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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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入学試験の受け方 2-2

 プヨンは、持久水の試験部屋に入ったと思ったら、1分も経たずに出てきた。それを見て、ナゲルは驚きながら、


「ど、どうしたんだ?入ったと思ったら、もう出てきたのか?」

「は、はい。試験は終わってしまいました」


 たしかにプヨンは入ってすぐに出てきた。時間からしたら、まともに入学試験を受けていないと思われたのだろう。

 しかも、プヨンは気にしないが終わってしまったという言い方が、終わらされたと取られてしまったようだ。


「そ、そうか。それは仕方ないな。次の試験で、しっかりがんばってくれ。次は、この通路をまっすぐ進んで左に曲がるんだ」


 そう言われ、プヨンは言われた通りに歩き出した。 

 次の試験場所も、そう離れていない。通路を歩いて角を曲がると、すぐ次の場所にたどり着いた。大部屋の前に、さきほど前半分のグループを引率していった試験官の一人がいた。


「あれ、お前、もう1番組の試験が終わったのか。早いな。他の者たちはどうしたんだ?」


 プヨンが1人で来たことをいぶかしがりながらも、話しかけてきてくれた。


 「え?えぇ、終わりました。これを渡せばいいんですかね?」


 さっき試験終了時に受け取った控えの紙を渡した。


 試験官は、紙をざっと、目を通して、試験記録の7を見つけると、


「おっ。プヨンっていうのか、7ってことは、7分か。なるほど早く終わったのはそういうことか、なかなかやるじゃないか」

 

 試験官は、常識的に考えて7秒と7分を勘違いしてつぶやいたようだったが、プヨンは、扉の前にあった、あるものに興味があり、そちらを見ていて、気づかなかった。


 プヨンがみていたもの、それは土台がかなりしっかりした高さ1mくらいの大きな燭台のように見えた。ただ、一番上のところは、蝋燭や松明ではなく、草色の球体がついている。ためしに、触ってみると、布のようなものでできている。ちょっと湿り気でもあるのか、ねばっとした感じがあった。


「あぁ、そいつが気になるか。そいつは、MH、ミーハーボールだ。魔法の影響を受けると色が変わるんだ。ここに表があるだろう。今はMIP0、この真ん中の草色だ」


 そう言われて壁を見ると、色の表がある。真ん中にMIP0の緑、左端に、MI7と書かれていて、青、右端は、MP7と書かれて赤くなっていた。


「なんですか?これは?」

「ん?あー、なんていえばいいのかな。お前は、街で回復瓶を見たことがあるだろう。草から取り出した薬液に回復魔力をため込むやつだ。あれをちょっと加工した薬が、そこの布製のボールに浸してあるんだ」


 薬液というと、プヨンが教会で祈りを捧げて作っていたミメモム草のようなものなんだろうか。


「この色は?」

「うん?あー、その色な。その薬にちょっと加工するとな、試薬になるんだよ。中性だと、そこにあるような草色になるんだ。それがこの真ん中にあるMIP0だ。そっから、魔法でいろいろされると、赤色になったり青色になったりするんだよ。その程度によって、色合いも変わっていくんだ。ほら、ここだけちょっと色変わっているだろ」


 そう言われてみると、ボールの端っこに、ちょっとだけ、色が変わって、黄緑のようになっているところがあった。


「まぁ、暇だし、特別に見せてやるよ。よく、見てろよ」

 

 そういうと、試験官は、何かつぶやいて、指先に蝋燭程度の火をともした。そして、指先を動かし、炎の先がボールをかすめるようにした。


「ほら、ここが色が変わっているだろ。ちょっと魔法で何かされるとすぐ色が変わるんだ」


 そう言われると、炎がかすめたあたりのボールの表面の色が変わっており、緑字に、黄緑の線が入っていた。


「なるほど。ごくわずかでも?じゃぁ、このMI6とかMP7とかは? 」

「あー、受ける影響の方向によって違うんだ。MIはマイナスで、MPはプラスって意味らしい。数字が1違うとエネルギーは10倍違うらしいぞ」


(なるほどなー、ペーハーみたいなものかぁ。何がマイナスでプラスかはわからないけどな)


 そうこうしていると、プヨンと同じ組のメンバーの残りが現れた。プヨンが先にきていることで違和感を感じていたようだが、特に言葉を交わすこともなかった。皆、試験官に試験結果の紙を手渡していく。


「よーし、お前らは、前半組が終わるまで、そこらへんで適当に時間を潰していてくれ。休憩だ。たぶん、1時間くらいはかかるはずだ。1時間後にここに集合な」


 試験官にそう言われて、皆、無言で、散っていった。予想通り、先にすると休憩に回せるようだ。もっとも次も先に試験すれば大差ないかもしれないが。


 プヨンも、適当に待機場所の部屋で、ごろっと横になって時間を潰す。

 15分おきくらいに、数人部屋にやってくる。それを何度か繰り返すと、予定の時間になっていた。


「よーし、そろそろ時間だなー。じゃぁ、説明をするから、こっちに集まってくれ」


 先ほどのボール付の台を持った試験官が控室に入ってきて、大きな声で皆を呼び集めた。


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