6
昼休みは相沢といる事にした。
誰もいない中庭で昼飯を食べる事にした。順平に誘われたが断った。
順平曰く相沢はちょっと近寄りがたいらしい。
相沢を高嶺の花と言っていたが、僕には順平が相沢との関わりを避けているように見えた。
僕時以外の皆への相沢の態度はかなり冷たい。
シャイガールとかじゃなくて、皆を見下している感じだ。
「渡、全然食べてないじゃん。女子?」
突然の相沢の声に僕が考えていた事を遮られた。
「女子への偏見が凄いな。てことは、相沢は女子じゃない。」
「は?私は女子の象徴と言っても過言じゃないくらい女子でしょ。」
「自分の弁当見てから言え。」
本日の相沢の弁当は特大唐揚げ弁当。
の隣に菓子パン三つにおにぎり二つとプリンが一つ。
これのどこが女子だ。むしろ男子でもこんなに食べない。相撲部レベルの量だ。
恐ろしいのはこんなに食べておいて全く太っていないという事だ。燃費が凄い。
「授業で頭使ったらこんなくらい普通に食べるでしょ。渡は授業に集中してないってことだよ。」
「…。」
「あ!言い返せないんだ。」
相沢が鼻で僕を笑う。
僕は一息ついてから言った。
「愛優って全国模試で成績優秀者圏外だろ?僕は一応成績優秀者。つまり、愛優はそんなにもカロリーをとっていて、授業にも真剣に聞いているのに、僕には勝てないわけか。」
相沢は目を見開いて口をポカンと開けている。
僕を鼻で笑ったからやけになって反論してしまった。
屁理屈男とボソッと言ったのが聞こえたが無視しておこう。
「もう殺人計画立てたのか?」
僕はずっと気になっていたことを聞いた。
「それがさ~、どんな殺し方が良いかまだ模索中。」
本当に夏に殺人する気あるのか。
もっと念入りに殺人ってするもんじゃないのか。
「でもね、私的にシンプルに包丁でブスって感じがいいかな。」
僕は少し驚いた。もっと苦しめて殺すのかと思っていた。
「爪とか剥いだりしないんだ。」
相沢が眉間に皺を寄せた。
「だって、グロイのとか苦手だし。」
それでよく人を殺そうとしているな。
「でもね、絶対に殺さないといけないから、確実に死ぬ方法で殺すよ。」
前から思っていたけど相沢の言い方が、殺さないとっていう義務感がある。
真剣に人殺しを考えている口調だ。
やはり復讐なのか…。
「殺す相手はどんな見た目?」
「知りたい?」
僕は素直に頷いた。
「男性だよ。」
男だと、包丁でブスっの前に相沢がやられるんじゃないか。
「睡眠薬とか使うのか?」
僕がそう言うと相沢は驚いた顔をした。
「あ!睡眠薬か!それは頭になかったな。」
その脳みそには一体何が詰まってるんだ。
本気で殺す気あるのか。
「殺す動機は?」
これは聞かないでおこうと思っていたが、つい口から出てしまった。
「それは…秘密~。」
相沢がニヤニヤしながら言った。まるで悪戯を考えている子供みたいだ。
悪戯と殺人じゃ雲泥の差だけど。
まぁ、殺す動機を言わないのは予想していた。
「睡眠薬って最高で何時間ぐらい眠らせる事が出来るんだろうね。」
「長時間型だと24時間以上いけるらしい。」
「へぇ~、物知りだね、わたるん。」
わたるん…。
「鳥肌通り越して一瞬鳥になった。」
「え、なんで?可愛いじゃん、わたるん。」
背筋がゾワッとする。
「ていうか、結局睡眠薬使うのか?」
「参考程度に頭に入れておこうと思ってね。」
これで脳みそになにか詰まったな。良かったじゃないか。
もしや、相沢が睡眠薬を使ったら、僕は殺人計画に助言したという事で共犯になるのか。
それはまずい。巻き込まれたくない。
「愛優、やっぱり睡眠薬はやめておけ。」
「なんで?」
「お前が間違って飲みそうだから。」
「そうだよね、飲むかも。」
「だろ。」
まさか肯定するとは思わなかった。とりあえず、共犯になる事は避けれた。
相沢は口にプリンを食べ、、飲み込んで、僕たちは教室に戻った。