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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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電気魔法の使い方 2-3

 ルフトは片が付いたが、レヒトは、まだ、無傷で残っていた。

 これで終わったわけではないのだろう。油断しないで、あたりを警戒し、先ほど声のした方向を見る。


 身構えていると、突然、10mほど離れたところに、20cmほどの円錐状の氷が2本、現れるのが見えた。

 頭上の光を受けて、紫色の氷になっている。レヒトが出したのだろう、当然、プヨン目掛けてとんでくる。


 先ほどのルフトとの名残で、まわりの粘度が高いため、氷塊も速度が落ちていた。

 避けられない速さではない。異なる方向から飛んでくるが、タイミングをあわせて、左右にステップを踏んで避けることができた。


 しかし、避けた氷は、2本ともそのまま落ちず、軌道を曲げ、大きく弧を描いたあと、前後から戻ってきた。


「あっ」


 予想外に戻ってきた氷に驚き、プヨンはとっさに声が出てしまう。油断していた。


(うっ。避けきれないか)


「ハーリンガム」


 とっさに両手を広げ、左右から飛んでくる氷塊に力を加え、逆方向に投げ返してみた。

 レヒトが投げ続けようとする力と、プヨンが投げ返そうとする力が拮抗し、氷塊は、空中で停止する。

 レヒトが力をさらに込めたためか、体を動かしたようだ。

 磁界の変化でレヒトの位置がわかったが、今は氷に力を加えている状態だ。残念だが、レヒトに向かって仕掛ける余裕はない。仕方なく、氷塊の押し合い状態になった。


グググッ


 押し返す力は、氷塊までの距離が近いこともあってプヨンに分があるようで、少しずつ押し戻していく。が、


バキッ


 少し押し戻したところで、氷塊はどちらも、砕け散ってしまった。


ドス、ドサッ


いくつかの塊りに砕けた氷が地面に落ちた。


「ここまでだ。まぁ、いいだろう」


 突然、レヒトが声を出し、姿を現した。そして、ゆっくりとプヨンに近づいてくる。


「なかなか、やるじゃないか。よほど、ルフトよりは上手に見える」


 レヒトが声を出し、賞賛してくれた。どうやら、納得したようだった。

 『隙あり』と仕掛けようかと思ったが、レヒトは紳士だ。ここは引き分けにしておくことにした。



 ふと、建物の方を見ると、ユコナが走り出てくるのが見えた。

 派手な音こそさせなかったものの、庭でガサゴソしていたのだ。たまに雷撃や炎の閃光も見えていたのだろう。

 何ごとと、ユコナが飛び出してくるのも仕方なかった。


 そして、もう1人、最初から、プヨンやルフトがいる奥にいた、3人目の人物も近づいてくるのに気が付いた。

 

この人物も、姿は見えず、温度も感じない。電界を乱すため、位置が特定できているだけだった。


「プ、プヨン、な、何をしているのですか? ルフトさんは、これは、どうしたので?」


 そばまできたユコナは、ルフトが倒れているのを見て驚いたようだ。

 何があったか、聞きたくなるのは当然だろう。


(さぁ、どう答えたものか・・・)


 少し悩む。おそらく、レヒトとルフトは、ユコナの護衛をしてほしいとは言ったが、なんとなく、それはユコナには秘密な気がした。


「じ、実は、少し、ルフトが無理難題をいうから、お仕置きを・・・してた」

「お、おぉ?」


 レヒトは、突然のプヨンの説明に、戸惑う。もちろん、ユコナも、聞き返す。


「えぇ?ルフトさんが、何かやったのですか? ルフトさんが?」


「あぁ、ちょっと言いにくいんだが、ユコナは、今度学校に行くだろう。僕もいくんだけど」


 わざと、少しためらいがちに言う。


「それは、そうですね。それと、何か関係が?」

「あぁ、関係がある。1日の24時間の中では、ユコナは、風呂に入ったり、寝たりするだろう?他にもいろいろあるだろうが」


 そう言われたユコナは、いったいプヨンは何が言いたいのだろうと、ますます怪訝な顔をする。


「そ、それは、まぁ、当たり前ですが、話が見えてこないのですが?」


「だからさ、ルフトがね、24時間にはチャンスがある。ユコナの風呂や寝顔を見張れ、と言うんだよ。俺はいやだって言ったんだけどね・・・」

「えぇ?」「おぉっ?」


 プヨンを除いた2人、ユコナとレヒトが驚きの声をあげた。3人目も、声こそ出さないが、動揺しているのが感じられる。


「もちろん、本当だよ。レヒトさん、ルフトは、24時間監視しろって言ってましたよね。それを、2人で説得していましたよね」


「・・・たしかに・・・24時間監視しろとは言っていたが」


 まだ、何か言いたそうにしていたが、ユコナはそれを聞き、


「し、信じられません、ルフトさんが、そんなことを言うなんて。と、とりあえず、目を覚ましたら、事情を聴きます。ほんとうかしら・・・」

「まあ彼も男だから」


 追い討ちをかけておいた。目が覚めたら、つらいかもしれない。

 ユコナは、何度も、ほんとうかしらと繰り返しながらも、


「レヒトさん、ルフトさんを、宅内に運んでください」

「わ、わかりました。すぐに」


 プヨンは、レヒトが、ルフトを担ぎ上げながら、吹き出しそうな顔をしているのに気づいた。

 もちろん、自分が同罪にならなかったので、ほっとしているようでもあったが。


 ユコナと、ルフトを担いだレヒトが、邸宅内に戻っていくのを、プヨンはじっと立ったまま見送っていた。



 3人がある程度進んだところで、プヨンは、


「それで、ミッテさんは戻らないんですか?」


 先ほどから姿を現していない3人目はミッテさんしかいないだろうと踏んで、かまをかけてみた。

 そして、先ほど確認した位置に手を伸ばす。腕らしきものを掴めた。


「えぇっ? いつから気が付いていたのですか?」

「最初から。木か何かの上にいたように思いましたが」

「そ、そうですか。気配を殺して空中に浮いていたのですが、気づかれるとは思いませんでした」


 そういうと、ミッテは、姿を現した。


「プヨン、あの2人は気づいていなかったようでしたが、お見事です。そこまで、周りに注意できるのなら、心配することは少なそうです。しかし、どうやって位置を確認したのですか?」


「なんとなく。そんな気がしたから、まわりを観察したら気配を感じました」

「ふふふ、方法は、秘密ということですね。気軽に人に言わないところも、たいへんよろしいです」


 満足気に頷いたミッテも、それだけ言うと、邸宅の方に歩き出した。


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