放った魔法の到達距離にびっくりしていた。どうやらサラリスも全力を試したようだが、予想以上だったのか、にんまりしていた。

そのわりには、ユコナは、驚きはしつつも、許容範囲のようにも見えた。

プヨンは、他人の魔法、特に放出系の威力はほとんど見たことがなかったので、

「なぁ、レオン。ふつうの人ってどのくらいまで届くもんなん?」

レオンは、ちょっと考え込んだ。おそらく、自分の父親や所属部隊のメンバーでも考えているのだろう。

「自分の知っている範囲では、ある程度の威力を維持できるのは、20mがやっとと・・・・」

「え・・。そうなんだ。じゃぁ、サラリスってできる子なの?」

「そうですけど、なんていうか、ちょっとできるってレベルじゃないですよ。火薬砲レベルでも、あそこまで届くかどうか」

レオンは、今見たものを、そのまま受け入れていいのか、迷っているような言い方だった。

「実は、才能なの。みんなには内緒ね」

サラリス、えっへんモードに入っていた。

(火薬砲って、火薬の大砲か?そういうのもあるんだなぁ)

そう思っていると、ユコナが、こっそり、

「実は・・・、プヨンも気づいているでしょうけど、例のあの日から、2人とも、魔法の威力がちょっとおかしいのです」

「あの日って、2人に会った時のことかい?」

ユコナは、うなずいていた。

あの日というのは、何年か前、2人に出会った前後に、そんなことを言っていた記憶がある。

「へー、たまたまでしょ。って、ユコナもあのくらい距離だせるってこと?」

ユコナは、また、うなずいた。

「サラ、すごいな。もう一回やってみてよ」

そう言うと、サラリスは、ドキッとしたようで、

「え、えっとね。ちょっと休憩がいるの・・・。あと1分待って」

どうやら、全力でやったようだった。よく見ると、額に汗が浮いている。


そんな会話をしながら、ふとハーバードの群れをみると、ばらけた7羽のうち、5羽は驚いて石を落としてしまったようで、足が普通に見えていた。残り2羽は、そのままこちらに向かって飛んでくる。魔法で光った炎で、逆に気を引いてしまったのかもしれない。

「2羽、こっちに向かってくるな」

プヨンがそうつぶやくと、3人も、上を見あげた。残り、まもなく100mくらいか。レオンが叫んで、前に出た。護衛として頑張るつもりらしい。

「みなさん、注意してください。たぶん、突っ込んできますよ。石を落としたら避けてください」

そういうのとほぼ同時に、2羽は石を落としたようだ。高さは7mくらいか。放物線を描いて、こっちのほうに飛んでくる。

「避けてっ」

レオンの叫びが聞こえ、サラリスとユコナは、すぐに、落下予定の左に向かって避けた。が、俺は、ちょっと試してみたいことがあって、そのまま立ち止まっていた。

避けられたと確信したサラリスが、振り返って避けようとしないプヨンに気づき、

「プヨン、避けなさいよ!」

と叫んでいた。それを、横で聞きつつ、

「バーティカルシールド」

体表面の炭素を集め、肘から手の指先にかけてロンズデーライト化することで硬質化した。これで、硬さは十分のはずだが、どの程度まで防げるのか、一度試してみたかった。

(あとは、位置を合わせて、石を受けるだけだ)

そう思った瞬間、

「げっ。固めたら、腕が動かない」

当たり前である。硬質化したのだから、肘から先は固まっていて動かない。手首を動かして受け止めることができなかった。それでも、あわてず、2発のうちの1発を手のひらで正面から受けられるように、少し歩いてい立つ位置を変えた。もう1発はそれているので、当たらないと思われた。

ガスッ。

鈍い音がして、手の平で石を受け止めた。

「はぶっ」

プヨンは、叫んでいた。

確かに、石は手の平にあたった。手の表面は硬質化したので、怪我はしなかった。しかし、当然石はそれなりの重さがあり、しかも、勢いがついている。その勢いを手で受け止めようとしたから力負けして肘がまがり、手の甲で強かに顔を打ち付けてしまったようだ。鼻っ柱を殴りつけたようで、鼻血が出ていた。しかも、硬質化した手の甲だ。顔の皮膚も擦り傷がついている。

「いたい・・・・」

ハーバードは、そのまま飛び去って行ったようだが、反撃する気力はなかった。

3人が駆け寄ってきてくれたが、サラリスが、

「はぶっじゃないわよ。なんで避けないのよ」

「い、いや。その。いろいろ、事情がありまして・・・」

「手のひらを見せなさいよ。怪我したでしょ?」

サラリスは手の平で受け止めたのを見ていたのか、手を怪我したと思ったようだが、

「あれ?手、怪我してないの?って、なんで、鼻血でてんのよ」

そういうので、防御についてはあえて触れず、石を受け止められず自分で殴ったことを説明した。サラリスは、呆れたように、

「アホよね。石がもうちょっとでかかったら、やばかったよ」

(たしかに、石が大きくて、もっと勢いがあったら、顔ごとつぶれる可能性もあったな。防御も一部分を固くするだけじゃダメだな。かといって、全身を固くすると動けなくなる。もっと全体を覆いつつ、動ける工夫もいるのか。難しいな)

そう、反省していた。

ユコナは、あえて、指摘はせず、

「治しますから、座って、じっとしていてください」

と優しく言ってくれた。

「ユコナ、優しいなぁ」

ユコナは、優しく手のひらを顔にあてて、治療してくれた。メイサがいつもしている治療の祈りのようなものを捧げている。しかし、なかなかよくならない。

「あれ?おかしいですね。この程度の擦り傷なら、すぐに治るのですが」

ぼそっとつぶやいている。

思ったより、治りが悪いようだ。それでも、血はすぐ止まり、徐々に傷は治っているようだ。

プヨンは、じっとしたまま、ユコナが治してくれるのを見ていた。ユコナの治療は初めて受けたが、一生懸命なおしてくれていた。約15分ほどかかったが、ようやく完治することができた。

「ありがとう、もう大丈夫」

ユコナに礼を言うと、ユコナは、

「いえいえ。でも、いつもはもっと速いんですけど、予想以上に時間がかかってしまいました」

と、ちょっと不満気味だった。

レオンは、ユコナが治療魔法を使えることを見て驚いていたが、すでに、サラリスの火魔法を見ていたからか、かえって、人並みな魔法に安心しているようにも見えた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] プヨンって前世おっさんだったんだよね?なんで知能低いの?知識はそれ相応にあるのに
[良い点] プヨンの抜けてるとこが好きです でも今回は危なかったね‥
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