ベックマンの町、そして日頃の感謝
「と、言うわけだ。だから屋敷の護衛は頼む」
俺はルリィを送り届けるために、屋敷を空けなければいけない。
なのだその間の護衛をヴェルとフェルニに頼んでいるのだ。
『別に護衛は構わんが、ドーラはどうするのだ?』
『そうじゃのう。あいつも一応人型とはいえ神獣じゃしのう』
「うーむ...人型だし、連れてっても構わないんじゃないか?」
『...ま、そうだな』
『...そうじゃな』
「と、言うわけで、留守の間よろしくな。俺、そろそろ出発するから」
『今日出るのか?早いな』
「まぁゆっくり行きたいからな。準備ができ次第行くさ」
『そうか。その代わり、帰ってきたらうまい飯を作るのじゃぞ?』
「ああ、待っててくれ」
俺は早速錬成するために庭に出る。
海の上の移動なら今回作るのは船だ。
ただの船ではない。魚雷に機雷、セントリー先輩までつけたスーパー護衛艦だ。
ちなみに軍艦ではない。
材料は安定の鉄と魔鉄を混ぜることにした。
「錬成開始【モデリング】」
モデルは小型船舶艇だ。
それにどんどん武装をつけていく。
両サイドには魚雷を2機ずつ。
付与したのは風魔術の【ターゲット】と【爆炎】だ。
【ターゲット】は自分が指定したものだけを追跡する優れモノだ。
後方部にはセントリー先輩を設置済みだ。
【ターゲット】を弾丸に【爆炎】を付与済みのチート武器だ。
これで俺たちの旅の安全は守られた。
まぁ海に行く前にいくつか町によらなきゃいけないんだがな。
移動は勿論魔道4輪駆動車だ。
内装は簡易ベットに簡易キッチン、簡易トイレといったところか。
よし、魔道船舶艇完成!
「おーい、全員荷物持ったか?」
「持った」
「えぇ、ここに」
「おし、じゃあしまうぞ。アイテムボックス」
やっぱアイテムボックス便利だよなぁ...船は勿論収納済みだ。
「ルリィ、乗れるか?怖くないか?」
「だ、大丈夫なの!怖くないの!」
ほ、ほんとかなぁ....すこし涙目だな...。
まぁ慣れると思うからそのままでいいか。
いざ、ルリィの故郷を目指して!
◇◇◇◇◇
「すごいの~~!!!」
ルリィは窓から顔を出して、高速で流れていく景色を見てそう叫ぶ。
「ルリィ、危ないから顔戻して」
「そうですよルリィちゃん」
「はいなの」
ルリィはとてもいい子だ。
ダメなことはやらないし、言うこともきちんと聞く。
あぁ...癒しだ...。
「そろそろ次の町に着くぞ」
「「「は~い(なの!)」」」
「やっぱり、魔道4輪駆動車はチートだよなぁ...。これだけで人殺せるよ?」
「でもやっちゃダメ...ねぇハルト、あの馬車...」
「ん?おお、町の近くなのに盗賊に襲われてるな」
「助けるのですか?」
「んー、不利益になりそうなら消すけど別にならなさそうだからいいかなぁって」
「パパ、あの人たち、助けてあげないの?」
ルリィの上目遣い涙目攻撃!
ハルトに100のダメージ!
「今すぐ助けるぞ」
「「了解」」
「パパ、大好きなの!」
俺も大好きだぞルリィ。
まぁ助けるといっても盗賊どもを轢き殺すだけなんだが。
まぁ相手からしたらいきなり現れた鉄の塊が見方を轢き殺すだけでも恐怖だろうな。
おし、スピードを上げて...100km...130km...150km...。
そして目の前にいた盗賊に思いっきりぶつかった。
ベチャッ!という音と共にフロントガラスに飛び散る肉片。
リディアはルリィの目を塞ぎ、俺はワイパーでフロントガラスを掃除する。
いきなり現れて盗賊を轢き殺した鉄の塊に護衛の騎士も盗賊も警戒する。
が、俺はお構いなしに自慢の魔力操作と運転で盗賊どもを轢き殺す。
そろそろかなーっといったところで車を止め、リディアたちに待っていてもらうようにする。
俺は車から降り、盗賊の頭らしき人に声をかける。
「敵対するつもりはありません!」
嘘つけ!!この場にいた全員が思ったことだろう。
さんざん見方を轢き殺されておいて、いきなり敵対するつもりはありませんなど喧嘩を売ってるようにしか見えない。
「なんだと!俺らの仲間を殺したくせに!」
「うるせぇ!車道に出る奴が悪い!」
完全に暴論である。
だが和解するつもりなどさらさらないハルトはそんなことは気にしない。
「なんだこいつ....!まぁいい!殺せ!そして魔道具を奪え!」
「敵対までするのですか....これは仕方ありませんねぇ」
ハルトの口が三日月の如く裂ける。
それをみた盗賊は一瞬止まってしまうも、雄たけびを上げながら突っ込んできた。
ドパァァァン!
突っ込んできた盗賊の上半身が一瞬でなくなり、さらに後ろにいた盗賊も一瞬で上半身が無くなって思わずシーンとなる。
「はぁ、命乞いくらいすれば助けてやるかもな?」
そこから始まったのは一方的な虐殺だった。
あるものは上半身が無くなり、あるものは爆散する。
40人近かった盗賊は今は3人ほどしかいなくなり、全員が地面に倒れている。
「ヒィィ!?まってくれ助けてくれ!何でもするから!」
「え?なんだって?」
ドパァン!!
ギャルゲー主人公のようなセリフを言いながら銃口を引くハルト。
「や、約束が違うぞ!命乞いすれば助けてくれるって」
「テロリストと交渉して守るやつがどこにいるんだよ」
ドパァン!!
また一人脳髄を散らしながら死んでいく。
そして最後の一人、盗賊の頭だけになった。
「た、助けてくれ!何でもやる!女も!金も!」
「女も金も要らん。俺はどっちも持ってる」
ドパァン!!
そして40人いた盗賊が一瞬にしていなくなった。
「ふぅ。さっさと行くとするか」
「ま、待ってください!」
「ん?」
静止の声を掛けられ、思わず振り向くハルト。
馬車の中から出てきたのは金髪をひざ丈あたりまで伸ばし、ドレスで身を包んだお嬢様だった。
この世界よろしく、かなり美少女だ。
「あ、あなたのお名前は?」
「んー、ハルトだ。お前こそ誰だよ」
「わ、私はベックマン侯爵家の長女、ソフィア・ベックマンと申します」
「そうか。じゃあな」
「お、お待ちください!せめて何かお礼を...」
「悪いな。こっちも急いでるんだ」
「失礼ながら、どちらにお向かいになってるのですか?」
「すぐそこの町だよ」
「まぁ!奇遇ですね!あそこは私の家の領地なんですよ!よろしければ、一緒に向かいませんか?」
「...まぁ、向かうだけなら」
「ありがとうございます!」
俺はそのまま車に乗り込み、再び魔力を流す。
「パパ、あの人たち助けたの?」
「ああ、ちゃんと助けたぞ」
「さすがパパなの!」
「おうおう、もっと褒めてくれてもいいんだぞ?」
車を馬車に合わせながらゆっくり進む。
まったく、ルリィはかわいいなぁ...。
こんな子が将来どこの馬の骨とも知らない奴と結婚するのか....。
その男を一発...いや3発ぐらい殴らせてもらおう。
そんな重要なこと(?)を考えているとあっという間に門の前についてしまった。
門の前には行列があり、何台か豪華な馬車が止まっているが気にしないで置く。
俺は車を止め、車を見て目を点にしてる人たちの前に降りる。
そしてリディアドーラも降り、最後にルリィが降りた。
何人かの商人が魔道4輪駆動車に嫉妬の目線を向け、多数の男がリディアたちに視線を向けた。
「この視線、不快」
「まったくですね。私はご主人様以外愛すつもりはありませんのに」
そういって両腕に抱き着く二人。
周りがわずかにどよめく。
俺はそんな二人を窘め、魔道4輪駆動車のボンネットに腰掛ける。
俺が離れたすきに何人かの女を侍らせた男がここぞとばかりにリディアたちに詰め寄る。
「お嬢ちゃんたち?良ければ僕たちと一緒に来ないかな?」
「俺と一緒にこい」
「俺のものになれ。そして一生ついてこい」
などと....あー、こいつら殺そうか。
「お前らさぁ...」
一歩ずつ男どもに近づく。
「誰の女に手ぇ出してんだァ”!?」
情けない悲鳴を上げながら逃げていく男たち。
「けっ。この程度で俺の女に手ぇ出すんじゃねぇよ」
「ハルト、束縛的。好き」
「ああ、さすがご主人様です....濡れてしまいます」
この二人はもうハルトなら何でもいいようだ。
俺は善良?な日本人なのできちんと列に並ぶことにした。
いきなり前からいなくなって楽々進めたのはラッキーだったな。
「身分証の提示をお願いします」
「ああ、これだ」
「ん」
俺たちはAランクのギルドカードを出す。
「こ、これはこれは!高ランクの冒険者様でありましたか!」
なんだこいつ。
いきなりごますりかよ。
「そちらの方は?」
「私はこれです」
そういって見せたのは何かの牙らしきものを吊るしたもの。
「!!了解しました。どうぞお通りください」
やけに丁寧な対応だな。
まぁいいか。
「なぁドーラ。それなんなんだ?」
「これは神獣であることを証明するものですよ。特殊な魔法がかけられていてほかの人が持ったり作ったりすることは不可能なんです」
「じゃあなんで門番はそれがわかったんだ?」
「何かの魔道具を使ったのじゃないでしょうか?」
「そっかぁ...」
ルリィは娘ということで通らせてもらった。
やっぱ娘は最強やな。うん。
「んじゃ、宿を決めてからギルドに顔出してくるか」
◇◇◇◇◇
「へぇ、なかなかの宿じゃん」
この宿はこの町で一番高い宿だ。
娘の安全を確保すべく多少高くても気にしないのだ。
「宿を二部屋借りたいんだが。1人部屋と3人部屋だ」
「なんで分けるの?」
「そりゃあ、なぁ?」
「気にしないで。4人部屋一つで」
「かしこまりました」
「勝手に決めちゃったよ...」
まぁいいか。
よし、さっさと荷物置いていくか。
◇◇◇◇◇
へぇ、これがこの町のギルドか。
王都並ではないとはいえかなりでかいな。
ドアを開け中に入ると、多数の冒険者の視線が俺たちに集まる。
実力を見分けようとするもの、リディアたちの美しさに目を奪われるもの、リディアたちをなめるような視線のもの...は気づかれないように目潰ししといた。
「ひぅ...怖い...」
おっと、ルリィがおびえてしまったようだ。
「おいお前ら!お前らのせいでうちの子が怖がっちまったじゃねぇか!どう責任取るんだよ!ア”ァ”!?」
「リディア、ご主人様が"うちの子"だって」
「ん、ハルト親バカ」
冒険者たちが一斉に「んな理不尽な!」という顔をする。
だがハルトの気絶しない程度の殺気と威圧に逆らえないのか、ぎこちない笑顔で強面の冒険者たちが手を振る。
それを見たルリィは....。
「ひうぅ...」
怖がってしまった。
ハルトはこいつらどうやって殺してやろうかと考えながら視線を巡らせる。
リディアは何かをルリィにささやくと、ルリィは恐る恐る顔を上げて冒険者たちの顔を眺め始めた。
途端にルリィの顔がニヘラッとなり、ギルド内の空気が穏やかになる。
ハルトは「ふんっ」と鼻を鳴らすと、受付に向かってしまった。
「なにか手頃な依頼はないか?」
俺のことをじっと見た受付嬢は何を勘違いしたのかニヤッとしながらこう言った。
「あなたみたいな貧相な冒険者はドブ掬いでもしたほうがいいじゃないですの?」
俺の顔に青筋が浮き上がる。
こいつ、先ほどまでの惨状を見てなかったのか....。馬鹿だな。ここにいた冒険者が全員思ったことだろう。
「落ち着け俺...おれは善良な日本人....善良な日本人....。ゴホン。それは何かの冗談かな?」
できる限りの笑顔を浮かべ、受付嬢に問う。
だが受付嬢は、「冗談はあなたのギルドランクだけにしてくださいですの」といった。
ビキビキッ!!
ハルトの顔にさらに青筋が浮かび上がる。
はぁぁぁ...と大きなため息が出る。
「この町のギルドの受付嬢は冒険者のランクも確かめずにそんなことを言うのか....なるほど...これは"A"ランク冒険者として見過ごせないなぁ....これはゼノに言うしかないかなぁ...」
金色のギルドカードをチラつかせながら意味ありげに言う。
受付嬢の顔はみるみる青ざめていき、最終的には真っ白になった。
何言っても反応がないから帰ることにした。
◇◇◇◇◇
「ふぅ、やっと休めるな」
宿の部屋はそれなりだった。ベットの質は日本のビジネスホテルより少し上くらいって感じだな。
まぁ悪くはない。
「ん、疲れた」
「なんか飯でも食いに行くか?それとも宿で食うか?」
「疲れましたし宿で食べましょうか」
「ん、そうする」
「そうか。ルリィもそれでいいか?」
「大丈夫なの!」
全員で宿で食べるということで早速移動した。
俺は少しやることがあるので先に行っててもらった。
この時間帯、人も多いし大丈夫かな...。
俺がやることは近接武器の作成だ。
だがただの近接武器ではない。かなりチート性能な刀を作ろうかと思ってる。
まずモデルは前創った刀と同じだ。
色にほんの少し紅みが混じっているが、それは魔力の質が変わったからだと思う。
そこに【爆炎】の魔法陣と【レールガン】の魔術を付与する。
【レールガン】の魔術を付与した理由は魔力を集めて発射するとぶっちゃけどの兵器よりダントツで貫通力、破壊力、速度を上回ってしまうのだ。
だがその分時間がかかるし、魔力も多く消費する。
あくまでサブウェポンなのだからそれぐらいでちょうどいいのだ。
【爆炎】を付与した理由は範囲攻撃だ。
【爆炎】を起動しながら敵を切るとその周囲で爆発が起こって全員肉片となる。
まぁあくまで使うのはパイソンだから刀は護身用に過ぎない。
そもそも剣術スキルなんてないしな。
よし、じゃあ下に行くとするか。
あ、ついでにあいつらにプレゼントするアクセサリーでも作っておくか。
◇◇◇◇◇
【リディア】
ハルトは何やら用事があるようなので先に宿の食堂で待ってることにした。
この宿は高い代わりに食事もおいしいらしい。まぁハルトの料理には遠く及ばないと思うけど。
「リディアお姉ちゃん、どうしたの?」
無邪気な瞳で問いかけてくるのは誘拐組織に誘拐されてたところをハルトが救った女の子、ルリィだ。
ルリィは海人族の子供で、エメラルドグリーンの髪が特徴的だ。
「ん、なんでもないよ」
頭をなでながら答える。
ルリィの髪はサラサラで気持ちいい。
「リディア、私も撫でさせてください」
そういうのはハルトの前世での友だったドーラだ。
彼女は真っ黒な髪を腰のあたりまで伸ばして、ハルトの国の和服という服に金色の瞳が特徴的だ。
彼女もとても美しい。
「やぁお嬢さんたち。よかったら僕たちと食事しないかな?」
...またか。
どこの世界にも馬鹿というものはいるのだ。
最近こういうのが増えて困っている。
「私たちは待っている人がいるから遠慮する」
少し語尾を強めて言う。
だが3人組の男はそれも気にしないようで無断で向かいの席に座ってきた。
「君たちかわいいね。何歳なのかな?」
「...はぁ。女性に年齢を聞くのは失礼」
「おっと。ごめんね。僕は一応冒険者なんだ。Cランクのね」
ここぞとばかりにオレンジ色のプレートを見せてくる。
Cランクごときが、と罵りたいけど騒ぎを大きくしたらハルトに迷惑が掛かるので落ち着こう。
「失礼ですが、あなた方は誰なんですか?」
ドーラがニコニコしながら聞くが、目の奥は笑っていない。
「僕はジャス」
「俺はヴィンスだ」
「俺はオリオルだ」
「君たちの名前を聞かせてもらってもいいかな?」
「...はぁ。リディア」
「...ドーラです」
「...」
ルリィは黙ったままだ。しかも無表情。
「リディアか!よろしくね」
「ドーラ、か。ふん。いい名前だな」
呼び捨て...鳥肌が止まらない。
しかもドーラはもう無表情だし....。
はやくハルトこないかな。
「ご飯食べたらよかったら僕たちと遊ばないかな?」
「遠慮する。あなたたちと遊んでもこちらにメリットがない」
「なら露店でも回らないかい?何かプレゼントしてもらうよ」
「あなたがプレゼントできるものなんてたかが知れてる」
「おいドーラ。お前、俺のものになる気はないか?」
「私にはもう一生を捧げた人がいますので」
「ほう、そいつは俺よりも優れているのか?」
「ええ、それはもう。容姿も性格も財力も戦闘力も何もかもああなたより上です」
「ふん。俺のほうが素晴らしいのだと目覚めさせてやろう。今すぐ俺の宿にこい」
「お断りします。あなたがいるような宿など行きたくなどありませんので」
「ふん...」
「待たせたな。待ったか?」
「「「ハルト!(ご主人様!)(パパ!)」」」
「おう。で、どうかしたのか?」
「こいつらが言い寄ってくる。不快」
「この方が宿にこいなどいきなり不愉快のことを...」
「このおじいちゃんがじろじろ見てくるの!なんか嫌なの!」
「そうか....んで?お前ら、人の女と娘相手に随分勝手なことしてくれたようじゃねぇか...エ”ェ”?」
「君が彼女たちの待ち人ってわけか...。なら君を倒せばリディアは僕のブヘェ!?」
「誰の女呼び捨てにしてんだァ”!」
「お、おい!ジャスを放せ!」
「...そうだ。新しく作った武器の試し切りと行こうか....ふふふ」
アイテムボックスから刀を取り出す。
それを試し切りにブンと振る。
ステータス900越えがふった刀はビュオン!というあり得ない音を立てて振られている。
それをみた男たちは....。
「「「ひ、ヒィィィィィ!!」」」
全員逃げて行った。
情けない奴らだ。
「ちっ。逃げられたか。なにもされてないな?」
「ん、大丈夫」
「なにもされてませんよ」
「大丈夫なの!パパが守ってくれたの!」
とりあえずなにもされてないようだ。
とりあえず注文するか。
「注文を頼む」
「かしこまりました。何になさいますか?」
「俺は日替わりAセットだ」
「じゃあ私も」
「なら私も」
「ルリィも!」
「かしこまりました。合計で銀貨50枚となりますが...」
「ほら」
俺は金貨3枚を渡す。
店員はそれを見て大きく目を見開く。
「も、もらいすぎです!」
「さっきの迷惑料だ。気にすんな」
「...わかりました」
「っと、そうだ。リディアたちに渡すものがある。これだ」
俺はリディアたちに上げる予定で作ったそれぞれのアクセサリーを渡す。
リディアには深紅の花のブローチを。
付与された魔法は強化魔法と雷光だ。
ドーラには漆黒の腕輪を。だが装飾に白いユリの花のアクセサリーをつけた。
効果は強化魔法と雷光だ。
ルリィにはエメラルドグリーンのペンダントを。
効果は位置探知と強化魔法、雷光だ。
「わぁ...」
「きれいですね...」
「すごいの...」
「まぁ、なんだ。日ごろの感謝みたいなものだ」
「ん、ありがとうハルト」
「ありがとうございます、ご主人様」
「パパ!ありがとうなの!」
それぞれがはにかんだ笑顔になる。
俺はなんだか恥ずかしくなって目をそらした。
「あぁ、どういたしまして」
「ハルト、似合う?」
「あぁ。深紅がリディアの銀髪に合ってとても似合ってるよ」
「私はどうでしょうか?」
「あぁ。白いその肌と漆黒の腕輪。それに白いユリの花でよりドーラの美しさが際立てられている」
「パパ!ルリィは!?」
「ルリィもかわいいよ。エメラルドグリーンの髪と同じで似合ってる」
「「「えへへ...」」」
そんなことを話しているうちに料理が運ばれたようだ。
かなりおいしくて満足ができる料理だった。
この宿を選んで正解だったな。
宿の部屋には4つのベットがあるけどその日は結局みんなで一緒に寝た。
とても充実した一日だった。
思ったより長くなりましたね...。
 




