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12-2.美少女! 触手! 美女! おっさんは添えるだけ

 一方、その頃。

 千切れたスティングレイの首を片手に引きずりながら、無人の廊下を歩く人物がいた。

 その人物はある部屋の前に立つと手に持った首を思い切り中へと投げ入れた。

 部屋の中には触手が一部千切れているスティングレイと先ほどジョー達を追い詰めていた四足マシンが三体ほどいる。投げ入れられたスティングレイの頭が鈍い音を立てて四足マシンの一体にぶち当たった。


『ガガッ電気ッピガッ』


 音声装置に故障が発生したか。不幸な四足マシンはノイズ交じりに音声を発し、動きも妙にギクシャクとしだした。

 そんなことは気にもかけずに、なんともぶしつけなノックをかました犯人が部屋に入ってくる。明滅する蛍光装置に照らし出されたその顔は……エイムだ。


「強引なのは嫌いじゃないけど、縛られるのって好きじゃないのよね」


 悪魔のような笑みを浮かべながら、エイムは背中に括り付けていたものを一つ、スルリと右手で取り出す。

 それは『棒』だ。1mも無い何の変哲もないただの『棒』。


『『デ電気ショショックガガッハイイカガデスカカピガッ』』


 四足マシンが一斉にエイムに向かって遮二無二突っ込んでくる! エイムは棒をバッティングフォームよろしく両手で握りしめると向かってきた一体に対してフルスイング! クリーンヒット! 円柱の胴体が中ほどから千切れ飛び、壁に叩きつけられる! 残った胴体も横薙ぎに倒れる! エイムはそのままくるりと回転して再びバッティングフォーム! 打つ! 破壊! 二体目投手強襲のツーベース・ヒット!! そのままくるりと回転! 地獄のバッティングフォーム! 打つ! 破壊! ギクシャクしていた三体目流し打ちでフェア三塁打! 四体目はいないから惜しくもサイクルヒットならず!

 その様子はまるで全てを飲み込み破滅するシルバー・トルネードだ!


「なかなかいい使い勝手じゃない」


 エイムはバッティングフォームを解くと、満足げにその棒で肩を叩いた。

 これこそジョーがエイムに渡した『秘密兵器』! その正体はレアコーマ『ブラックレパード』の素材で作り上げた『ただの堅い棒』である! それを二本!

 ただの堅い棒とあなどってはいけない。コーマ・アームを砕くエイムの攻撃ですら若干へこむ程度だった硬度に彼女の腕力が加われば……結果は見ての通りである。これでエイムは課題のあった攻撃リーチの狭さをカバー可能に! しかもただの棒なら技術的な扱いをしなくても、力任せでぶん殴るだけである程度の威力を発揮できる。大雑把なエイムにはうってつけだ!


「キルキルキル」


 残されたスティングレイが唸りを上げ、茶色がかった触手を二本伸ばしてくる。


「遅い!」


 だが、不意打ちならいざ知らず、この対峙している状況でそんなものを食らうエイムではない。持っていた棒を放り、逆に伸ばしてきた触手を両手で掴み取ってしまった。


「そぉれ!」

「ギル!?」


 エイムは威勢の良い掛け声を上げながら触手を引っ張り、スティングレイを引きずり倒す。どころか、そのまま自身の元まで引っ張り出した。ヘッド・スライディングで滑り込んできたスティングレイの頭が思い切り踏みつけられる! アウトォ!


「どっせい!」

「ギ!!」


 そのまま触手を引っこ抜くように千切り、捨てる! 千切れた断面からは火花が散り、捨てられた触手は少しの間床をのたうち、静かになった。


「さぁて、か弱い美少女を攫うような悪い子はどうしてやろうかしら」


 地獄から響くような恐ろしい声。エイムは獲物を飲み込む直前の蛇のごとき冷酷な視線を足蹴にしたスティングレイへと向けていた。

 サディスティック! このスティングレイがこれからどんな『お仕置き』を受けるのか……それは読者の皆様のご想像にお任せするとしよう。



「キルルゥ……」


 断末魔。千切れた触手が少し宙を泳ぎ、やがて力を失いだらりと床へ横たわる。スティングレイのぼこぼこにへこんだ頭には黒色に鈍く光る棒が突き刺さり、頭と鉄の床とを縫い付けていた。頭に突き刺さった棒は中ほどでへし折れてしまっている。どうやらこれはエイムが使っていた堅い棒の成れの果てのようだ。


「結構もろいわね。壊れちゃった」


 スティングレイの傍らに立つエイムは銀色の美しい髪をかき上げ、ため息をつく。そして、手に持った折れた棒の片割れを放り捨てた。もう既に、己がスクラップにしたスティングレイ達への興味は失せている。彼女の目はそれらが立ちはだかっていたその先。下への階層へと降りられる鉄梯子に向けられていた。


「あんな大勢で隠しちゃって。お宝がありそうな予感!」


 エイムは鼻歌交じりで躊躇なく下へと降りていく。

 そして、その先でカリブ海を思わせる透き通るような青い瞳を輝かせたのだった。



『『デデデ電気ショショショショックハイイイイカガッガガガピガーッッ!!』』


 ネムの放ったイカヅチが四足マシン達を一掃! だが、後ろからまだまだ迫ってくる!


「キリがない! またこんなのかい!」


 彼女は振り返り逃げ出した。ジョーは既に前を走っている。


「まぁ、幸い奴等の足は遅い。十分振り切れる」


 ネムは歯噛みする。


「エイムちゃん……!」

「相棒ならきっと無事さ。なんなら、先で待ってるかもしれないぜ?」

「だといいけど」


 ジョーは目の前に迫った柵を飛び越え、階段を駆け下りる。ネムもそれに続いた。

 広い廊下の先に現れた扉を二人が潜り抜けると、またしても大きな広間に出る。今までとは明らかに様子が違う異様な大広間に。

 二人はその光景に息を飲んだ。


【美少女! 触手! 美女! おっさんは添えるだけ 終わり】

続きはまた明日!

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次回予告!(担当:エイム)


そろそろ物語が終わりだから予告も風呂敷畳めって!?

そんな!? これからすっごく盛り上がる予定だったのに!

と、とりあえず謎の組織とかは巨大ロボで叩き潰して丸ごと壊滅! オッケーイ!


次回 第13話 真実と鉄拳


あなたのハート、狙い撃ち!


【超メモ】

・『渡り』は金をケチる意味があまりない

 第10話の記述より。これは『渡り』が十分に稼いでしまった後のことである。今回、ジョー達は大量の猫型に加えレアコーマまで倒している。それを『クレジット』に変えたので十分すぎるほどの稼ぎを得ているのだ。

 それでバンカーで使われているお金に当たる『クレジット』であるが……これ実は発行されたバンカー内でしか通用しない代物である。他のバンカーで使おうとしても二束三文にもなりはしない。つまり、色々なバンカーを渡り歩く『渡り』にとってはそのバンカーを去る時点で『クレジット』は無用の長物なのだ。ならパーっと使ってしまった方が後腐れなくて良いというものではなかろうか。これは『チケット』も同様となる。

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