死神vs主神、そして帰還の方法
駆け出した両者は己の獲物を構えて激突する。
ハルトはパイソンを。
ミルクーレは魔法を。
身体強化を施したミルクーレの動体視力と知覚能力、運動能力は異常なほど引き上げられており、ハルトが撃ちだしたレールガンも視認してから避けることができる。
「チッ!レールガンを視認してから避けるとかどんな化け物だよ...」
舌打ちをしながら吐き捨てるようにハルトが言う。
ミルクーレはハルトがパイソンを撃ちだした直後の隙を狙ってここぞとばかりに魔法を撃ちこむ。
ハルトはそれを体を無理やりひねることで回避し、お返しとばかりに【神雷】を放つ。
その【神雷】は避けようとしたミルクーレを追い、ミルクーレはまさか追ってくるとは思ってなかったようでそのまま直撃する。
だが直撃する寸前に魔力障壁を張ったようであまりダメージはないようだ。
ハルトは雷を受け、一瞬固まったところを狙い一気に接近する。
ミルクーレはそれも避けようとするが、避けるよりも速くハルトの腕が突き出されミルクーレの頭をがっちりホールドする。
「ウ”ラァ”!」
気合の声と共に思いっきり地面にたたきつける。
地面には中規模のクレーターができ、周りにいた人形は被害に巻き込まれて吹き飛んでしまう。
遠目から援護をしようかと悩んでいた兵士は数m先にクレーターができたことで硬直する。
そのままゼロ距離でパイソンを撃とうとしたが、寸前で拘束から抜け出したミルクーレは回避する。
逆に魔法をゼロ距離で喰らい、クレーターの外まで吹っ飛ぶ。
魔法を喰らった胸はザックリ切られており、僅かだが凍傷したような跡があるので水系の魔法を使ったようだ。
俺は瞬時に傷を再生すると、再び戦闘態勢に戻る。
「防御力も速度もさっきとは比べ物にならないほど上がってるな...身体強化を8割近くに上げてるのに全くダメージが通らねぇ...」
思わずそんなことを呟いてしまう。
身体強化を最大まで上げれば決定打にならなくともダメージぐらいなら入ると思い、出力を上げていく。
ハルトの周りにはあふれ出る魔力が僅かにスパークとなって迸る。
ミルクーレはこちらが出す雰囲気が変わったことに警戒し、一向に近づいてこない。
ハルトは強化した脚力ではなく、縮地を使って背後に移動する。
レベルがMAXになった縮地はもはや短距離転移と思わせるような動きをする。
ハルトがいなくなったことに一瞬だけ警戒を強くし辺りを見回すが、背後に気配を感じ取ったのかとっさに横に飛ぶ。
そこを一発の弾丸がスパークを出しながら通過する。
「気配察知も格段に上がってる、か。これは予想以上にきつそうだな」
ハルトがそんなことを言ってる間にも攻防は続き、気づけば殴り合いになっていた。
ハルトの右ストレートはミルクーレの頬を掠め、ミルクーレのアッパーカットを頭を逸らすことで回避する。
腕を振り上げたところを狙い、ハルトは渾身のボディーブローを放つ。
殴られたミルクーレは口から固形物を吐き出しながら吹き飛ぶ。
数回地面にバウンドしたミルクーレはすぐさま態勢を整え、再び構えようとするがハルトがいないことに首をかしげる。
前、右、左、上。
見回したがどこにもいない。
ならば後ろ、と思い後ろを向こうとするが....。
「オラァ!!」
ハルトに腰を抱えられ、ブリッジの要領で頭から突き落とされてしまう。
そう、"シャーマンスープレックス"だ。
ハルトが放ったシャーマンスープレックスはミルクーレを地面に深々と突き刺し、ハルトは止めとばかりにガトリング砲をぶっ放す。
辺りに爆発音とキュイィィィィという金属質な音が響く。
1分ほどたって発砲をやめる。
そこにはミルクーレの姿はなく、あったのは巨大な穴のみ。
自分の上が不自然に暗くなったと思い、上空を見上げる。
そこには魔法をホールド状態で構えたミルクーレの姿が。
避けようにも相手の魔法のほうが早く、明らかに受け止めるしかできない状況だ。
ハルトは魔法障壁とリフレクションを張り、受け止めることを選択する。
だが俺の障壁とリフレクションは魔法を受け止め切ることができずに障壁を貫いて魔法が迫る。
「ぐぅ?!」
ハルトの痛みに耐える声が響くが、魔法の攻撃は止まらない。
数分ほどだっただろうか。
ようやく魔法の攻撃が止まる。
土煙が晴れたところにはすでに満身創痍のハルトがいた。
「ぐふっ...く、そ....レフレクションを貫く魔法とか....どんなチートだよ...ごはっ....」
血の塊ながらもなんとか立ち上がるハルト。
そんなハルトにまたも魔法の攻撃が放たれる。
「グアァァ?!」
碌に魔術も使えない状態のハルトは魔法をもろに喰らい、腹に大きな穴を作る。
何とか再生を試みるも、痛みで魔力操作に集中できない。
『あなたは魔法も使えず、自慢の眷属も兵器も私の前では意味がない。切り札はもうないでしょう?』
女の声が辺りに響く。
いつの間にかここにいるのはハルトとミルクーレだけのようだった。
「お、れは...まだ、あきらめねぇぞ...」
『無駄な足掻きを。せめてもの慈悲で楽に殺してあげましょう』
魔法をホールドさせた手がハルトに向けられる。
死ぬのかな?俺。
リディアとティア、それにレミアたちに俺の故郷に連れてくって言ったじゃねぇか。
俺は約束も果たせず、こんなところで死ぬような男なのか?
ここで死んだらリディアたちはどうなる?この女神に殺されるのか?
それは許されるのか?――答えは否。そんなことは許されない。
だから俺は使う。
俺の最強の切り札を。
『死ね。反逆者』
「――【リミッター解除】」
魔法が放たれると同時にハルトが最後の切り札を使う。
魔法が放たれた後に残ったのは――"無傷"のハルトだった。
『馬鹿なっ?!』
ミルクーレが驚愕に目を見開く。
この男は傷だらけだった。
この男は魔法も使えないほど満身創痍だった。
この男は切り札を全部出し切ったはずだった。
なのに、なのに――!!
『どうして生きているのですかっ!!切り札も、何もかも出し切ったはずなのに!』
「...どうして生き残ったのか?その問いの答えは簡単だ」
自分の目の前に複雑な魔法陣を描きながら淡々と答える。
「お前の魔法が俺に通用しなかった。それだけのことだろう?」
『私の魔法が、通用しない?...そんなことあり得ない!!』
もはや悲鳴だと思わせる叫びをあげるミルクーレ。
その眼には怨念しかなく、もう神とすらいえないだろう。
それぐらいに彼女は堕ちている。
「神を殺す魔法ってのはな....こうやるんだよ」
魔法陣から放たれる黒と金が混ざったかのような色の雷。
これは死神魔法と神魔法、そして雷魔術の複数混合魔術、【神滅】。
いかなる敵をも滅ぼす死神の雷。
まさに"死"を司る魔術だ。
『ばかな...馬鹿な!!あり得ない!こんなのはあり得ない!私は認め――』
すべてを言い切る前に雷に打たれて消滅するミルクーレ。
同時に神の人形も動きを止め、次々と倒れていく。
「....終わった、な」
ハルトのつぶやきが周囲に響く。
同時に...。
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」
地を揺るがすような歓声が遠くから聞こえる。
どうやらあちらでも終わったようだ。
「ふぅ。早く戻ってあいつらに顔を出さないとな」
いまだに倦怠感の残る体を無理やり動かし風魔術を発動させるが...。
「お?」
風魔術は発動せず、ハルトの体は倒れる。
「ははっ、魔力枯渇か。久しぶりにかかったな」
体を襲う倦怠感は魔力枯渇のせいだとわかり、乾いた笑いを漏らすハルト。
それもそうだ。何百回も魔術を連発し、最後には3つの属性を混ぜた神すらも殺す魔術を発動させたのだから。
如何に人形や天使を倒しても魔力枯渇にならないわけがない。
逆に戦闘中にならなかったのが奇跡と思うぐらいだ。
「決まらねぇなぁ...」
戦いの跡が残る大地で大の字に寝ころびながら愚痴を漏らす。
ふと足音を感じてそちらを見ると...。
「神殺し様も魔力枯渇には勝てねぇってか?」
「うるせぇ。仕方ないだろ」
「お前が神と戦ったって聞いたときは肝が冷えたぜ。まぁとにかく、生きててよかったよ」
「お前も人形たちに殺されなくてよかったな――アレン」
アレンがいた。
全身の所々に包帯を巻きつけてあるが重症ではないようだ。
「実際には殺されかけたけどな」
そんな軽口を言いながらこちらによるアレン。
そのまま肩を担ぎ、起こしてくれる。
「さっさと戻ろうぜ。じゃねぇとリディアがキレちまう」
「確かにそうだな。じゃあ頼むぞ」
「おう」
アレンに肩を担がれながら陣に戻る。
「...ん!ハルト!」
「ハルトさん?!」
陣に着くと真っ先にリディアが駆け寄り、次に俺の状態を見たティアが駆け寄る。
「ど、どうしたんですか!?どこか怪我でもしたんですか?!今すぐ香織さんを...」
「落ち着けティア。ただの魔力枯渇だ」
「...ハルト、あの女神はどうなった?」
「最後の最後で抗ってくれたよ。具体的には心臓握りつぶしたり腹に穴開けたりしてな。でも消滅させたぞ」
「えぇ?!心臓握りつぶされたりって....大丈夫なんですか?」
「当たり前だろ?俺は死なないからな」
「...とにかく、ハルトが生きててよかった」
ぎゅぅ、と力を入れて抱き着くリディア。
アレンは察して肩から離れる。
俺は倒れそうになるも、背後から来た圧迫感がそれを許さない。
「...ティア」
「ハルトさん、私、とても心配したんですからね....」
「..悪かった。でもちゃんと生きてるから」
「次はもうこんな無理をしないって誓ってください!」
「...善処する」
実際、それは無理かもしれない。
ティアたちに何かがあればどんな状態でも向かうだろう。
「ハルト君!」
治癒中だが俺に気づいた香織は治癒を高速で終わらせて駆け寄る。
「大丈夫?!怪我してない?!」
ティアと同じことを言いながら体中をペタペタ触る香織。
「大丈夫、大丈夫だから」
「もう!どれだけ心配したと思ってるの!」
「悪かった」
ここは素直に謝るのが一番だ。
「ご主人様!」
『マスター!』
『主!』
神獣トリオだ。
こいつらは目立った傷はないが....おや?フェルニの足に包帯が巻いてあるな。
「ドーラ、フェルニ、ヴェル、お疲れ。フェルニ、その足はどうしたんだ?」
『むぅ。ちとやらかしてな。人形にやられてしまったわ』
「治癒はしないのか?」
『それが主、この傷はどうやら人形の解体の作用が残っててな。治癒しようにも魔力が分解されてできんのだ』
「なるほど....ならフェルニ、脚を出してみろ」
『?おお』
包帯を巻いた足を出すフェルニ。
俺はそこに新たな神魔法を唱える。
「死神からの祝福を――【完全再生】」
フェルニの足が淡い金色色の光で包まれる。
その光は数秒で無くなり、すぐに元の状態に戻る。
『おぉ?おお?』
光に包まれた足を不思議そうに上げたり下げたりするフェルニ。
『さっきの違和感が無くなっとる。まさか...』
口を起用に使い包帯を外す。
そこには傷跡などなく、いつもと同じ真っ白な綺麗な毛並みがあった。
『な、治っとる...そ、それよりマスター、魔力枯渇は大丈夫なのかの?』
「それは大丈夫だ。魔力回復特大のスキルがあるからな。あと数発は神魔法を使える」
『なら聞きたいのじゃが、先ほどの魔法はなんだったのじゃ?』
「あぁ、さっきの魔法は女神を殺したときに覚えた魔法でな。【完全再生】というんだ。この魔法はいかなる状態――例えば、死んでる状態からも生きてる状態に再生できる魔法だ」
『なんと....神魔法にそのようなものがあったとは...』
『我も初めて聞いたな...』
「さすがご主人様です!」
驚きに包まれる中、不意に一人の女性のことが気になる。
「なぁ、ウリエルを見てないか?金髪の美女なんだが」
「あ、見ましたよ!確かあそこらへんに...いた!」
ティアが指さすほうを見てみれば何やら冒険者と話し込んでる様子だ。
その冒険者は男と女の6人パーティなんだが、明らかに女のほうが多いのは気のせいだろうか...。
「なんか絡まれてるな。行ってくるわ」
「...ん」
「すぐ戻ってきてくださいね~」
まったく。まだ終わって間もないってのに冒険者ってのは呑気なもんだね。
俺も冒険者だけど。
「おいウリエル、何してんだ?」
「...旦那様?」
「おう。てかその呼び方はやめろ。いろいろ誤解を招く」
「なんだお前。今この子は俺と話してるんだ...が...」
先ほどから何かを話しかけていた男の言葉が途中で途切れる。
「あ?すまないが、こいつは俺の奴隷でな。ほらウリエル、行くぞ」
「は、はい」
俺は何やら顔を青ざめさせている男を無視してそのまま行こうとするが、目の前に一人の女性が立ちふさがる。
その女性は美女といってもいいのだが、リディアたちと見比べると劣っているように見えてしまう。
年の差だろうか?
「ちょっといいかしら?あなた、あの神殺しの『死神』よね?」
「は?なんだその神殺しってのは」
「あなたが神を殺したときに決められた二つ名よ。それより、私もあなたのパーティに入れてもらってもいいかしら?こう見えて、それなりに実力があるのだけれど...」
豊富な胸を強調しながらパーティに入りたいという女。
普通の冒険者なら喜んで入れてると思うが、生憎俺は普通じゃない。
それにこの女、俺の甘い蜜を吸いたいという本音が駄々洩れだ。
「お前をパーティに?寝言は寝て言え。それにそれなりに実力があると言っていたが、お前はこいつに勝てるのか?」
ウリエルを指さしながら言う。
ウリエルは戸惑った表情をしているがお構いなしだ。
「そ、そんなの戦ってみないとわからないじゃない?」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
「ええ」
「はぁ...。お前、俺が最前線に行く途中に見たけどたった1体の人形に自分は背後で隠れてるだけだったよな?わざとかなにかは知らないが、時々魔法の射線にも入っていたしな。そんな相手とパーティを組むわけがない」
「そんな――」
何かを言いかけるもそれを気にせずリディアたちの元に戻る。
リディアはウリエルをちらっと見るも、すでに何かを通じ合っているのか、一人でうんうんと頷いている。
「...ウリエル、あなたの気持ちはわかる」
「え?」
「...ウリエル、なんならハルトを食べちゃってもいい」
「えぇぇぇ?!」
「...ちなみに、ティアはそれで成功した」
「...そうなんですか?」
「...ん。だから今夜にでも決行するといい」
「...はい」
いやいや君たちなに話してるの?
俺の貞操が狙われた気がするんだが。
その後は終戦処理に被害状況確認があった。
死者は俺の気まぐれで全員を蘇生し、部位欠陥などの重症者にも治療を施した。
俺が飛空艇に帰宅するとレミアとルリィは涙を流しながら喜んでくれた。
その数日後に神聖国が攻めてきたが、神の人形を倒して大幅にレベルが上がった兵士に勝てるわけもなく、あっけなく敗北した。
神聖国の領土はなくなり、今回同盟を組んだ3国で領土を分配するようだ。
そして俺は、神魔法と死神魔法と次元魔法と空間魔法を合わせた複数混合魔法、【世界移動】を開発しようと奮闘していた。
この魔法は文字通り世界を移動できる、つまりこの世界と地球を行き来できるようにする魔法だ。
地球だけではなく、座標が分かる世界ならどこでも行ける。
だが遠ければ遠いほど魔力を消耗するというデメリットもある。
「これで....ここを....で、できたっ!」
数日間の奮闘の末、やっと開発に成功した。
俺は早速使おうとするも...。
「地球の座標、わからねぇ...」
俺は一番重要なことが分かってなかったのだ。
だがまだ手はある。
女神を殺したときに出た宝石、"女神の核"。
これを使い羅針盤のようなものを作れば....。
核を慎重に羅針盤のように加工する。
時間は1時間、また一時間とたち、10時間後には...。
「やっと...作れた....」
加工は終了していた。
俺は羅針盤を手に取り、地球の座標を知りたい、と念じながら魔力を流す。
羅針盤の上に座標が表示され、それは自動的に魔法陣にも組み込まれる。
「ヨッシャァァl!完成だ!」
俺は発動する前に、地球に連れていく人物を選定していく。
「リディア、ティア、ドーラ、レミア、ルリィ、香織、一応ウリエル。そして勇者組もだな」
俺はそこまで鬼じゃないのでついでに帰還することを許す。
そんなわけで早速王城に向かう。
香織なら勇者組と一緒にいると思うので香織の魔力を探知し、転移する。
「よっ、香織」
「わぁ?!ハルト君?!」
「香織以外にも...よし、勇者組はそろってるな。全員そのままでいいから聞いてほしい」
俺が突然現れたことでどよめくも、すぐに静かになる。
「実はだな、ついさっき.....地球に戻る方法を開発した。そして地球からもこちらの世界に移動は可能だ」
俺の一言に一気にどよめきが大きくなる。
「ほ、本当か?!」
「マジかよ?!」
和希と甚太が詰め寄ってくる。
俺はその問いに対して「ああ」とだけ答える。
「俺は鬼じゃないからお前らも連れてくつもりだ。残りたい奴は残ればいい。後でまた来れるしな」
全員が帰還希望だが、こちらの世界にいつでも行けると知ってかなり喜んでいる。
ファンタジーは楽しいもんな。
「そして一番重要なことがある。それが――この世界で覚えたことは、魔法、スキル、ステータス、全部地球で使うことができる!」
クラスメイトから歓声が上がる。
特に男子。
「うおぉぉぉ!さすがハルトさん!」
「やっぱぱねぇっすわ!死神ぱねぇっすわ!」
「ハルト!!お前ならできると思ってたよ!」
この3人はいわずもがな、健司、和人、慎司である。
「ふはは、そんなに褒めるな。出発は一応明日の朝だ。異論はあるか?」
全員の首がぶんぶんと振られる。
そりゃそうだろうな。
ファンタジーな能力を持ったまま日本に帰れるのだ。
厨二心が疼くな。
「あの、よろしいですか?」
そう言ったのは地球でのクラスの担任――"藤村 穂乃果"だ。
クラスメイトからは"ほのちゃん"の愛称で呼ばれている。
一部の女子に聞いたが、どこか小動物的な感じがたまらないのだとか。
「うお、先生、この世界に来てたのか」
「は、はい、一応。それで、質問なんですが、帰還した後の説明はどうすれば....」
そこでクラスメイト達の顔が「あ」となる。
俺は若干考えながらも、「そのままいえばいいんじゃねぇの?」という。
「え?」
「変に嘘ついてぼろが出るよりも、本当のこと話してそれを突き通せばいいだろ。それに嘘考えるのめんどい」
相変わらず適当な死神だ。
だが確かにそれがいいのかもしれない。
その後はそれぞれがあいさつに回ったり、最後ではないが次にいつ来れるかわからない異世界を満喫しようと出かけている者もいた。
地球に帰ったらまずは親にリディアたちのことを紹介しないとな――。
一応、本章は終了となっております。
ですがこの後は地球に帰った後のアフターを書こうと思ってますので、ブックマークよろしくお願いします。
 




