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3-1. 二人の出会い SIDE:エイム

前回のあらすじ!


お金を手に入れてジョーさん達は向かったのはバンカーのバーでした。お酒を飲みながらジョーさんはエイムちゃんとの出会った時を思い出します。

すごい! エイムちゃんのこと全然わからない! ほんとに出会いから謎だらけだったんですね。でも、そんなミステリアスな所もエイムちゃんの魅力……キャッ恥ずかしい。

あ、ジョーさんはエイムちゃんと出会う前にお酒に飲まれて自分の愛用の武器? 盗まれたみたいですよ。


以上、恋する乙女ヒビキがお送りしました。

私のことが気になる方は間話1を読んでね!

***********************************

「発掘作業中の遺跡でコーマが出たぞ!」

「馬鹿な! あの辺りは安全なはずでは……」

「作業を手伝っていた女の子が巻き込まれた! 早く医療カプセルへ!」

「酷い……両腕が……恐らく、長くは……」

***********************************


第3話 二人の出会い SIDE:エイム


 エイムはちびちびと酒を飲むジョーを見ていた。

 ジョーについてバーへとやってきたのはいいものの、彼が妙にしんみりと飲むせいで、エイムはすっかり手持無沙汰になっていた。


「勢い込んできた割には大人しいわね」

「こういう楽しみ方もあるのさ」


 何それ、意味わかんない! 要領を得ない回答に頭に来たエイムはグラスの中身を一息で飲み干す。なんとこれで5杯目だ! とは言っても彼女が飲んでいるのはただの氷水である。

 エイムは酒を飲まない。飲めないのではなく、飲まない。17才だからというわけではなく ――この世界には未成年禁酒法など存在しない―― 嫌いなだけだ。

 彼女にとって酒はただの苦い水と同じだった。いくら飲もうとちっとも酔えない。それなら苦くない水の方がおいしい。

 そうは言っても流石に水も飽きてきた。だがこのまま帰るのも癪に障る。それはジョーの策略にまんまとハマったことを意味するからだ。

 エイムは空になったグラスに氷をいくつか入れるとカラカラ回して遊び始めた。しばらくはこれで間を持たすつもりなのだ。ファミレスの三角メニューを回転させて暇をつぶすおっさんじみた行為である。

 そんなことをしていると、一人のチャライズムに溢れた若い男がエイムに話しかけてきた。


「ねぇ、ねぇ、キミって見ない顔だけど、このバンカーの出身?」

「違うけど、誰?」

「やっぱり! キミみたいな可愛い子オレが見逃すわけないもんね。ねぇ、お近づきに今晩どう? 遊ばない?」


 ナンパだ! なんという命知らず! 彼女のやったことを彼は知っているのか? いや、知らないからこその蛮勇だろう。不知の勇者。今から彼をそう呼ぶことにしよう。

 エイムはジョーを指さす。


「見てわからない? 私ツレがいるの」


 相手を傷つけないお断りの常套句である。しかし、ジョーはその意を全く汲み取らず、 ――恐らく汲み取った上でわざとそうしているのだろうが―― 違うよ? と言わんばかりに肩を竦めて見せた。


「コイツ……!!」

「お連れさん随分冷たいじゃん! そんな奴ほっといてさぁ」


 勇者がワキワキとエイムの肩に手を回そうとする。危ない!


「……いいわよ」


 驚天動地である。勇者の力押しが功を奏したのか、相当ジョーの態度に腹が立ったのか、エイムからまさかの承諾の言葉が飛び出た。


「ただし」


 エイムは勇者の手を軽く弾くとグラスをテーブルに叩きつける。

 中に入っていた大小様々な氷が宙に舞った。エイムはその中から大きいものを2つ、目にも止まらぬ速度で握りこむ。それ以外の氷は再び綺麗にグラスの中へと納まった。ビューティホー!


「『こう』なる覚悟があるならね」


 エイムがそう言うなり、握りこまれた氷が、バッキィン! と大きな音を立てて砕け散った。

 どれだけの力を込めればこれほど派手に砕けるのか。勇者の顔にまで砕け散った氷の粒がいくつか当たっていた。

 説明せずともお分かりだろう。ゴールデン・ボール・メタファーを握りつぶしたのだ。おっかない!

 それを理解した男は顔面が蒼白になる。もはや気力もアレもすっかり縮み上がってしまった彼は勇者とは言えない。リトル・ジョンである。

 リトル・ジョンは一歩、二歩と後ずさると、その場から逃げ出してしまった。


「ハァ、とんだタマナシ野郎ね」


 ジョーはといえば、呆れたような顔でその様子を見ていた。

 エイムは少しうれしくなった。


 私は他の誰でもない、もう心に決めた相手がいる。

 一年前の、最悪で最高の運命のあの日から。


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