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【死神】、そしてダンジョン

今日で3日立った。

残りの1日は神魔法と神眼についていろいろ研究してみた。

神魔法について分かったことは、【魔眼】と呼ばれるものが使えるようになること。

【魔眼】には複数の種類があり、称号によって使用できるものが異なること。

俺の場合、称号は【死神】なので【シヴァ】という魔眼を使える。


シヴァは地球でも知られている神の名前だが、地球のシヴァと違うところは"破壊と再生"を司るのではなく、"死と破壊"を司るということだ。


つまり魔眼を発動させた状態で物や人を見ればいつでも殺したり破壊したりできるということだ。


他には【神言】という魔法が使えたり、【神罰】という魔法が使えることだ。

【神言】は言霊みたいなもので、「死神の名において命ずる。"動くな"」などの命令をすれば本人の意思に関係なく従わせれる魔法だ。

つまり、自害を命じればすぐに戦闘が終わるチート魔法だ。


【神罰】は10万ほどな魔力を消費する代わりに、自分が想像した現象を自由に起こせる魔法だ。

つまり相手の体が内側から爆散する、みたいなのを想像しながら発動すれば実際にそうなるということだ。

魔力の消費量に見合わない威力を持つ魔法だ。


【神眼】について分かったことは複数の特殊な眼を称号に関係なく使用でき、ステータスを詳しく閲覧することが可能なスキルだ。


相手のスキルも読むことができるのだが、実力差が大きければ大きいほど閲覧が可能になり、逆に相手が自分より強いと完全に閲覧が不可能になる。


複数の眼、というのは、魔眼のように戦闘に役立つものはないが、千里眼や暗視眼といった眼が使用可能になる。


興味本位で【神眼】を使って自分の称号を詳しく見てみると、

【雷帝】…雷系の魔法を使えており、レベルが30を超えてることで獲得できる。

雷系魔法の攻撃力が大幅に上がる。


【転移者】…この世界にやってきた異邦人のことを言う。

珍しい。


【神獣を従えし者】…神獣をテイムした者が獲得できる。

神獣の能力値を微弱であるが上げることができる。


【死神】…死と生を司れる。

この称号を得たものは他者の生死を操ることができ、不老不死となる。

首が落とされた場合もすぐさま再生し、【神殺しの剣】がないと殺すことは不可能になる。

また、加護を与えたものの寿命もほぼなくなり、見た目が変わらなくなる。

年齢が20を越えてない場合は対象外である。


...うん。思ったよりヤバかった。

特に【死神】の部分。

なんだよ不老不死って...もう呆れるしかできないよ...。

それに神殺しの剣ってなんだよ...エクスカリバーかよ...。

加護を与えた相手の寿命がほぼ無くなるっていうのもチートだよなぁ。

それに相手の生死を操ることができるってさぁ、実質それで死の可能性をなくしてけば不死身じゃん。

でもリディアたちとずっと一緒にいられると考えれば役得...なのか?


「...このことは忘れよう。そしてなぜだかこの【死神】の効果を詳しく知ったら相手の生死を操ったり加護を与えたりする方法が勝手に頭の中に思い浮かんだけど身内が危機に晒されるとかじゃない限り使わないでおこう」


神獣たちにも言わないほうがいいかな?でもいずればれるかもしれないしな...。

まぁその時が来たら話すとしよう。


「さて、そろそろ迎えに行くかぁ...。次の目的地は...なんだここ、ダンジョンか?」


飛ばしてた無人偵察機の映像を確認しながら声を出す。

その映像には何十人もの冒険者が並んでおり、その中には勇者一行の姿が見える。

あまり会いたくはないのだが、ダンジョンには興味があるな。

なら次の目的地はここにしよう。


数時間後、リディアたちを乗せた飛空艇はダンジョンを目指して出発するのだった。


◇◇◇◇◇


「おお、これがダンジョンか」

「...人がたくさん」

「入るまでに時間がかかりそうですねぇ」


ダンジョンの入り口の前にはたくさんの人が並んでおり、各々が自分の武器を確認したりカバンの中を確認したりしている。


勇者たちはもう入ったようで列には見えなかった。

その横ではパーティ加入を呼びかける者たちがいる。


俺達は列が進むのを地道に待つことにすることにした。



「いいか?ダンジョンにはトラップや未知の魔物が――」

「...ハルト、それは何回も聞いた」

「しかしだな、お前たちに万が一があった場合に...」

「もう、ハルトさんは過保護なんですよ!大体、ハルトさんに鍛えられてきた私たちがそこら辺の魔物に負けるって本当に思ってるんですか?」


リディアには苦笑されながら、ティアには駄々をこねる子供を論すように言われる。


「...確かにそうだな。もし負けてるようならここに付いて来てはいないしな」


レミアとルリィ、シルフィだが、戦闘能力がないのでホバリング状態の飛空艇に待機させている。

ホバリング状態を何か月も持つ状態にしてきたのでよほどのことがない限り大丈夫だと思う。


もし何かあったら俺に警告が来る仕組みになってるからな。


そんなことを考えているとパーティ加入を呼びかける者たちの視線がチラチラとこちらに、いや、正確にはリディアとティアに向いていることに気づく。


当のリディアたちだが、別段気にしている様子はないので癪だが俺も我慢することにする。

大方、美少女二人をパーティに入れたいけど俺がいるから話しかけづらいとかだろう。


その中の一つのパーティが歩いてくるが、俺は眼中にないといった様子でリディアに話しかける。


「君たち、ちょっといいかな?」


話しかけてきたのはこの世界基準でもイケメンのほうだが、俺はこういうやつが嫌いなので無視をする。


「リディア、ダンジョンって階層ごとにボスとかいるのか?」

「...ん、このダンジョンは合計で100階層で出来てる。下に行くほど魔物たちも強くなる」

「僕の話を――」

「...ボスは10階層ごとに配置されてるけど、50階層を超えるまではただの雑魚の集まり」

「なるほどなぁ。50階層以下で出現するボスってのはなんだ?」

「確か竜とかですよね?」

「竜か...実際ただ硬いだけのトカゲに過ぎないから相手になんないんだよなぁ」

「あの、僕の話を聞い――」

「...竜は竜でもヒュドラやファフニールなどが出る」

「ヒュドラか。もしかして傷口から2つの頭が再生するとかないよな?」

「...ヒュドラは頭を一つ切り落とすと1つの頭を再生する。殺すには全部の頭を一気に落とさないといけない」

「だから聞い――」

「よかった。もし倒せなかったらモ〇スターボールで捕まえようと思ってたからな」

「モン〇ターボールが何かは知りませんが、相変わらずハルトさんの錬成はずば抜けてますねぇ」

「...ハルトは少しおかしい」

「おいこら、それどういう意味だ」

「いい加減僕の話を聞けぇ!」


無視されてたことに腹が立ったのか、近くにいるティアに殴りかかろうと手を上げる男。

当然、それにはティアは気づいていたが、俺は敢えてティアを抱き締めるように引き寄せ、相手の顔面を鷲掴みにする。


ティアは俺に抱き締められ、一瞬鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたが、すぐにだらしない表情になる。

男は何かを叫びながらもがいているが、顔面を鷲掴みにされてるので何もできない様子。


「うるせぇなぁ。少しは静かにしろよ」


俺は男を頭から地面にたたきつける。


ズゴォォォォン!!という普通じゃ鳴らない音を響かせながら地面にたたきつけられる男。

その男の横っ腹を蹴っ飛ばし、勧誘活動をしていた元の位置に戻しておく。

だがハルトはしっかりと手加減をしていたので怪我はない。ただ頭を揺らされて、今後冒険者活動ができないような後遺症ができるだけだ。


「お、空いたな。進もうぜ」

「...ん」

「は~い」


その光景を見ていた冒険者が俺の前からスススといなくなり、チラチラと視線を向けていた勧誘していたものも一斉に離れていく。


ハルトたちがダンジョンに入った後、ここに残ったものが呟いた「化け物だ...」という声がやけに響いたそうだ。


◇◇◇◇◇


「これがダンジョンの内部か。この壁光ってるな。何かの鉱石なのか?」

「...それは【発光石】と言われる鉱石。ダンジョンでしか採取できない希少鉱物」

「へぇ。なら鉱物生成でも作れるかもな」


俺は鉱物生成を発動させる。

イメージはこの壁の鉱石だ。


俺の手のひらが暫く淡い光に包まれた後、手には手のひらサイズの緑色の鉱石があった。

魔力を流すと光だし、魔力を止めると光がやむ。これは有効活用できそうだ。


「わぁ、綺麗な鉱石ですね」

「そうだな...あとでこれを使ってなんか作ってやるか?」

「...お願いする」

「お願いしますぅ」

「おう。今の階層は入ったばかりだからまだ1階層だよな。ぶっちゃけここを無理やり錬成すれば50階層までの一本道ができるんだが、どうする?」

「...私はそれでいい。どうせここの階層の魔物は相手にならない」

「私も構わないですよ。あまりに弱い敵だと本気を出す前に死んでしまいますからね」

「了解だ」


俺は壁に手を当てて錬成を発動させる。

ダンジョンの壁自体にレジストされてるのか、錬成の速度がいつもより遅い。

100が99になった程度だけどな。


僅か数十分ほどで錬成は終了し、そこには滑り台状の一本道ができる。

あとはここを降りるだけだ。


「おっしゃ、行くぞ」

「...ん」

「はい!」


1時間ほど降りただろうか。やっと50階層に着いた。


「ここからは気を引き締めていけ。いくら俺がいるといっても対処できないものはどうにもならないからな」


俺は言葉と同時にゴーレム兵器、テューフェル・リーパーとウルフ・リーパーを1機ずつ出す。

俺はゴーレムたちにリディアとティアが危なくなったら助けることを命令する。

2機は「クルルゥ!」や「ウォン!」という鳴き声を響かせ、テューフェル・リーパーはリディアに、ウルフ・リーパーはティアの横に並ぶ。


俺はパイソンをレッグホルスターから抜き取り、ハンマーを引く。

さぁ、ダンジョン攻略の始まりだ。

ダンジョン、憧れますよねぇ...。

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