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帝国、そしてエルフっ娘

とりあえず帝国を目指してみることにした。

まだ行ったことがない国で、一番近いからな。


飛空艇は最高速度マッハ1なので2時間ほどでつくかどうかってとこだろう。

でも帝国って治安が悪いイメージなんだけど実際はどうなんだろう?

リディアに聞いてみるか。


「なぁリディア、帝国の治安っていいのか?」

「野蛮な冒険者や傭兵が多いのは事実。でもそこまで治安は悪くない」

「そうなのか...。もしリディアたちに手を出す馬鹿がいたら"お仕置き"しないとなぁ...」

「...ハルトは過保護」

「いいんだよ、それくらいで。用心に越したことはない」

「...ふふっ」


守りたい、この笑顔。

まさにそれだな。


過保護?好きなだけ言え。俺は守れるものは全力で守るだけだ。


「帝国まで残り30分程度だ。各々降りる準備を...って言っても荷物は俺が持ってるからな」

「あなた、飛空艇はどこに止めるのですか?近場に止めてそこから魔道4輪駆動車で言ったほうがいいと思うのだけれど...」

「もちろんそのつもりだ。さすがにこの飛空艇で行くと敵襲と間違われかねんからな」

「魔道4輪駆動車でも疑われると思うんですが...いえ!なんでもないですぅ!」


まぁでかいよりは小さいほうがいいだろ?

それに飛空艇を乗っ取ろうとするやつもいるかもしれないからな。

もちろん警備は万全だぞ?

登録した魔力以外が乗った場合はどこからともなく槍が飛んできて自動で迎撃し、そのあと焼却処理までしてくれる。

侵入できたとしても1秒後にはすでに死んでるだろう。


◇◇◇◇◇


その後、門まで行き定番のように驚かれたが、ギルドカードを見せると結構すんなり通してくれた。

警備がばがばだなぁ...。


「にしても、いつもこんなに騒がしいのか?」

「...いつもはもっと静かなはず。多分奴隷市を開催してるんだと思う」


奴隷市?....あー、そういうことね。


「そういうことか。悪いが、少し見てってもいいか?」

「...奴隷を買うの?」

「買わねぇよ。ただこの世界の奴隷っていうのがどうなってるのか気になってな」

「....わかった」

奴隷市が開催されてるところを一般民から聞き出し、足早にそこへ向かうハルト一行。

途中で何人か絡んできたがハルトがアイアンクローで路地裏に連れてったあとに、


ゴチン!


という音がし、ハルトだけが戻ってきた。

いったい何をしたのだろうか...。


奴隷市はラノベで見るような感じだったな。

檻の中に首輪を嵌められた奴隷が居て、オークション形式で落札される。

そんな感じだ。


その中で一際人が集まっているところを見つけた。

何事かと思い近づいてみると、どうやらエルフの奴隷のようだ。

エルフって何気に初めて見たな....。


ピンとした長い耳に透き通るような金髪。

青い眼は何もかも見通すような鋭さを持ちながら、優しさも持っている。

まさに金髪碧眼だ。


「エルフか。初めて見たな」

「...ん。個体数が少ないから」


リディペディアさんさすがっすね。

なんでも教えて知ってらっしゃる。

てかティア、さっきから何もじもじしてんだ?


「どうしたんだ?ティア」

「え!?べ、べべ別に何でもないですよ!?」

「いや怪しすぎんだろ。正直に言いなさい」

「...怒らないです?」

「怒らない怒らない」

「...あのエルフの子なんですけど、私たちが森を歩いてるときに助けてくれたんですよね...。名前は確か...シルフィ、だった気がします」

「気がしますって....それで、お前はどうしたいんだ?」

「....助けてあげたいです。私たちも前に助けられたから恩を返したいんです!」

「了解だ。お前の望みを聞こう」


俺は人ごみの中をずんずん進み、エルフの奴隷の場所まで移動する。


「店主、今の最高落札価格は?」

「白金貨7枚でっせぇ、旦那」

「そうか。なら白金貨10枚で買おう」

「白金貨10枚!これ以上出せる奴はいるか!?....いないようだな!旦那、落札されましたでぇ」

「そうか。なら早速話してみたいのだが...」

「その前にこの書類に手続きをしてくだせぇ。奴隷に何をさせるかを決めないとなんねぇですから」

「なるほど...。この性処理ってとこはいらない。...あとは絶対服従もだな」

「おいおい旦那、性処理はわかるが絶対服従を外すのは何でですかい?」

「別に俺はこのエルフが欲しくて買ったわけじゃない。連れの知り合いっぽかったから気まぐれで買っただけだ」

「気まぐれで白金貨10枚ですか....旦那は将来大物になりそうでっせぇ。これが檻の鍵でっせぇ」

「ああ。...おいエルフ」


ビクッ、となるエルフ少女。

人族恐怖症かなんかかな?

奴隷にさせられたら無理もないだろうがな。


「な、なんですか...?」


か細いが、透き通るような声の少女。

おっふ。これはなかなか...おっといかん。今はこの少女と対話をしなければ...。


「まぁそんな怖がるな。別に取って食おうってわけじゃないからな。お前は猫人族のティアって名前を知ってるか?」

「...どこでその名前を?」

「いろいろあって行動を共にすることになってな...今じゃうちのムードメーカーだぞ」

「そうなんですか...。あなたは...いえ、ご主人様はなぜ私を購入なさったのですか?」

「別にご主人様って呼ぶ必要はないぞ。理由はティアが助けてあげたいって言ったからだな」

「そ、そんなことで白金貨10枚も...?」

「身内には甘々なんだよ。はちみつに大量に砂糖をぶっかけたぐらいにな」

「ふふっ、なんですかそれ」


お、笑ったな。

やっぱエルフって笑うと可愛いよなぁ。


「そういうもんなんだよ。ほら、行くぞ」

「ま、待ってください!...痛っ」

「どうした?ってこれは...結構ひどいけがだな...」

「す、すいません。すぐに歩きますから...」

「無理はするな。ほら」


俺はシルフィをお姫様抱っこの形で抱き上げる。

軽いな。飯も食わせてやんないとだめだなぁ...。


「す、すいません...」


下を向き耳まで赤くするシルフィ。

この耳って触ったらダメかな?ぴくぴくしてるのすごい気になる。

でもハルトさんは紳士だから触らないよ!ボクシンシ!


「今更なんだが、お前の名前はシルフィで合ってるか?」

「はい、あってますよ」

「そうか。...ティア、連れてきたぞ」

「ハルトさん!...まさかとは思いますが、無理やり連れてきたわけじゃないですよね?」

「何言ってんだ。ちゃんと購入したぞ」

「そ、そうなんですか?」


ちょっと意外みたいな顔やめろ。

俺は日々善良な日本人になるために頑張ってるんだぞ。


「ティアちゃん!」

「シルフィちゃん!ってなんですこの怪我はぁ!?」

「あはは...少しドジしちゃって...」

「ドジでここまで怪我はしませんよ!ハルトさん!早く治してぇ!傷跡も残さずにぃ!」

「注文が多い奴だな...【リカバリー】」


今日もお願いしますよリカバリー先輩。

数秒ほど淡い光に包まれたシルフィの足。

だが光が無くなったとき、確かに怪我は治ったが傷跡は残ったままだった。


「あっれぇ?おっかしぃなぁ...」

「ハルトさん!なんで治ってないんですか!?ぶっ〇しますよ!」

「ティアちゃん!そんなこと言っちゃいけないよ!私は怪我を治してくれただけでうれしかったから...」

「うーん、このままにするとティアが怒りそうなんだよな...もう怒ってるけど。困ったときは【エリクサー】さんに限るよな」


俺はディメンションボックスからエリクサーを取り出す。

道中に出会った竜さんたちには尊い犠牲になってもらったのだ。合掌。


「ほら、ぐびっと行っちゃえよ」

「で、でもこれさっき【エリクサー】って...」

「大丈夫ですよ!竜の死体ならいくらでも余ってますから!」


おいこらティア、街中でそういうこと言うな。


「な、なら....ぐびっ」


シルフィの体全体を淡い光が包み、数秒後には消える。

足の傷跡はすっかりなくなり、体中についていた汚れもすっかりなくなった。


髪はサラサラになり、肌は雪のように白い。

正直に言うとみてるだけで浄化されそうだ。


「わぁ...」

「綺麗ですぅ...」


リディアとティアが思わず感慨としたため息を漏らす。

レミアとルリィとドーラはフェルニたちとお留守番だ。


「えっと、その....ありがとう」


ニコッと微笑むシルフィ。

ポッとはしなかったが代わりに崩れ落ちてしまった。


「なんて尊いんだ...シルフィは天使なのかもしれない...」

「えっと、ご主人様?」

「ご主人様って呼ばなくてもいいんだぞ...!」

「じゃあ...ハルト?」

「ぐはっ」


呼び捨て、だがそれがいい!

日本人の血が騒ぐぜぇ!


だが落ち着け、俺は紳士だ。

気を確かにするんだ。


「...ゴホン。シルフィ、里に送り返すぐらいはするがどうする?」

「私は....その...ティアちゃんたちと一緒にいたい、です」

「リディア」

「...私は問題ない。逆にこんなかわいい子が近くにいるだけでうれしい」

「ティア」

「私も問題ないですぅ!逆に大歓迎ですぅ!」

「...ということだ。よろしくな、シルフィ」

「...はい!」


こうして新たにエルフっ娘が仲間に加わったのであった。

いくら魔王とも言えどもとは日本人ですからエルフっ娘には勝てないんですね…。

あれ?そしたらリディアたちにも一生勝てないんじゃ...。

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新作、始めてみました! 皆様が嫌いな『奴』に転生した主人公が異世界を生き延びるお話です!
転生先が異世界のゴキブリだったんですが ~伝説のゴキブリ、異世界をのんびり生きる~
+注意+

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