殺人事件?、そして新しい嫁
「いいか?敷地内に降りたらまずはクリアリングだ。もし兵が寄ってきたら声も出させずに殺せ」
「「「「Sir,Yes,Sir!!」」」」
「屋敷内に侵入したらまずとらわれている人がいないか確認しろ。ああいう貴族は必ず奴隷というものを持っているからな。もしいなかったらそのまま奴を連れてこい。俺が殺す」
「「「「Sir,Yes,Sir!!」」」」
「作戦開始まであと10秒だ。9...8...7...6...5...4...3...2...1...突撃!」
一斉に戦闘機から飛び降りるクラルス。
そのまま門番の兵士の首を掻っ切り、音も出さずに殺す。
屋敷内に10人ほど侵入し、後は周りの警戒に当たるようだ。
さて、どこまで貴族が足掻くかな...。
◇◇◇◇◇
【カルヴェ】
私はクラルスという名の集落の長をしていた。
だがある日突然帝国兵に追われ、里を壊滅させられた。
あの日ほど人間を恨んだ日はない。
だが、一人の人族の少年、ボスが我らを変えてくださった。
戦う知恵を与え、強力な武器を与えてくださった。
ボスほど善良な人族はいるのだろうか?
いるとしたらボスの奥方たちだろう。
私は屋敷の中にアスとリナ、そして7人ほどのクラルスたちと侵入した。
屋敷の中にいた兵士がこちらに気づき、攻撃を加えようとしたが、その前にアスに頭を撃ち抜かれて事切れる。
アスの武器は拳銃と言い、普段は物凄い音が鳴るのだがボスが【さぷれっさー】という物を取り付けたら全く音がしなくなった。
やはりボスはすごい。
2人ほど屋敷の奥から兵士が来たが、リナが2人のもとに接近し、剣を一閃。
ボトッという音と共に二つの生首が落ちる。
ボスの作った武器はやはりすごいな。
そのまま奥の部屋に侵入。
底の部屋では何人かの兵士が奴隷と性行為をしていた。
奴隷は泣き叫び、もうやめてくださいと懇願していたが、兵士はそんな奴隷の姿を見て笑っているだけ。
さらに許せないのがその奴隷が我らの同胞だったことだ。
私はすぐに行動に移した。
部屋の中に6人ほどいたが、喉に短剣を差し込み掻っ切る。
それを6回繰り返し、兵士は声を上げる暇もなく死んでいった。
私は奴隷のもとに駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。
勿論ヘルメットは取ってある。
「大丈夫か?」
「あなたは...猫人族?」
「そうだ。クラルスという集落の長をしているものだ」
「クラルス...?その村は帝国兵たちに追われたはずじゃ...」
「人族の少年が我らを助けてくださってな。この通り、戦う術も教えてくれた」
「ひと、ぞく...?」
「そう怯えるな。ボスは奴隷にするような人じゃないし、奴隷を見かけたら保護しろという優しいお方だからな。もう安心しろ」
「うぅ...うわぁぁぁぁぁぁ...」
猫人族の少女を優しく抱き締め、泣き止むまで慰める。
ティアの小さいころを思い出すな...。
「...すいません。もう大丈夫です」
「そうか。...っ!?」
ふと何かが飛んでくる気配を感じ、少女を抱き締め横に飛ぶ。
リナたちも同じように横に飛んでいた。
ドォォォォォォォォン!!!
すさまじい音と共に壁にぶち当たり吹き飛んでくる太った男。
吹き飛んだほうを見ればボスが無表情でこちらに来ていた。
ボスは相変わらずすごいお方だ。
軽々と人を吹き飛ばすなんて....。
◇◇◇◇◇
【ハルト】
カルヴェたちが突撃した後、裏口を使ったのか知らんが、3人の兵を連れて太った男が出てきた。
「き、貴様ら!このカースオ様の屋敷に手を出してただで済むと思ってるのか!?」
「うるせぇなぁ。先に手ぇ出してきたのはそっちだろ?」
「なんのことだ!」
「俺の嫁...リディアに手ぇだしただろ」
「...なるほど。貴様がリディア嬢の婚約者か。どうだ?私に婚約者の座を譲らないか?いい値で買い取ろう。なに、安心しろ。リディア嬢は私が可愛がってやる。おや?隣にいるのは猫人族か?なかなかの上玉じゃないか。そっちもいい値で買おう」
「ハル、やれ。ただし兵だけだ」
「Yes,Sir!!」
パァンパァンパァン!
男の周りにいた兵は一瞬にして肉片になる。
ハルの狙撃の技術はなかなか目を張るものがある。
「おい」
「な、なんだ!!」
「誰の嫁を買うって?」
一瞬で接近しヤクザキックをかます。
男はまっすぐ飛んで行き、ちょうどカルヴェたちがいる部屋で停止した。
俺はぶち破った壁を潜りながらクズメナに接近する。
「ボス、この男は?」
「こいつが俺の嫁にちょっかい掛けた馬鹿貴族だ」
「ぐ、ぐぅ...くそぉ...平民如きにぃ...」
「ほぉ?まだ息があったか。安心しろ。苦しめてから殺してやる」
「だ、だがまだ私には兵がいる...こいつらをコロセェ!」
どこからかやってきた兵が約30人ほど。
外には70人ってところか。
俺は外にいるクラルスに向かって叫ぶ。
「クラルスども!蹂躙しろ!手加減はいらねぇ!」
「「「「Sir,Yes,Sir!!」」」」
「リナ、アス、できるな?」
「「はっ!」」
「よし、やれ。カルヴェ、その子は?」
「先ほど保護した奴隷です。まだいるとは思いますがここにはいませんね」
「なるほど...。喋れるか?」
「ひっ...」
「ダメみたいだな...カルヴェ、頼んだ」
「御意」
「さぁてクズメナ。お前の私兵が蹂躙されてる気分はどうだ?しかも猫人族に、だ」
「あ、あり得ない!猫人族如きに私の私兵が負けるなんて...!」
「まぁそう思うだろうなぁ。よしクズメナ。ゲームをしよう」
「げ、ゲームだと?」
「もし今から俺がすることに悲鳴を上げなかったら見逃してやる」
「ほ、本当か!?」
「ああ。だが悲鳴を上げるたびにゲームの内容が増えるからな。ますは...手足の骨から砕いてくか」
ニィッと口の端を吊り上げる。
そのハルトに小さく悲鳴を上げるクズメナ。
「死ぬんじゃねぇぞ?まぁ死なないようにしてやるがなァ”!」
バキャァ!
「ギャァァァァァァァァァァ!!!」
「おーい、まだ腕の骨を砕いただけだろ?叫ぶなよ」
バキャァ!
「グギャァァァァァァァァァ!!!」
バキャァ!
「やえでぐれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
バキャァ!
「ゆるじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「んじゃ、次行こうか...爪からはがすぞ?」
「かひゅっ...やめて...」
ベリッ!
ギャァァァァァァァァァァ!!
◇◇◇◇◇
「ふぅ...すっきりした」
「ボス、お疲れ様です」
「おう。状況は?」
「外の兵士は全員殺しました。あとは脱出するだけですね」
「そうか。じゃあ行くか」
「はっ!」
その後、屋敷に調査に入った騎士が四肢を砕かれ、爪を全部はがされ、顔の皮を剥がされたクズメナを発見し、さらに今までの犯罪の証拠も見つかり、この事件は大きく取り上げられた。
神の天罰と言われたり、兵士全員の首が無くなって一か所に固められているのが発見されたことから首狩り殺人事件とも呼ばれるようになった。
その犯人は勿論クラルスなのだが、目撃者は全員殺したので誰も気づかない。
保護した奴隷はハルトが"奴隷の首輪"という物を解除して開放し、家族がいるものは今回のことを絶対に喋らないことを条件に帰させ、身内がいないものはクラルスで保護することになった。
クラルスの里は新しく復興をはじめ、順調に人口を増やしているそうだ。
◇◇◇◇◇
俺は今、屋敷のリビングで正座をさせられている。
なんでかって?
そりゃ、一週間以上帰ってこなかったからかな。
それになぜかティアがついてきたからだ。
「...何か言いたいことはある?」
「ティアが勝手についてきたんだ!信じてくれ!」
「...それにしては随分仲がよさそう」
「それはこいつが勝手に!」
「...問答無用」
「アッーーーー!」
ハルト、無事に締め落とされる。
「...ティア、だったかな?どうしてハルトについてきた?」
「そ、それは、その...」
「...怒らないから言ってみて」
「は、ハルトさんが好き、だからですかね...」
「...ドーラ」
「なんですか?」
「...女だけで話す時間が必要そう」
「なるほど。さすがご主人様ですねぇ」
「...レミアも」
「あらあら、うふふ」
「...それで、ハルトのどこが好きなの?」
「それは...少し野蛮だけどしっかり大切にしてくださるところとか、何というか、束縛感があって可愛いなとか思ったり...ほかには実は子供っぽいところがあってそこを指摘すると少し拗ねちゃうところとか...」
「...あなたはハルトの嫁にふさわしいことが判明した」
「ほ、ほんとですか!?」
「...ん。ハルトの可愛さを完全に理解している。あなたはハルトの近くにいるべき」
「ご主人様をここまで理解しているのは私たちのほかにカオリぐらいですからねぇ...適当にあしらわれてますけどね」
「確かにそうですねぇ」
うんうん、と頷く3嫁。
嫁の中で何か通じるものがあるようだ。
「...ティア、私たちはあなたを歓迎する」
「リディアさぁん!」
「あらあら、泣かなくてもいいのよ?」
「レミアさぁん!ありがとうございますぅ!」
嫁たちが喜びあってる中、ハルトは....。
『おいでおいで』
「あれは...ばあちゃん!?」
『おいでおいで』
「でもこの川って三途の川じゃ...」
『おいでおいで』
「でもばあちゃんが...ぬぅ...」
何かを迷っているようでした。
順調に嫁を増やしてますねぇ...〇ねばいいのに(ボソッ)
 




