11-1.突入! そして別れ!?
前回のあらすじ!
雨の中、バンカーで思い思いに過ごし英気を養った三人。
ネムさんは廃墟で特訓。
ジョーさんは加工所で暇つぶし、じゃなくて遺跡攻略の準備。
エイムちゃんは私とショッピング。
そして、雨が晴れた次の日、『エルドラド』と思わしき遺跡に向け、三人は出発するのでした。
みんな無事で帰ってきて……お願い。
以上、ヒビキがお送りしました。
もうこれでお別れなんてこと、ないよね……?
第11話 突入! そして別れ!?
ギラギラと太陽が照り付ける中、砂埃を上げ荒野を疾走する3台のフローターバイクがあった。
一番前ははためく砂除けのマントからチラチラ見えるセクシーな太腿が刺激的な女性。
二番目はテンガロンハットにいかついゴーグルをしている筋骨隆々の男。
その後ろ、かなり遅れて美しい銀髪をはためかせながら安全運転をしている女の子。
この統一感の無い三人は同じ目的のため、同じ目的地へ向かう仲間である。
目的は『エルドラド攻略』。目的地は当然……『エルドラド』!
そこに行けば望む全てが手に入ると言われる理想郷!
三人は『エルドラドらしき』遺跡の『入り口っぽい』ところの前に立っていた。威勢の良いナレーションを入れてはみたものの、実際ほとんど情報はない。この遺跡が『エルドラド』かどうか。目の前の入り口が遺跡内部につながるものか。全ては全く街灯の無いカントリーロードが如く先行き不明だ。
入り口は取っ手付きのさび付いた鉄門で、大分かすれているが白いペンキで大きく『06』と書かれているのがわかる。地面に突如ひょっこりと顔を出すそれは、なるほど、砂でも被ってしまえば一見では気が付くことすらできないだろう。
「地面に扉とは中々斬新な設計だ。気に入ったぜ。マイホーム持つ時は是非参考にしたいもんだ」
とテンガロンハットの男、ジョー。
「ジョーがマイホーム?中々イケてるジョークね」
と両手を上げ、おどけたポーズを取る銀髪の美少女、エイム。
「重そうな扉だね。任せたよ」
とジョーの肩を叩くセクシーな女性、ネム。
夢の入り口に立つ彼等の胸中いかばかりか。
三人は知らない。この先に待ち受ける危機を。困難を。それを超えた先に待ち構えるものを。
それでも行くのだ、期待も不安も全てを飲み込んで。
なぜならば。彼らはプロテクター、己の夢に命をかけた者達だからである!
*
しばらくの後のことである。
ジョーは一人となっていた。
彼が立つ場所は大きな円形ホールらしき場所の中心。天井では所々火花を散らしながら蛍光装置が明滅している。壁には画面が割れた映像モニターがちらほらと傾いたりしながら配置されていた。
あとは幼い子供がブロック遊びをした後のごときガラクタの山が床に散見される。
『ユメヲ……ゴウエ………ヨウ……ユメヲ……』
壁にぶら下がったスピーカーからノイズ混じりの聞き取りにくい合成音声がとぎれとぎれで垂れ流される。そのバックに流れる不気味な音楽 ――もともとはスピリチュアルな響きを醸し出していたのかもしれないが、ノイズのせいでおどろおどろしい―― が絶えず耳を苛んだ。
ジョーはテンガロンハットを押さえ、一人呟く。
「やってくれたぜ……」
そして、少し迷った後、彼の方から見て左にある扉に向かって走り出した。
ワッツ・ハプン!?
彼……いや、彼等の身に起こったことを説明するために少しばかり時を戻させて頂こう。
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遺跡入り口からの侵入直後。
ジョー達は面くらっていた。
期待と緊張で高度な警戒をしつつ入った先、それが辺り一面壊れた何かの機材やら、崩れた家財やらなにかしらの工具らしき錆びの塊やらのガラクタの山だったからである。
当然中は暗かったので、自前のライトを照らし見るが、とても使えるものなどありそうもない。
「これが、エルドラドだってのか……?」
ジョーが思わずそう言ってしまうのも無理はなかった。
壁にライトを向けると、ぼこぼこに凹んだ鉄壁が照らし出される。鉄壁……? そう、床も、天井も、壁も全ては鉄、もしくはなにかしらの金属だ。これではまるで窓一つ無い監獄ではないか。この冷たさがジョー達の期待感を削ぐ一助を担っていた。
一体ここは過去いかなる施設であったのだろうか?
エイムは足元に転がっていた何かの部品を拾ってみるが、それは持ち上げた途端崩れ去ってしまった。
ネムがため息をつく。
「何か思ってたのと違うねぇ」
エルドラド。それはそこに行けば全てが手に入ると言われる理想郷。そりゃもう花は咲き乱れ、怪しげなテクノロジーが跋扈し、妖精が飛び回るぐらいのイメージが出来ていても仕方ない。目前の殺伐荒涼とした光景が夢のそれとは信じがたいのだ。
「遺跡は何度か見てきたけど、こんなぐっちゃぐちゃなのは初めて見たよ。やっぱり偽物じゃないかい?」
「さぁな。それを調べてに来たんだろ?」
「そうだったね。なんかごめん」
ネムの言葉にジョーは首を竦めた。
エイムがジョーのマントを引っ張る。
「ね、早く次行きましょ。結構ワクワクしてきた!」
「わくわく?」
エイムが怪談話めかして自分のあごからライトを当て、凶悪な笑みを浮かべる。お、恐ろしい顔だ!
「だって……いかにも『出そう』な感じじゃない?」
そして、すっと前方を指さす。その先には物々しい錆びた扉があった。
*
ジョーが扉に手をかけた時、不思議なことが起こった!
『……生体……シマシ……システ………復旧…………エラー……補助……』
突如扉の上に設置された古びたスピーカーから合成音声がノイズ混じりで流れ出したのだ!
「な、なんだ!?」
ジョーは慌てて手を引く! ネムとエイムも臨戦態勢を取った!
『……クセス。ヨウコソ…………ゴウエ……エ…ヨウコ……ヨヨヨ…エエエエエエ。ピーガー』
ブツンッ! スピーカーが弾け爆発! そして天井の蛍光装置が一部点灯! 扉が自動で開く!
一連のホラーチックな流れをジョー達は呆気にとられながら眺めていた。目の前には幅の広い長い廊下が見える。その廊下もこの部屋同様に天井から床に至るまで全て鉄で出来ていた。廊下の明かりも点灯し、端まで様子を確認することが出来る。
ジョーがテンガロンハットを押さえ、余裕をアピールするような笑みを浮かべる。
「ようこそ、ねぇ。随分歓迎されてるじゃないの」
ネムは表情を引きつらせている。びっくり系統に弱いらしい。エイムは平気そうだ。
「し、システム系統がまだ生きてたってのかい? にわかには信じがたいね」
「他の誰かがやったってことは?」
「ここの場所を知っている奴がいるとは思えないけど……トラップ?」
「何にせよ、一筋縄じゃいかなそうだ」
ジョーはライトを消し、廊下へと一歩踏み出した。そう、この部屋には扉は一つ。つまりどんな罠があろうと先にあるものを手に入れたいなら行くしかないのだ。それが勇気ある一歩だったのか、それとも無謀な一歩だったのか。決めるのは全て結果次第なのである。
*
シルシルシル……
不気味な何かが這いずっている。一つ、二つではない、もっと、もっと。
シルシルシル……
それはゆっくりと、ゆっくりとエイム達に近づいていた。




