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魔法の使い方教えます  作者: のろろん
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意地の張り合いの仕方 2

 レオンは、サラリスほど気がたっていない。まだ、冷静さを感じ取れた。そこまで言うからには自信があるんだろう。プヨンは、レオンの成り行きを見守っていた。


「けっこう、サラリス、ご立腹だけど、大丈夫なのかい?」

「そうですねぇ、どうでしょうか。火球であれば、なんとかなるでしょう」


 どうでしょうなどと言いながら、口調は相当自信がありそうに見えた。

「サラリスとやり合ったことはあるの?」

「サラリス様はないですが、魔法兵や弓兵との訓練はたまにありますよ」

(なるほど、初めてじゃないんだな。根拠があるんだな)

 プヨンは納得していた。


「レオン、あっちいきなさいよ、そこの木の切り株のところくらいよ」

「いいですよ。手加減はしなくていいんですね?」

「望むところよ。全力で来なさいよ」


 サラリスとレオンは、20mくらい離れて向かい合った。

「さぁ、かかってきなさいよ。もし、わたしに剣を突き立てられたら、レオンの勝ちよ」

「わかりました。じゃぁ、いきますね」

 

 そういうと、レオンは、小型の盾を取り出した。しかし、剣は抜かないで走り出す。


ザザザザッ


 レオンは、盾をかまえている。

(あ、筋力強化を使ったな。サラリスも、キャスティング中か)

 20mだ。本気で走ったら、3、4秒。あっという間だ。


 サラリスが火球を放つのが見えた。

(あ、サラリス、火球2発だ。1発目の直後にもう1発。レオンから見ると死角だな)

 前後に並んだ火球2発がレオンに向かって飛んでいくのが、真横にいるプヨンにはよく見えていた。


1発目、レオンは、タイミングを合わせて、火球を叩き落とそうとする。それをサラリスは悠然と見ていた。ちょっとほくそ笑んでいる。


 火球はもともと、しょせん火球だ。炎の塊ではあるが、実態がない。高温の空気みたいなものだ。だから、レオンが金属の盾で受け止めると


ブワッ


 炎が舞い上がるが、金属の実態がある盾を超えるには火球の炎はエネルギー的にも小さい。もちろん、瞬間で金属の盾を溶かすことなどできない。

 レオンは、まわりに四散した熱風の余波を受けてはいたが、ダメージはまったくなさそうだ。


 タイミングよく1つ目を叩き落した直後、レオンは盾にあわせて、そのまま右に飛ぶ。

「あ、やるっ」

 プヨンは思わず声が出た。ちょうど1発目を消したあとの2発目が気になったが、飛びのくことでかわす形になった。サラリスも火球の軌道修正ができない。

「あっ」

 サラリスは、2発目を避けられることが予想外だったようだ。驚きの声をあげる。そして、その時点で、もう目の前にレオンが迫っていた。

 レオンが手のひらをまっすぐのばし、指先がサラリスの喉元にあたる。


 あの程度の策は経験済みなのだろう。サラリスの負けだ。


 レオンがにやりと笑い、サラリスがうなだれる。そのまま数秒が過ぎた。

「プヨン、やっておしまいなさい・・・。油断したわ」

 サラリスご立腹だった。もちろん、くやしさ半端なさそうだ。


「プヨンさん、どうしますか?」

「い、いや、やらないよ。あはは。でも、さすがだねー」


 レオンから余裕が感じられる。が、サラリスは、プヨンの肩を掴み、

「ダメよ。やるのよ。敵をうつのよ。逃げることは許されないわ」

「そうですね。プヨンさん、一度やってみましょう」

「な、なんでよ。敵じゃないって。俺はどっちかというと、レオンの味方・・・」


 なぜか、レオンもやる気のようだ。プヨンの発言を聞かず、言うことだけ言うと、レオンはさっさとさっきの位置まで戻っていった。

 まぁ、サラリスの時のような意地の張り合いじゃなく、興味本位というところなのだろうか。


「プヨンさん、いきますよー。準備はいいですか?」

 レオンは念押しをしてきたが、返事は待たないようだ。プヨンが返事をするより速く、すでに走り出していた。


「いいけど、ほんとにやるのかー?」

 しかたなく、プヨンも相手をすることにした。サラリスは、さっきのプヨンの位置で横から見ている。


「じゃぁ、いくよー。アサップ」

 プヨンは、火球を1つ作り、レオンに向けて解き放った。サラリスよりちょっと小さめ、15cmくらいにしたが、速度が遅い。それが、走り寄ってくるレオンに向かっていく。


 あと、少しであたる。レオンは盾で落とそうか、避けようかなのタイミングで、

「シスターン、リーベン」

 レオンの足元に水を出す。そして、瞬時に凍らせてみた。

 レオンは、火球を見ていたので、足元はあまり気にしなかった。が、急に足元にできた氷で足を固定され、足を取られて前につんのめっていた。

 そこに火球がくる。こけながらもなんとか盾ではじこうとするが、


「とりゃ」


 プヨンは、ちょっと軌道を変える。さきほどのレオンを見た限りだと盾で防ぐはず。ちょうど死角になる位置を予測して、下から回り込ませ、左足のふとももに命中させた。

 プヨンの火球の温度は、一般的な火球と同じ1000℃程度だったが、レオンは革製の鎧や厚手の服を着ている。ふとももは肌の露出はほとんどなく、革製とはいえ防御は高かった。


「あ、あぐっ、あちち」


 激しい熱風で顔をしかめる。多少は火傷もしているのか、当たると同時に反射的にうずくまってしまった。が、そこまで致命傷には見えない。

 これが、戦闘中だとうかつに近寄ると反撃をくらいそうだった。やはり、防御があって身構えていると致命傷にするのは難しいとあらためて思われた。


「プヨン、見事であった。でも、私はレオンのとき失敗したからなぁ。勝つのも、なんか許せない」

 中途半端なサラリスのお褒めの言葉をいただいた。


「それは、一回見ていたから。順番が逆だったら、サラもできたのでは?」

「そ、そうよね。きっとそうだわ」

 サラリスが機嫌をなおしたが、レオンもあまり敗北感はでていなかった。

「や、やられました。足元を狙われるとは・・・」


 訓練していたら、この程度の勝った負けたはよくあることと思われた。

「しかし、異なる2種類を連続で使うとは、プヨンさんは油断なりませんね」

 サバサバと批評する。悔しさはなさそうだったが、妙に感心されていた。


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