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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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レスルの登録の仕方4

 次の日、ユコナとサラリスの2人がやってきた。いつもの薬瓶へのお祈り練習が終わるタイミングを知っているかのようだ。


「おはよー、早いね。タイミングぴったりだね」


「もちろんよ。抜かりなく調べたし」


「プヨン、おはよう。今日はよろしくね」


 サラリスは計画した時間通りと自慢する。目的は昨日約束したレスルに行く件についてだ。


 溢れ出る何かがここまで漂ってくる。サラリスがいかにやる気満々かは見なくてもわかるくらいだ。


 元気が有り余っている。


 今日は何するのかが楽しみなのか、挨拶もそこそこにすぐに移動する。


「ここはいかに見つからないようにするか、こっそり行動の練習しましょう」


 そんなサラリスの提案で、密かに移動しようとしたが、ことあるごとにヘマをするサラリスが目立って仕方ない。プヨン達3人は結局見つかるたびに話しかけられ、行きかう人たちに挨拶しながら、連れだってレスルに到着した。



 建物の前に到着し、ためらうことなく入口から中に入った。


 低年齢3人が入ってきたせいでこちらに興味をもったのか、まわりの大人の一部はこちらをみているが、3人は特に気にせず受付に向かった。


「すいませーん、新規の登録をお願いしたいんですけどー」


 大きめの声で呼びかける。


 新規の子供登録は、せいぜい身分証替わりが多い。あとは小遣い稼ぎがせいぜいで、街の外に出るような事は少ない。


 周りで見ていた大人も要件がわかると興味をなくし、お使い仕事は勝手にやってくれと、みんなこちらを気にしなくなってしまった。


「ちょっと待ってねー」


 声だけの返事が返ってきたあと、ちょっとしてヒルマがやってきた。


「あ、プヨンは久しぶりね。そちらの2人は?」

「あ、こんにちは。この2人はここのレスルにくるのは初めてなんです。登録ってお願いできますか?」


「新規の? いいですよー。ここって事は他はあるの?」


 そう言いながら、手際よく登録用紙を準備をする。


「お二人は特技ってあるのかな? C登録でいい?」


と、ヒルマはお決まりのことを聞いていく。


「え、特技ですか? 特技と言っても、これといって特別にできることは……」


 ユコナは意図を理解し、なんとか捻り出そうとするが、何を言えばいいかわかっていないようだ。


 プヨンは2人がすでにある程度の魔法を使えるのを知っている。さりげなくサポートする。


「でも、2人って、魔法が使えるんでしょ? 見せてもらったことあるよ?」


 と周りにも聞こえるように確認したが、ヒルマはあまり興味がなさそうだ。程度がわからないと、使いようがない。確認のためか、両手を広げて1mくらいの間隔を示し、簡単なテストをするようだ。


「魔法っていっても、レスルに登録されるには、それなりのじゃないとダメよ。火をつけるだけじゃなくて、それなりに操れないと。少なくとも火をだしてこのくらいの距離は制御して飛ばせないと……」


「そのくらいならできると思います。サラリスもできるよね?」


 ヒルマの問いにユコナはそう答え、サラリスもうなずいている。


「え、そ、そうなの? プヨンと同い年くらいに見えるけど。女の子で、火ができるの? もちろんテストは簡単だからすぐ試せるんだけど……。じゃぁ、とりあえずここに名前、年齢を・・・・」


 サラリスとユコナは用紙を受け取り、そばのテーブルで名前を書くとすぐ戻ってきた。記載後の用紙を受け取り、ヒルマは内容を確認する。


「えーっと、2人とも10歳で、ここは登録は初めてよね。・・・えっ・・・名前に、ツー、が入っているけど、2人って、もしかして? 貴族なの?」


「えっ、ユコナとサラリスって貴族なの?」


 聞いたこともなかったが、2人の名前欄を見ると、サラリス・ツー・カミリノ、ユコナ・ツー・ナイゲンと書かれている。これが正式名らしい。


 貴族やそれなりの家系の場合、ツーを入れ家系などを強調することが一般的らしく、名前である程度判断できるらしい。


 もっとも立場がわかったところで、どう振舞ったらいいのかもわからないし、聞かなかったことにしておく。


「え、そうだよ。プヨンには言ってなかったっけ? そんなに気にしなくてもいいわよ。先祖代々続いているんじゃないから。親も言っていたけど、お金でも買えるものだし免税証とか選挙権みたいなものらしいわ」


「選挙権? 一定以上の収入があればできるってやつか?」


 サラリスはそうだと答える。ユコナも特に気にするでもなく、鼻にかけるような態度もない。2人ともそこに対する特権意識みたいなものもないようだ。


 ただ、ヒルマはその返事を聞くとちょっと言葉遣いが変わった。


プヨンの印象だが、貴族の子ならある一定の教養や魔法の勉強とかしていても不思議じゃないと納得したからかもしれない。もちろんどのような習い方にしろ、使えるということは2人とも素質もあるのだろう。


「じゃ、じゃぁ、ちょっと魔法系登録試験の希望者がいると連絡してきますね……。その得意魔法の種類の希望ってありますか? できる人には簡単ですし、種類によって変わりますけど、テストといってもすぐ終わりますよ」


ヒルマは聞いてきた。


 3人はちょっと顔を見合わせたが、ユコナとサラリスはどう答えたらいいかも含め悩んでるみたいだから、

「えー、サラリスは火だっけ? ユコナは氷? 水? でも回復も習ってるって言ってたよね」


そう振ってみると、2人はちょっと考え、それでいいとうなずいた。

 

 それを聞いてヒルマは、


「火と水と、回復もですか・・・。わかりました」


ヒルマは用紙に何か書き込んでいる。それを見ながらプヨンは、


「ねぇ、試験って簡単なの? 俺も受けられるのかな?」


「プヨンも?ついでだったらやってもらえるかもね。何か受けたいの?」


「うん。ちょっと魔法で試してみたいことがあるから、もしできるなら」


 プヨンが返事をするとヒルマはうなづく。準備すると言い残して、奥に行ってしまった。


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