表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

タイムトラベル

作者: こぶた



タイムマシンが完成したんだって。僕も使ってみよう。


過去に持っていくのは思い出とナイフ、それだけで十分。


まずは数年前、挫折した僕に会いにいく。


何も言わずにナイフを首筋に突き立てる。

汚い液体を噴出した後に挫折した僕は動かなくなった。


それでも僕は消えなかった。だからもっと前の僕に会いにいく。


今度は大学生の頃の僕。


一人暮らしの部屋で呑気に自慰行為をしてる。


その背中にナイフを突き立てる。


気持ちいい音を立てて汚物を撒き散らした後に、大学生の頃の僕は動かなくなった。


それでも僕は消えなかった。だからもっと前の僕に会いに行く。


次は高校生の頃の僕。


部活で疲れ果てて寝ている。


その腹にナイフを突き立てる。


ゴリゴリと筋肉を裂く感触と共に、重ねすぎた赤い絵の具のような液体を吹き出す。

その後高校生の頃の僕は動かなくなった。


それでも僕は消えなかった。だからもっと前の僕に会いに行く。


次は中学生の頃の僕に会いに行く。


初恋の人にフラれて泣いている。


その頭にナイフを突き立てる。


頭蓋骨をナイフが割り、脳内を切り裂く感触と共に赤いヘドロを吐き出す。

その後中学生の頃の僕は動かなくなった。


それでも僕は消えなかった。だからもっと前の僕に会いに行く。


今度は小学生の頃の僕。


同級生にリンチされた後で動けずにうずくまっている。


その心臓にナイフを突き立てる。


赤い噴水のように腐臭を放つ液体を噴き上げた後、小学生の頃の僕は動かなくなった。


やっぱり僕は消えなかった。もうもっと前の僕に会いに行くしかない。


生まれたばかりの僕に会いに行く。


何をしても褒められて肯定され、楽しければ笑い、辛ければ泣く生まれたばかりの僕がいる。


それがただ悲しくて、辛くて、幸せそうに見えて。


ごめんなさい。


僕はただ謝ることしかできなかった。


君の未来の姿はこんなだ。幸せになれなくてごめんなさい。


殺してきた僕にも謝る。


ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。


全て誰かのせいにしてごめんなさい。今の僕を変えられなくてごめんなさい。


結局僕は生まれたばかりの僕を殺せなかった。


元の時代に帰る。過去の僕を殺してきたのに僕が消えることはなかった。


僕は自分の部屋で一人、何百時間と見つめ続けた天井を眺める。


そこにタイムマシンがやってくる。


そういうことか…。


少し先の未来の僕が現れる。


その姿がどんなものか僕にはわからない。


僕はナイフを首筋に突き立てられる。


ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ