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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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回復魔法の使い方6

一息ついて、プヨンは、次の治療にあたるため、モーントのほうを向いて確認した。

「足は残っているって聞いたけど、切られた足ってあるの?」

そう聞くと、モーントは、自分の袋から、一回り小さい袋を取り出した。開けると、氷漬けの切られた部分が入っていた。まだ、時間が経っていないのか、傷口はひどいが傷んでいるようには見えなかった。

(これだったら、切断面だけくっつければ、動くんじゃないのかなぁ)

プヨンは、そう考えていた。ホイザーは、足を渡したのを見ると、モーントとディオネのほうを向き、

「モーント、ディオネ、ちょっと話がある」

といって、2人を連れて、部屋を出て行った。


プヨンは足を手に取り、クレスタの足先に巻いている包帯を取り、その根元部分に押し当てるようにくっつけた。プヨンは、残っている左足を見ながら、右足の再生を始めた。今度は、切られた部分がほとんど残っているので、つなぎ目の部分だけの材料を集めたあとは、切られた足を使うことでなんとかなりそうだった。左足を見ながら、右足にコピーした部分を作り出していく。もちろん、左右逆にだけど。斬られた足の中央部分で、応急処置でできていた皮膚が裂けたところに、切られた足を押し付けた。切断面のそれぞれの組織をつないでいく。そのあとは、時間がたって機能していなくなっているところを探し、部分的に作り直していった。ユコナは、その様子をじっと見つめていた。5本の指を再生し、爪が整ったところで治療終了となった。ものは大きいが切断面を中心とした治療なので、こっちも5分程度で終わった。

「よし、終わり。ただ、まだ、動くかどうかはわからないよ。あとで、クレスタが起きたら、指がちゃんと動くかどうかとか、確かめてもらわないとな。じゃぁ・・・、ちょっと疲れたから、ユコナ、最後の仕上げをしてよ。もうあとは表面を治すだけのはずだよ」

プヨンは、ユコナの方を向いて、そう言って立ち上がり、テーブルにあるお菓子をつまみにいった。

「おなか減ったから、ちょっとつまんでくる。」

ユコナは、ずっと固まって様子を見ていたが、

「え、えぇ、私がですか?・・・わ、わかりました。やってみますね」

「命をつかさどる慈母神よ、この者の姿をあるべき姿に戻したまえ」

心ここにあらずで、ちょっとふわふわしているような感じではあったが、プヨンは椅子から立ち上がり、ユコナは代わって座った。プヨンは、治療に集中したからか、無性におなかが減っていた。別の椅子に座って、また、部屋の入口そばのテーブルのほうに行き、飲み物を取り出して飲んで、置いてあるものをつまんでいた。

ユコナは、足をつないだところの表面や、あちこちにある小さい擦り傷を順番に治していった。

「ふぅ、終わりました。きれいに治ったと思います。私も疲れました。ちょっと休憩です」

無事、終わったようだ。もともと治せるといっていたから、小さい傷は問題なく治せたようだ。

「さすが、ユコナさん。お疲れ様でした。完璧ですね。俺じゃ、こうはきれいに治せません」

そう言うのと同時に、

ガバッ。

急に、クレスタが起き上がってきた。状況がわからず、まわりを見て、キョロキョロしている。

「あ、クレスタさん、目が覚めましたね。気分はどうですか?」

寝ていたクレスタの横に座っていたユコナが、クレスタに聞いた。

「あ、あぁ。俺、どうしてたんだっけ?」

「治療の途中で気を失ったみたいですよ。指と足はどうですか?動きますか?」

ユコナは、状況を説明した。プヨンは、部屋のすみで、おやつを食べてまったりしている。

「ゆ、指だと?・・・」

そう言いながら、自分の右手に指があることに気づいたようだ。2本とも動いているところを見ると、ちゃんとつながったようだった。足もつま先を上げ下げして動かしているし、足の指も動いているようだ。

「お・・・おぉ・・・。ねえさんが治してくれたのかい?半分あきらめてたんだが・・・」

「え・・。い、いぇ。私は」

と言いかけたところで、ホイザー、モーント、ディオネの3人が部屋に戻ってきた。それを見て、クレスタが、

「こ、この子が、足、治してくれたらしいよ。信じられんけどよ」

ホイザーは、それを聞いて、

「えっっ」

と、短く叫んだが、それを押しのけて、ディオネがクレスタのほうにかけよった。

「これ、怪我してたの、右足でしたよね??たしか、このあたりだったけど。見分けがつかないね」

と言いながら、切れていたあたりを指で触ったりしている。プヨンも3人が入ってきたので食べるのをやめて、立ち上がった。ユコナのほうに近づきながら、言っておかないといけないことを思い出して、

「あ、そうそう。治すとき、他のところからちょっとずつもらってきてるんで、怪我の前ほどしっかりとは動けないよ。しばらくは、無茶しないで、ふつうに生活してね。いきなり高いところに飛び上がったり、踏ん張ったりすると、また、傷めちゃうかもよ。腱とかはそれなりにしっかりとついてるとは思うけど」

「あ、腱?ってなんだ?まぁ、無茶はしないよ」

クレスタは、怪我したのがわかっているので、素直に聞いてくれたようだった。

プヨンは、そういった後、ユコナのほうを向いて、

「ユコナ、そろそろ帰ろうよ」

と声をかけた。すると、ホイザーがそれを聞いて声をかけてきて、

「プ、プヨンとユコナ。ちょっと待ってくれ。今日のこの治療の件だけどな、十分な礼ができないんだがな」

「えー、お礼って、別に、もともと、お金とろうって思ってなかったよ?」

ユコナのほうをみたら、ユコナも、うんうんとうなづいている。同じ考えのようだった。

そう言ったら、ホイザーは、あわてて、

「いやいや、それはそれでダメだ。無料でできる範囲じゃない。他のやつらの手前もある」

と、あわてている。無料は無料でまずいらしい。

「そうなんだ。じゃぁ、ユコナとわけるよー」

「え、私もいただけるんですか?大したことしてないと思いますが」

と、遠慮がちに尋ねてきた。

ホイザーは、それを聞いて、

「今回は、3000で手を打ってくれ。それと、前回、俺の指を治してくれた礼として、もう1000。あわせて、4000だ」

「え・・・、4、4000って?」

プヨンは、数字を聞いて驚いたが、ホイザーは、

「わかってる。少ないんだがな。レスルの仕事中の保障と、こいつらがすぐ出せるのがこのあたりが限界なんだ」

そう続けた。モーントとディオネもなんとなく申し訳なさそうにしている。しかし、プヨンは、予想外の金額にちょっと驚いていた。ユコナは貴族だからか、あまりお金に執着はなさそうだったけど、金額が多いことはわかったようだった。

「4000って、4000グランってことよね?それって、少ないの?その辺でごはん食べても5とかだよね?」

そう聞いてみたが、ホイザーは、

「あ、あぁ、そうだ。相場だと、これの倍近いはずだ。頼む」

えらく、下手にでてくる。プヨンは、あまりの高額な謝礼に、どうしたものか考えていたが、

「べ、別に、その、それでいいと言うのなら、全然いいんだけど、ほんとにそんなにもらっていいのかい?」

と、聞いてみた。ユコナも、固まっている。

「あ、あぁ、もちろんだ。ありがとよ」

ホイザーは、ほっとしたようだ。それを、聞いて、モーントとディオネも軽く頭を下げていた。

クレスタは、そのやり取りを聞いて、

「2人ともありがとよ。2人とも恩人だ。なんか俺らにできることがあったら、何でも言ってくれ」

と、言ってきた。かなり感謝しているようだった。まぁ、手足がなくなるところだったんだから、当たり前といえば当たり前だろうけど。

「なんでもって言われてもなぁ。じゃぁ、今度、自分たちを、簡単なレスルの仕事とかに連れて行ってよ。できたら、剣とか武器の使い方とかも教えてほしいなぁ」

モーントの大きな剣を見ながら言ってみた。ユコナもそれを聞いて、

「あ、私も、プロの人がどんな魔法使うのか、見てみたいです」

同調してきた。

クレスタもディオネもそれを聞いて、

「あぁ、もちろんだ。剣なら教えてやれるよ」

「もちろんよ、なんでも聞いてね」

モーントも、うんうんとうなづいていた。



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