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僕の好きな人は殺人犯  作者: 大木戸 いずみ
19/31

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相沢はあれから学校に来ない。

もう一週間が経った。

もはや相沢が生きているのかも分からない。

何故か無性に相沢に会いたかった。

「相沢全く学校に来ないな。こんなに休んだの初めてだぜ。」

順平がサンドイッチを頬張りながらそう言った。

相沢が来なくなってから僕は順平と昼ご飯を食べるようになった。

順平も気を遣ってくれてか僕と二人でご飯を食べてくれている。

「何しているのか見当もつかない。」

順平が目を見開いて僕の方を見た。

「は?相沢と連絡取ってねえのかよ。」

「まず連絡先知らない。」

「嘘だろ。俺てっきり渡は相沢と連絡取ってると思ってた。」

取りたいけど携帯番号もメールアドレスも家電話も住所も知らないからな。

相沢と繋がっていられるものは何一つないんだと改めて思った。

「お前なんでここ一週間そんな冷静だったんだよ。」

「どういう事だよ。」

「だから、相沢と微妙なまま終わって全く心配じゃなかったのかよ。」

もちろん無茶苦茶心配した。

この一週間が一年に感じるぐらい時が経つのを遅く感じた。一分が尋常じゃないくらい長く感じた。

明日相沢は学校に来るって自分に言い聞かせながら毎日過ごしていた。

けど、そんな事を周りに言うつもりなんかなかった。

「相沢もなんか用事あるんだろ。」

僕はこんな事しか言えなかった。

順平が僕を不思議そうな目で見ている。

「渡って相沢の事好きなんだと思ってたけど、そうじゃないんだな。」

そうだ、僕は相沢を好きじゃない。

やっと理解してくれて嬉しいよ。

そう思っているのに何故か順平の言った言葉が引っかかった。

 


家に着くと僕宛に小さな茶色の封筒が一つ入っていた。

差出人は不明だ。こういうのは開けない方が良いのだろうか。

僕は心の中で葛藤したが結局好奇心に負けてしまった。

中には銀色のシンプルなブレスレットが一つだけ入っていた。

これは、相沢のものだ。

いつも手首につけていた相沢のブレスレットだ。

という事はこの封筒の差出人は相沢か。

相沢はどうして僕の家の住所を知っていたんだ。

謎が多すぎて何も解決できない。

ワトソンは医者だから謎を解決できない。

相沢はこの事を見込んで僕にワトソン役を当てたのか。

そんなしょうもない事を考えながら僕はブレスレットを眺めた。

相沢は何故僕にこのブレスレットだけを送ったんだ。

僕の誕生日は冬だから誕生日プレゼントではなさそうだ。

間違って送ったとは考えられないし…。

別れの挨拶とかか?

もし、これが別れの挨拶なら相沢は誰かを殺したのか。

いや、まだ殺していないかもしれない。今から殺すのかもしれない。

僕は今になって心の底から相沢に殺人犯になって欲しくないと思ってしまった。

相沢のあの自由奔放な姿や目尻をクシャクシャにして笑う顔や無邪気な声を僕はもう二度と感じる事も見る事も聞く事もないのだろうか。

相沢はどんな思いで僕にこのブレスレットを送ったんだ。

僕はブレスレットをもう一度よく眺めた。

…裏に何か刻まれている。

英語の文章だ。

僕は思わず固まった。この文章の意味を相沢は知っているのだろうか。

これは相沢が誰かから向けられたものなのか。

それとも僕に向けて言っているのだろうか。

僕等は変化を求めているのだろうか。

Love is more afraid of change than destruction.

愛が恐れているのは愛の破滅よりも愛の変化である。

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