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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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レスルの登録の仕方5

 サラリスとユコナの2人はレスルの登録準備をしている。しばらく言い合っていたが、結局登録時の技能課題は魔法関連で受けることにしたようだ。


 武器も魔法も身につけるにはいかに学び、実践できる環境があるかだ。


 富裕層や貴族なら当然教育される機会があり、周りにいる熟練者の魔法を見ることも多く、結局使えるものの割合が圧倒的に多い。


 ただプヨンも2人が試験を受けるとなったけれど、どの程度使えるかはよく知らない。見たものがすべてで、あれが限界かもよくわからない。


 周りも過剰に意識するような様子もなく、そこは割り切っているようだ。


 レスルでは子供が小遣い稼ぎ代わりや、単なる身分証がわりに登録することもよくある。


 貴族や富裕層は一般的にレスルで仕事をして金を稼ぐという事はまれで、どちらかというと依頼する側だ。ただ仕事を頼む側も登録自体は必要で、代理が立てられないこともあるため、貴賎を問わず登録することは多い。


 これは嗜みとして武術や魔法などなにかしら学び、その成果を示す手段としてレスルの資格取得が手っ取り早いからだ。ユコナとサラリスもここでは持っていないだけで、こうやって登録するのもよくあることといえた。


 すぐに準備が終わったみたいでヒルマが戻ってきた。


 続けて建物を抜けて奥のほうに連れていかれると、そこは屋外の広場に続いていた。


 薄く草の生えた多目的広場で50m四方くらいの広さがあるが、端の方で武器の指導を受けているものが数人いる以外はほとんど人がいなかった。


 ヒルマは案内だけのようですぐ戻っていくと、入れ替わりでひょろっとした中年の男性が入ってきた。


 人型の木像をもっている。像を5mほど離れたところにおいたあとこちらに歩きながら自己紹介をする。


「ここで魔法系の指導をしているケルンといいます。よろしく」


 2人が貴族だと聞いていたからなのか、未熟な年下相手にも丁寧な言葉遣いだ。


「よろしくお願いします」


 3人も挨拶をして頭を下げる。


「今回は魔法希望と聞いてるんですけど、条件指定がないのでそんなに難しくないんで。あそこに等身大くらいの人型模型がたってるんでしょ。あれにむかって何でもいいから魔法を放ってください」


「条件指定ってなんですか?」


「あぁ、物体移動とか、大きさ指定とか。ない場合は好きな魔法で放って当てれば合格です。威力を見るわけじゃないですが、届かないとダメです。命中しなくても届けば、魔法での放出ができるとみなしますので」


 像は5mは離れてないくらいか。命中させる必要もなく指先発動の魔法以上のことができればいいようだ。


「どなたからいきますか?」


 ケルンに聞かれたので3人はお互いを見合ったが、誰も遠慮はしない。


「じゃぁ、私からいきますね」


 サラリスが元気よくこたえる。


「わかりました、じゃぁ、そこの線のところに立って、準備ができたら好きなタイミングで魔法を使ってください」


「わかりました」


 ケルンの説明を受けてサラリスはそう答え、緊張しているのか一回大きく深呼吸した。そして大きく両手を広げて胸の前に集めるようなしぐさ、ギャザリングをした。


「わが指先に集いし、灼熱の炎よ、かの像に向かって解き放たれよ」


 そう唱えキャスティングを続ける。


「おぉっ」


 思わずプヨンは声が出た。直径30cmはあろうかという火の玉が、サラリスの指先に現れ、それが像に向かってとんでいった。それも、けっこうな速さがでているように思われた。


ドスッ


 鈍い音がした。


 火の玉は像にぶつかり、砕け散りながら像を押し倒したようだった。像も表面が焦げており、表面の一部は溶けてしまっていた。


「おぉ、お見事です。かなりの威力ですね」


 ケルンは威力に少し驚いているように見えたが、特にあわてることもなく次の像を持ってきた。


「では、次はどなたがいきますか?」


 ケルンが尋ねる、ユコナが答えた。


「では私で。お願いします」


「わかりました。ユコナさんは、えーっと水ですか。では準備ができたらどうぞ」


 ユコナも一呼吸おいてからサラリスと同じようにギャザリング、続けてキャスティングを行う。


「凍てつく氷晶よ、吹き荒れよ。そして、像を打ち倒せ。リーベン」


 そう言い終えるとユコナの手のひらに氷の粒ができ、それが徐々に大きくなっていく。


 サラリスの火の玉に比べると一回り小さい氷の塊となり、その時点で吹雪のような冷気とともに像に向かって解き放たれた。これもかなりの速さで像に向かって飛んでいく。


ドゴン


 氷は像にぶつかり氷は砕け散った。像もひびが入り倒れた。


 ユコナは少し息を切らし、汗もかいているのか額が光っている。かなりの疲労があったようだ。


「こ、氷ですか。あれだけの氷を一息で作るとは・・・」


 ケルンは小さい水玉でもぶつけると思っていたのだろうか、かなり驚いている。


 ケルンは驚きながらも像のところにいき、像を立て直した。像はひびがいっただけなので、この像で続けるつもりだということがわかった。


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