国王、そして学園②
ほぼ強制的に学園に入学が決定になった俺は、国王たちに魔術の威力を見せるべく、城にある訓練施設のようなところに来ていた。
「リディア、夜なのにやるのか?」
「ん、結界の中は夜だけど結界の外は昼」
「結界?...あ、そうか。ヴァンパイアって日光にダメなのか。でも水とかはどうなんだ?」
ここに来るまでに町の様子とか少し見たけど水とか使ってなかったからな。
「ん、特殊な魔法で作られた水なら大丈夫だけど雨の水とかだとだめ。でも私たち始祖の血が混じってる王族なら日光も雨も大丈夫」
「そうなのか」
特殊な魔法ねぇ...。
魔法って何でもありだな。
◇◇◇◇◇
「よし、じゃあそこの的に向かって撃ってみるのじゃ」
そう言って国王は一つの的を指さす。
「うわっ...なんか魔力抵抗高そうだな...威力としてはどれくらいのものを?」
「威力は今出せる最高ので頼む。....魔力抵抗を一瞬で見破るのか...」
「本当に今出せる最高の威力でいいのか?ここら辺の地形丸々変わっちゃうが」
「....やっぱりできるだけ環境に影響を与えない魔法で頼む」
「わかった。.....【高圧電流】」
【高圧電流】はまんま高圧電流だ。
最大威力で0.1アンペアまで出すことができる。
しかし分散される威力を一か所に集めて球体状にするため威力は人に当てたらそのまま爆散するレベル....だと思う。
日本にいる時にこの魔術を使うことがなかったし、そもそも人に使わなかったからどれほどの威力なのかわからないのだ。大体は感で分かるのだがな。
そのまま腕を前に突き出すと、一瞬で的が爆散した。
そりゃあもう、的の粉さえなくなりましたよ。
完全に"消滅"しましたね。
「なっ.....」
それを見て驚愕に目を見開く王族一家。
...いや、おれ自身が一番驚いてるよ。
初めて使用する魔術で、しかも感覚的に2番目に威力が高い魔術。
それでこの威力なんだから1番強い魔術を使ったら....。
「....凄いな...なぁ、ハルトよ。王宮に仕える気はないか?」
冗談かと思って国王のほうを見たらマジの目をしてやがった。
やめてくれよ王宮とか。ストレスで禿げるわ。
「はは、今はそんなつもりはないよ」
「そうか...。まぁ職に困ったらいつでも王城にこい。いつでも宮廷魔術師として雇ってやるぞ」
「あぁ、困ったら行かせてもらうよ」