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僕の好きな人は殺人犯  作者: 大木戸 いずみ
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旧校舎に着くと彫深ローマ人が口を開いた。

「何を知りたい?」

僕はまさか彫深ローマ人から本題を振ってくれるなんて思っていなかったから驚いた。

「相沢の家族の事です。」

「やっぱり、それか。」

彫深ローマ人が深くため息を吐いた。

そのため息を僕が吸って幸せになろう。

なんだか昨日のおかげで彫深ローマ人との距離が一気に近づいた気がする。

僕は基本的に先生をあまり好きになれない。特に担任とは全くそりが合わない。

けど彫深ローマ人はとても話やすい。

きっとあんまり先生らしくないからだろう。

「俺が言う事を絶対に口外しないと誓えるか?」

そんな重要な秘密を僕に教えてくれるのか。

僕は彫深ローマ人の目を見て力強く頷いた。

「相沢の実親は今も生きている。」

「生きて…いるんですか?」

昨日の話を聞いて、もしかしたら相沢の実親は不幸な事故で死んだと勝手に思っていた。

だから里親の所へ行ったんだと。

「相沢は自分の親が生きている事を知っているんですか?」

「俺も詳しい事は分からんが、多分知ってると思う。」

どういう事だ?

ますます意味が分からない。

ワトソンには難解な謎すぎる。

「捨てられたって事ですか?」

「それは分からない。」

けど、今の話の流れだと捨てられた可能性が一番高い。

それとも相沢が両親を捨てたのか?

彫深ローマ人は嘘を言っていない事は分かる。

「相沢の里親とは会った事はあるんですか?」

彫深ローマ人は煙草を箱から取り出しながら首を横に振る。

里親より実親を憎んでいる可能性の方があるんじゃないか。

実親に捨てられて殺そうと思っているとか。

彫深ローマ人が煙草に火をつけた。僕をもう生徒だと思っていないのだろうか。

主流煙よりも副流煙の方が数倍体に悪いのだからここで煙草を吸わないで欲しい。

「俺が知ってるのはそれだけだ。」

そう言いながら彫深ローマ人は煙草の煙を吐いた。

「有難うございます。」

僕は礼を言ってその場から去ろうとした。

「また何か聞きたい事があったら俺んところに来いよ。」

彫深ローマ人がそう言ったのがあまりに以外で僕は目を丸くした。

もしかして僕が吉野さんとの関係を知っているから恩を売ろうとしているのか?

けど、今のところ僕が知っている彫深ローマ人はそんな人ではない。

「どうして僕に良くしてくれるんですか?」

彫深ローマ人は僕をじっと見る。

イケメンに見られても少しドキッとするもんなんだな。

「なんかお前、昔の俺と少しかぶる所があるからかな。」

どこが、と言いたかったが心の中に留めておいた。

僕は確かに彫深ローマ人と似ている部分はあるかもしれない。

僕もちょっと顔が濃いとか…。

余所者だとか、人との関わりを面倒くさいと思っているあたりとか。

けど、根本的な部分は似ていないと思う。

僕はリスクを冒してまで誰かと恋愛しようなんて思わない。





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