死神vs神の人形達
おぉ...一気にブックマークが増えてらっしゃる...。
ありがたいことですね...!これを励みにもっと頑張ります!
「さて、時間稼ぎをしたいところなのだが...」
首を回して辺りを見回す。
辺りは眷属と戦っている神の人形やセントリー先輩と無人特攻機を破壊しようと動き回る神の人形たちでびっしり埋まっている。
数は大体6万人ぐらいだろうか。
「この数は予想外だな...。眷属たちや兵器に【解体】に対抗できるように改造したが物量には勝てないか...」
一機、また一機と兵器たちが破壊されていく。
俺は兵器を錬成で再び生み出しながらこの状況を打開するために脳をフル回転させる。
(相手は【解体】のスキル持ち。神の人形というだけあって素のステータスは勇者以上。そんな奴らの大軍を一気に消滅させるには...)
投下型爆弾兵器、ツァーリボンバ。
これしかない。
最低でも自分を守れるように魔力障壁を張っておこう。
俺は錬成でツァーリボンバをぎりぎり載せれる大きさの特攻機を作り出し、ツァーリボンバを搭載する。
敵は今までよりも大きいサイズの兵器に警戒を顕にし、すぐさま撃ち落とそうとするが....。
チュン!チュン!
そんな金属質な音を響かせながら人形たちが生み出した魔法や砲弾のように飛ばしていた白い翼の羽は消滅する。
正体は俺の死神魔法の一つ、【独壇場】。
これは俺が指定した範囲を自分以外の魔力を使えなくするというチート魔法なのだが魔法陣の構成、範囲の指定、魔力の登録にかなり時間がかかる。
今回それを短時間で行えたのは事前に発動させ、ホールド状態にしていたからだ。
神の人形たちは自分の魔法や攻撃が打ち消される様子に目を見開くも、すぐさま攻撃を再開する。
今度は何人かの人形が集まり、銀色のレーザー砲のようなものが打ち出される。
実際は魔力の塊をレーザー状にしているだけなのだが、【解体】が付与されているので極めて危険な攻撃だ。
だがそれでも俺の作った兵器には届かない。
チュゥン!
間延びした金属質な音が鳴ると同時に銀色のレーザーは消えてなくなってしまう。
自分たちの中でも上位の攻撃魔法なのか、打ち消されたという事実に思わず硬直してしまう。
その隙にツァーリボンバを乗せた無人特攻機は人形の大軍の上空に位置していた。
特攻機の投下口がガパッと開き、その中から一発の巨大な投下型ミサイルが垂直に落ちる。
それを撃ち落とそうと慌てて動く人形だったが、そうはさせまいと無人特攻機が襲い掛かる。
中には小型のステルス戦闘機もいて、気配遮断を付与しているため大変鬱陶しそうだ。
小型のステルス機はクラスター爆弾や自動追尾ミサイル、ガトリング砲を上手く使って敵を蹂躙し始めている。
落下5秒前という所で高速で離脱する眷属と兵器たち。
人形たちも攻撃は間に合わないと判断したのか、魔力障壁を這わせて防御を選択したようだ。
だがその程度でツァーリボンバの爆発を防げるわけがない。
当然、俺もただの魔力障壁じゃ吹き飛ぶのだが、死神魔法の一つ、【反射結界】で傷一つ負わないだろう。
これを付与した兵器は攻撃を反射して完全に不死身のゴーレムとなるのだが、なぜか自分以外にこの結界を付与した場合極端に結界が弱体化してしまい、数発攻撃を反射した途端に砕け散ってしまうのだ。
ズゴォォォォォォォォン!!!!!!!
腹に響く轟音を発しながら敵陣の中心に落ちたツァーリボンバが炸裂する。
こちらまで被害は来ないが、熱と風が物凄い。
だが眷属と兵器は魔改造されたミスリルを使っているので少しも溶けやしない。
俺自身も結界のおかげで無傷だ。
敵陣は中心に巨大なクレーターができており、4万ほど削られたようだ。
残りの2万は戦えないとまではいかないが、翼が焦げていたり武器が溶けていたりとかなりの損害だ。
俺はここぞとばかりに眷属と兵器を送り込み、さらにはデーモンコアまで投げ入れる。
上空には10mほどの飛行機が投下口から手榴弾を大量に投下していて、それに巻き込まれた人形たちは一様に爆散していっている。
上空から直角に下降してきている無人特攻機は無数にミサイルを放ち、ガトリング砲を炸裂させながら神の人形たちを殲滅していく。
その様子はまさに死神。
死神の名を有するハルトにふさわしい兵器だ。
眷属たちもそれぞれ爪を振るい、脚で踏みつぶし、ミサイルやガトリング砲で次々と敵をなぎ倒していく。
既に人形たちの戦いがインプットされているのか、1体で複数の人形たちを相手にしている眷属までいる。
戦いをインプットするような機能を付けた覚えはないのだが...。
そして俺はというと...。
「どうしたぁ?大天使様よォ。あ、堕天使だったか?」
「私は堕天してなどおりません!私は状況打破を司る天使、ウリエル!このような輩に...」
「状況打破だがなんだか知らねぇが、この状況で本当に俺に勝てると思ってるのか?」
生意気にも殺そうとしてきた金髪を伸ばした絶余の美女といっても過言ではない女――大天使ウリエルをフルボッコにしてる最中だった。
なぜこのような状況になっているかというと、現状に不利を感じた天使の一人がミルクーレに連絡。そして応援としてウリエルが来たらしい。
「当然です!なぜなら私は大天使なのだから」
バキャァ!
なぜか説き始めたウリエルを無視し、肩の骨を粉々に砕く。
いくら普通の攻撃じゃ死なないといっても普通に痛覚はあるようで...。
「ぎゃひぃぃぃぃい!!!!」
女性らしからぬ――大天使らしからぬ絶叫を響かせながら股下を湿らせていく大天使。
こいつ、本当に大天使か?と思いながらもう片方の肩の骨を粉々に砕く。
「ひぎぃぃぃぃぃ?!!!」
ビクン!と大きく痙攣しながら項垂れるウリエル。
どうやらあまりの痛みに失神してしまったようだ。
この程度の痛みで気絶する大天使がいるとは思わなかった。
「おら、起きろ。まだ終わってねぇぞ」
軽く電撃を浴びせれば大きく跳ね上がって飛び起きるウリエル。
「この程度で私が屈するとでも思うのですか!」
腕をだらんと垂れ下げながらもキッと睨んでくるその姿は、どこぞの女騎士様のようで、「くっ、殺せ!」とか言いそうな雰囲気だ。
「へぇ、あれだけ醜態晒しておいてまだ続けるんだ」
股下を指さしながら口の端を吊り上げる俺。
自分でやっといてなんだが、結構性格悪いことしていると思う。
「は?...きゃぁぁ?!」
一瞬呆気にとられた顔をしたが、すぐに自分の股下が湿っていることに気づき、慌てて隠すように前かがみになる。
「んで、俺に殺されるか情報を吐いて殺されるか、どっちがいい?」
「そ、そんなのは殺されるほうが――」
「そうかそうか。君はそんな奴だったんだな。ということでこれをつけてやるよ」
どこかの先生の息子が言いそうなセリフを吐きながらアイテムボックスから一つの首輪を取り出す。
「ふん、何かと思えば隷属の首輪ですか。そんなもので私を拘束しようなど...」
すべて言い終わる前に首輪を嵌め、それを取ろうとするが、何度引っ張っても取れないことにいら立ち始めるウリエル。
「なんで外れないんですか!はっ、そうだ!魔力を使えば...」
「お前、あほなのか?それはお前も言った通り隷属の首輪だ。だがその首輪は俺自身が作ったものだから如何に大天使だといっても魔力を使えるわけがないだろ?」
「...うぅ。ミルクーレ様、申し訳ありません...」
それを聞き舌を噛み切ろうとしたが、俺はすかさず隷属の首輪を発動させて命令する。
「"自害を禁ずる"」
「あぐぅ!?」
舌を噛もうとしたところを強制的に止められて思わず変な声が出てしまうウリエル。
だがそんなことを気もせず次の命令を下す。
「"女神ミルクーレの情報を知ってるだけ吐け"」
「そんなことを...うぐぅ!?...女神ミルクーレ様は300年前に起きた人魔大戦を開戦させた張本人です」
「人魔対戦?」
「く、口が勝手に――人魔大戦とは人と今ではすでに滅ぼされた魔族が互いの神を争って起きた大戦です。ミルクーレ様は"暇だから"の一言で人と魔族を争わせました。争わせた方法は、魔族が我を屈辱した、と神託を下したそうです。魔族はかつて死神を信仰していて、その宗教の聖書の中には"いかなる神を屈辱してはいけない"とあり魔族はそのようなことはしてないと抗議したのですが、人族の王はそれを無視し強硬進軍に出て――」
「...なるほどな」
「うぅ...私はなんてことを...もうミルクーレ様に仕えることなどできません...」
「ったく。面倒なことをしやがる女神だな。それにかつて信仰していた死神ってなんだ?もしかしたら死神魔法に対して有力な情報があるかもしれないな...」
「私は....私は...もうこの人に仕えるしかありません...」
ぶつぶつと呟きながら考え込んでいたハルトだが、ウリエルのその一言で正気に戻る。
「は?何言ってんだ?」
「私はこの人に傷物にされてしまいました...。だから、その...責任、取ってください...」
赤面しながらもじもじと足を擦り付けて恥ずかしそうに言うウリエル。
「....傷物って言い方は誤解を生みそうだからやめろ。それになぜ俺が敵であるお前をわざわざ仕わせるなんてことをしなくちゃいけないんだ?俺にメリットどころかデメリットしかないんだが」
この大天使を通して行動や言動を聞かれてたら困るのだが。
「あ、そこらへんは大丈夫ですよ。私は個体名をもらった完全に自我がある大天使ですから。行動を見られたり言動を聞かれたりはしません」
「さりげなく心を読むな。...だがお前の情報は役に立ちそうだな...」
「あぁ...やっぱり私はこの死神に体を汚されてしまうのね....」
「やっぱ要らないから殺す」
「嘘ですごめんなさい!調子乗りましたぁ!」
物凄い勢いで頭を地面に擦り付けるウリエル。
腕はいまだにだらーんとしており、治ってる様子はない。
「はぁ...。まぁ今は首輪もついてるし俺に害を与える存在ではないのは確かだな。いいだろう。俺の奴隷にしてやる」
「ならこれからはご主人様とお呼びになったほうが....いや、旦那様のほうが好みですか?」
「おい、勝手に結婚させんな」
「ちっ」
「おい舌打ちしただろ」
大天使ってのは全員がミルクーレ大好きなちょう堅物だと思ってたがこいつは思ったよりアクティブな天使だ。
扱いに困るところもあるが...。
「お前さ、ミルクーレが殺されるとわかってても隷属すんのか?」
「はい、私は既に旦那様のもの――」
「そういうの抜きでだ」
「...正直、今でも止めたいという気持ちはあります。でも同時に、ミルクーレ様にこれ以上愚行をしないでほしいという願いもあります」
「...そうか」
「ですが私はもうあなたの奴隷。やれと言われたらミルクーレ様を殺して見せましょう」
「めちゃくちゃだな」
「そんな奴隷はお嫌いですか?」
「いや、そうでもないな。....だが俺はお前を完全に信用してるわけじゃない。今この状況に慣れたのもこの首輪のおかげだと思え。もしお前が寝返ったりした場合はすぐに殺す」
「はい。私もその覚悟です」
そんな話をしていると神の人形を殲滅し終えた眷属たちが寄ってくる。
「どうやら第一波は突破したようだな。ウリエルは一度地上に戻ってリディアというヴァンパイアの少女と合流しろ。魔力反応はこれだ」
俺はリディアの魔力に反応を似せ、ウリエルに分かるように一部の結界を解く。
「わかりました。旦那様はどちらへ?」
「俺はここに残って時間を稼がなきゃならんからな。てかその呼び方変えるつもり無いのな」
「当然です」
「...そうかい。来たな。あれが第2波か」
召喚用の魔法陣から自我を持たない下級天使が召喚される。
その数はおよそ10万ほど。
下級天使は神の人形より若干強い程度だが、それでも数がこんなに多いと厄介だ。
「急いでリディアと合流しろ。いや、この場合はゲートでリディアの居場所とつなげる」
ゲートを開き、ウリエルを通るように促す。
「わかりました。ご武運を」
「ああ」
思わぬところで新しい仲間が増えたわけだが、あいつが何か行動を起こしたらすぐさま殺しに行く。
加護のおかげで死ぬことはないとはいえ、やはり心配なものだ。
だが俺は時間を稼がなきゃいけない。
そして俺は――。
「ふざけたあのクソ女神をぶっ殺して帰郷する」
さぁ、始めよう。
殺し合いという名の殲滅を――。




