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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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狩りの仕方

ユコナが回復魔法の訓練にくるようになって6ヵ月以上たち、いつのまにか12歳になっていた。最初は2ヵ月くらいの予定だったらしいが、習得が思うようにいかないからなのか、それとも、うまくいって面白くなったからなのか、かなり延長しているようだった。それなりにやりこんでいるのもあって、かなり上達しているようで、皮膚の表面の治療くらいだとかかる時間はかなり速くなっている。しかも、毎日、怪我した人の体などを診ているからか、その仕組みとかも理解してきていた。もしかしたら、骨折くらいなら、すでに治せるのかもしれない。そんなユコナを横目に見ながら、プヨンは、日課の薬瓶詰めを終えて、作った瓶を持ってうろうろしていた。ふと見ると、傭兵か、レスルのミドルメンバーらしき数人が、高純度の回復瓶をよこせとごねていた。たまに、異常によく回復するものがあるとかなんとか言っているのが聞こえる。が、パエラが、みんな一定レベル以上ですと、押し問答をしていた。まぁ、薬草の濃さや多少の祈り濃度の差はあるんだろうけど、そこまで差はないはずだが。


今日は、ユコナが予定していた回復治療訓練が延びに延びていることもあって、さすがに、一度王都に戻ることになったらしく、近日中に町を離れることにしたらしい。それもあって、サラリスとユコナの3人でちょっと遠出の狩りをしようと予定していた。まぁ、近場ではちょくちょく町から出いたけど、獲物を狩ることはしないで、ほとんど魔法の練習程度だった。今回は、狩り目的だから、動く獲物を狙って当ててみることにした。といっても、特に目当ての獲物がいるわけでもないし、あまり肉食系の危ない獲物を狙うわけにもいかないし、まぁ、獲物をとることについては、そこまで固執してるわけでもなく、捕れたらラッキーくらいだったけれど。


約束した時間の少し前に、サラリスとユコナは2人そろってやってきた。待ち合わせは、町の出口のちょっと手前のところにある広場で、町の出入りをする人たちの定番の待ち合わせ場所だった。

「おはよー、プヨン」

いつも通り、サラリスが声をかけてきたので、振り返って、

「おはよー。なぁ、今日って、どうするの?特に目的は決めてないけど?」

「そうよねぇ。何か、ちょっとした獲物を、魔法を使って狩る練習をしてみたいけど。目的地は特にないし」

そういって二人を見ると、厚手の服を着てはいるが、特に武器や防具らしきものは持ってきていなかった。腰に、短剣がわりか、ちょっと太い木の棒をさしているくらいだ。さすがに、スカートではなかったが。俺も、ほぼ手ぶらだ。

「じゃあ、こっから歩いて4kmくらいのところに、古い洞窟跡があるらしいから、そこいって、ちょっと中探検してみるとかは?」

「あ、それいいかも。距離も手ごろだしね。そうしよー」

決定したので、町の門を出る手続きをしに行った。まぁ、何度もしているので慣れてきていたが、だからといってなくなるわけでもない。

長くもない列にならんで、形式的にレスルの登録証を見せていた。すると、

「あ、サラリスお嬢様。こんなところで・・・・」

と、突然声がかけられた。サラリスは、声のしたほうを見ると、

「あっ、レオン。ここで何してるの?」

レオンと呼ばれたのは、自分たちとほぼ同い年に見えた。妙に畏まっている。

「実は、先月から衛兵見習いをするよう親に言われまして、今月から、ここの守衛をしております」

「へー、そうなんだ。お勤めごくろうさま」

会話からすると、2人は知り合いのようだ。ユコナが、そっと耳打ちしてきて、

「レオンさんのお父上は、サラリスの領地で、領軍の副司令官をされています」

と、教えてくれた。

「えー、すごいね。じゃぁ、けっこう強いんだ」


「サラリス様1人でおでかけなのですか?そちらは護衛の方・・・ではないですよね?一緒におでかけですか?」

と、レオンは、プヨンとユコナのほうを向いて聞いてきたが、

「あ、ユコナ様もご一緒ですか。失礼しました」

と、ユコナもいることに気づいたようだった。2人とも顔見知りのようだ。

サラリスは、今から、ちょっと魔法の練習ついでに、近くの洞窟まで往復してくると、目的を説明した。それを聞いて、レオンは、

「え?サラリス様達だけでいくのですか?さすがに街道沿いは大丈夫と思いますが、そこから外れるのは危険だと思いますが」

と、一応貴族のサラリスには、当然といえば当然の心配をしてきていた。

サラリスは、自分たちは多少は魔法が使えて獣くらいなら追い払えること、何度も、その程度の外出はしてきたこと、この辺りは治安がよく、盗賊の類はまずいないことを説明して、通行許可をもらおうとした。しかし、レオンは、なかなか縦に首を振らなかった。そうこうしているうちに、上官と思しき兵士が寄ってきて、

「レオン、何をやっているんだ。何かあったのか?」

と聞いてきた。レオンは、2人の女性が、カミリノ子爵令嬢とナイゲン伯爵令嬢であり、2人が護衛もなく、町の外に出ようとしているので、思いとどまるようにお願いしていると伝えた。

上官は、2人が貴族で、まだ、子供であることを確認すると、奥のほうに慌てて走っていった。

少しして、戻ってきて、サラリスの方を向いて、

「私とレオンが、護衛としてついていくことで、出門の許可がでました」

と、満面の笑顔で、誇らしげに宣言してきた。きっと、貴族の女の子2人を守る名誉でも感じているのだろう。

「へ?」

サラリスは、固まっていた。

「絶対ないです。それはダメです」

サラリスは、断固拒否する姿勢のようなので、プヨンはユコナと目をあわせ、これは長くなるかなと確認しあった後、2人はわきによけて座り、様子見することにした。

「ユコナ、なぁ、どっちが勝つと思う?」

「サラは、まぁ、引かないと思いますよ・・・」

長引くかと思ったが、サラリスをよく知るだろうユコナの宣言通りか、5分ほどして、サラリスが勝ち誇った顔をして、2人を呼びにきた。

「2人ともいくわよ」

「護衛は、なしになったのかい?」

プヨンは、おおよそ答えはわかってはいたが、笑いながら聞いてみた。

「当然よ。でも、あっちも意地があるのか、護衛はいると言い張って手ごわかったわ。だから、レオンがついてくることになったの」

「レオンって、さっきの見習いの?へー」

ユコナも顔見知りだし、特に拒否感もなさそうだった。大人や上官がついてくるのとは違って、指導的立場でもないだろうし、そんなに緊張するような感じでもないだろう。

そう言っているうちにレオンが荷物をもってこちらに寄ってきた。

「よろしくお願いします」

レオンは、礼儀ただしく、挨拶をしてきた。サラリスとユコナはもともと知り合いのようだから、プヨンは、名前だけ言って、出発することとなった。

町を出ると、しばらくは街道沿いに歩いていく。町の方に行く人もちらほらいる。ときおり、馬車なども走っていくので、道の端のほうを、2人ずつペアで並んで歩いて行った。サラリスは、レオンと久しぶりなのか近況報告を聞きながら、レオンはサラリスをメインで護衛しているからか、並んでというよりは、先導するかのように歩いている。プヨンは、ユコナと並んで雑談をしながら歩いていた。


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