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教室に戻ると皆が僕の方をじろじろ見る。
居心地が悪い
けどさっきのシベリアに比べたらましだ。
「渡、高澤大丈夫だったか?」
「ああ。そっちは?」
「こっちもとりあえず大丈夫。」
僕は相沢の方に目をやった。
静かに本を読んでいる相沢の姿はとても大人びて見えた。
僕には相沢がよく分からなかった。
「渡、ちょっといいか?」
順平にそう言われて、僕達は教室を出た。
これは告白フラグか。
今はそんな雰囲気でなにのは分かっているがやっぱり頭の中でふざけてしまう。
僕等は人気のない中庭に向かった。
そもそも生徒人数が少ないから人けのない所ばっかりだが。
「相沢ってどんな奴なんだよ。」
おお、直球。ストレート。
個人的にはカーブ一本欲しかった。
お前ってどのくらい相沢と仲良かったんだ、とか。
というか、順平も小学校四年生から今まで一緒なら分かるだろ。
「僕に対してと皆に対しての態度が違い過ぎてよく分からない。」
順平が目をパチクリさせた。なんだその顔は。
「え、相沢って渡の前だと態度違うんだ!?」
なんか誤解させてしまった気がする。
だから高澤さんに冷たくしたのか、とブツブツ呟き始めた。
絶対に誤解を生んでしまった。
「神の保証付きで相沢は僕の事を好きじゃない。」
「いやいや、渡の前だけで態度違うんだったらそれは間違いなく好きってことだろ。」
一度、僕の前での相沢の態度を見て欲しい。
あれは絶対に僕の事が好きだなんていう態度じゃない。
「絶対にありえない。」
僕は頑なに否定しているのに、順平はニヤニヤしながら僕の方を見てくる。
「まぁ、お前がそこまで言うならそういう事にしてやってもいいけど。」
そういう事にしてやってもいいじゃなくて本当にそうなんだよ。
「けどさ、相沢って転校してからずっと非情な女って感じなんだよな。」
非情な女?
あんなに感受性豊かな相沢が?
確かに今の様子を見ていると、クラスメイトに非情な感じはあるけど…。
相沢が転校してからずっと、、皆シベリア生活だったのか。
「ここってすっげえ田舎だから転校生が珍しくて、相沢が引っ越して来た時も都会から美少女が来たって皆大騒ぎして声かけまくったんだよ。そしたら相沢さ、無表情でうるさいから静かにしてって言って、それから皆必要な時にしか相沢と話さなくなったんだ。」
もはや、シベリアを越して北極だ。
小学生なんて騒ぐのが仕事みたいなもんだ。
そりゃ相沢、皆から恐れられる。
「渡といる時の相沢ってどんな感じ?」
「もし言っても嘘つき呼ばわりするのが目に見えているから言いたくない。」
「絶対にしない。」
僕は小さくため息をついてから口を開いた。
「基本的にずっと喋ってて、馬鹿みたいにしょっちゅう笑うし、しょうもない事も言うし、精神年齢小学生。」
順平が目を丸くした。
分かる、順平の気持ちはよく分かるぜ。
確かにあの相沢からは想像しがたい。
けど本当の事なんだ。僕がおかしいみたいな目で見ないでくれ。
「またまた~。」
順平は僕の肩を軽く叩きながらそう言った。
「本当にそうなんだ。」
「それは嘘だ。絶対嘘だ。」
僕を嘘つき呼ばわり絶対にしないって言ったのに。
まぁ、こうなる事は予想していたけど。
僕も順平の立場だったら僕の言った事は嘘だと思う。
「それがまじなんっす。」
僕は真剣な顔を作りながら順平に言った。
「嘘だろ…。」
順平はまだ信じられないという顔をしながらそう呟いた。




