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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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入学試験前日 2

 いく人の流れは絶えずして、しかも、もとの人にあらず。天気もよく、プヨンの初・町間移動は順調だった。少し、のんびり歩いていたが、結局、マックボードを使って、移動することにした。


「イエロークリート」


 最初は、足で地面を蹴ったりして、マックボードの試しのりをしていたが、それも飽きてきて、ふつうに乗るようになった。

 魔力で自分の背中を押しながら、体重を左右にかけて、左右によけたりしながらすすんでいたが、しょせんは砂利道だった。あまりスピードを出しすぎると、ちょっとした地面の凹凸で弾んでしまう。


(ちょっと自分を横に押すだけじゃなく、自分自身を斜め上に持ち上げるとボードにかかる体重が減る分、地面からの反動が減って乗り心地はいいな)


 徐々に、早く乗るコツもわかってきた。体重を軽くすることは、それなりに負荷がかかるからか疲労を感じるようにはなったが、それでも、プヨンにとっては、早歩き程度の疲れで、そこまで気になるレベルではなかった。


 調子が出てくると、同じようにマックボードで移動している人や、ゆっくり走る馬車も追い越せる。時速でいうと40kmくらいは出ているのか。ちょっと追い抜くときにびっくりされるのが気分よかった。


 2時間ほど走って昼前には、小さな村に到着した。

 ふつうに歩いたらまる1日はかかる距離だ。特に用事もなく通過する。そして、さらに1時間くらい、そろそろ昼だ。街道から少し離れたところに森が見えるので、そこで休憩する。


「じゃぁ、まぁ、お昼に何食べようかなぁ」

 街道を離れ、ちょっと何か手ごろなお昼ご飯がないか探す。空を見上げると、サンダーバードが飛んでいるのが見えるので、これを狙うことにした。


 そうすると、ふいに岩陰から声をかけられた。

「そこの方、昼ごはんをごちそうしてくださいな」


 唐突に声がかかったこと、そして、内容が内容なこともあって、驚いて振り向くと、そこに1人の女性がたっていた。年齢はプヨンより2、3上に見えるが、服装もおかしい。

 どちらかというと室内着のような薄手のもので、野原の真ん中に立っているようなものでもなく、やたら、スタイルを強調しているようにも見えた。

「もう一度言います。持っている食料をお出しなさい」


(盗賊にしては、昼メシの要求だけ。服装もへん、しかも女が一人で、おかしいことだらけだ。)


 やたら、高圧的な命令口調で、これでわけてもらえると考えているなら、おかしな頼み方に感じられた。町の間でこんな服装で、食べ物だけ要求している。ちょっと頭のおかしな女が食べ物をねだっているのかもしれないが、ちょっとかかわり合う気にはならなかった。


「うーん、悪いけど、今からおかずを狩るところだから、あげられないよ。まぁ、余ったらわけてあげてもいいけどさ」

 

 今から昼メシのおかずを探すつもりだった。鳥一羽でも取れたら1人では食べきれないだろうし、わけてやってもいいが、言い方からして、素直に上げたくはならなかった。


「えーーー。なんで、あげたくならないの。なんでなんで?」


 突然叫びだす。しかも、言っていることも、あきらかに不自然ないい分だ。ふつうに考えたら、図々しくて相手したくならないはずだが、なぜか不思議と居心地の良さも感じられた。


「きみは一人なの?盗賊なら最初から金目のものを盗りに来るだろうけど、食事だけってしょぼくないの?逆に、僕に頼んでるとしたら、そんな頼み方じゃふつう譲る気にはならないよ」


「あげたくなるでしょー、完璧なくらいかわいいお姉さんだよ。おかしい。おかしい」


 なぜか、自称かわいいお姉さんが、やたら腕を振り回しこぶしを握り締めて力んでいる。何に力を入れているのかは知らないが、やたらおかしいを連発している。ただ、言っていることは滅裂なのに、不思議となんともいえない安らぐ声が続く。


 プヨンは、まともに聞いておらず、独り言に近くなってきた。徐々に声が小さくなっていく。その時、プヨンはふとあることに気が付いた。


(たしかに何かおかしい。声が、女性の位置から少しずれて聞こえてくる。1mほど横あたりか)


 目の前のスタイルよさげな女性がしゃべっているはずなのに、口はあまり動かず、声の位置も何かずれている気がした。


 ふと思いついた。

「メインフレアー」


 小声で呟き、赤外線で確認する。体温があるため、周りより温度が高い部分が見える。目の前の女性のシルエットが見えるが、すぐ横に案の定もう1つ小さい人型が見えた。


「わ、わかりました。すぐ昼食を用意します」


 ホッ


 何かため息のような声が聞こえた。

「ようやくわかりましたか。よろしい。で、何があるの?」


 出だしはおとなっぽい声だが、後半は、妙に図々しいというか、子供っぽい声になる。

「そ、そのかわり・・・」

「え?そ、そのかわりって???」


 条件を持ち出されるとは思わなかったのか、また、慌てだしたところで、頭と思しきところを両手で捕まえる。もちろん、小さいほうのシルエットだ。


「姿をあらわせぃ」

「ひ、ひえー、な、なんでわかったの?」


 女の子の悲鳴があがった。


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