8-1.一撃必殺の閃光!
前回のあらすじ!
え、え、エイムちゃぁぁぁん! ホァ、ホァァァッ!! エイムちゃぁぁぁぁぁん!!!
……はっ! いけない、興奮しすぎてしまいました……本当にすみません。
3人の前に姿を現したレアコーマ、ブラックレパード。その強さは並ではなく、エイムちゃん達3人がかりでも倒すことが出来ません。そして、遂にエイムちゃんに重い一撃が入ってしまって、あぁ、た、倒れちゃって……そこからは徐々に不利になっていくネムさんとジョーさん。
特にもう気力の限界を超えてしまったネムさんが大ピンチ。もう駄目! となった時、それを救ったのは、倒れていたはずのエイムちゃんでした。
そして、一言。
「『私達』の本気、見せてあげる」
ず、ずるい。こんなの恰好良すぎるよぉ……
以上、恋する乙女ヒビキがお送りしました。
私のことが気になる方は間話1を読んでね!
第8話 一撃必殺の閃光!
もうジョー達はどれほどの間戦い続けてきただろうか。
太陽は傾き始め、3人の姿を若干オレンジ色に染める。ブラックレパードは相変わらず黒い。
そんなブラックレパードを指さし、エイムは言い放った。
「私達の本気、見せてあげる」
そして、自身の両手をしっかりと組んで一つの大きな握りこぶしにすると、胸の前に突き出した。
ジョーが誰にでもなく、呟く。
「待ちくたびれたぜ、相棒」
ジョーは相手をしていた猫型を切り捨てると、ブラックレパードとエイムの間に位置するように移動した。
「ネム! まだ戦えるか!」
ジョーが叫ぶ。ネムは少しふらつきながらも背筋を伸ばし、しっかりと頷いた。
「大丈夫。恰好悪いとこ見せちゃったね」
「じゃあ、もう一仕事頼むぜ」
「一仕事でいいのかい? 今なら二仕事でも三仕事でもいけそうだよ」
ネムがサンダーレオを打ち鳴らしながら歩く。バチバチと帯電する様は出会った当時と比べても全く遜色ない。おぉ、これこそ彼女の心が完全に立ち直った証!
だが、事はそう都合よく進まない。ずっと観戦態勢に入っていたブラックレパードも遂に重い腰を上げ立ち上がってしまったのだ! エイムの復活に警戒したのか、それとも完全に回復してしまったのか、それともいよいよ扱う駒が無くなったのか。いずれにしろピンチなのは変わりない!
ネムがジョーの横に並び立つ。
「敵さんもやる気十分じゃないか」
「いやだねぇ。あっちはもうちょい休憩しててもいいのに」
ジョーはやれやれと首を振った。
「ジョー!」
手を胸の前に突き出したまま、後ろからエイムが叫ぶ。
「カウント6!」
ジョーが頷く。
「オーケー、相棒。30秒ってとこか」
意味深なやり取りが二人の間でなされる。ブラックレパードは警戒するように低く唸った。
ネムはサンダーレオを構える。
「それで、アタシはどうすればいい?」
ジョーもチェーン・ソードを構えた。
「オーダーはただ一つ。耐えろ。死ぬな」
「二つって言うんだよ、それは」
ネムはニヤリと笑う。
ブラックレパードが地を蹴り、向かってくる!
「二手に分かれて、片方がカバー!」
「了解!」
同時にジョー達も地を蹴り、散開!
お互いの死力を尽くした最終局面、フィナーレは近い!
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「6!」
エイムが叫ぶ!
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「何があったかって?うん、知ってる。全て。あなたのことも、あなたのコーマ・アームも」
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エイムの両腕が鈍い音を立てて『開く』。着ていた衣服が腕の付け根からビリビリと裂け、その全てがあらわとなった。
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ブラックレパードがネム目掛けて、爪を振り下ろす! 弱っている相手から狙う算段か!
「おっと」
その腕に絡まるものがある! ジョーのチェーン・ソードだ。ジョーは歯を食いしばり踏ん張るが、足元には体ごと引きずられた跡がくっきりと残っている!
「ヘイ、プッシーキャット。俺とも遊んでくれよ」
丸太のようなたくましい腕を震わせながらジョーが言う。表情は余裕だが、わりと限界そうだ!
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「5!」
エイムが叫ぶ!
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「私はエイム。今死んでしまったユヅル・ニシノの娘」
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驚くべき光景! 左腕、肘先から現れたのは銀色の巨大な砲身! 右腕からは何やらなめらかな曲線を持つ複雑な機械類! およそ少女の華奢な腕に収まっていたとは思えない質量だ!
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ブラックレパードの動きが止まった一瞬の隙をついてネムがサンダーレオで頭を鷲掴みにする!
「さっきは弾かれちまったけど、この距離ならどうだい!?」
決死の攻撃か!? ゼロ距離でのイカヅチは自分の身さえ危険な諸刃の刃!
ネムが顔を歪め、笑う!
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「4!」
エイムが叫ぶ!
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「あなたはジョー。コーマ・アーム『ワン・ショット・キル』の持ち主」
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組み、突き出された手はカチカチと音を立てながら結合していく。
同時に左肘先は砲身ごと外れ、右腕のなめらかな曲線の機械類へとドッキング……おぉ、なんということだ。この姿は!
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「GO!サンダァァ、レオォォッッ!!」
ネムの雄叫びと共にサンダーレオが一際大きな光を放つ!
「グルルルォォ!!」
ブラックレパードが叫び、プリズム壁をまとうが、接触している今無駄なあがきだ!
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「3!」
エイムが叫ぶ!
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「私の腕になった『ワン・ショット・キル』のね」
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現れた姿は紛れもなく『ワン・ショット・キル』!! ジョーが『ビッグ・ガン・ジョー』と呼ばれていたころに使用していた愛用のコーマ・アームである!
完全にワン・ショット・キルへと姿を変えた右腕が付け根からごとりと落ちる!
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「あぁぁッ!」
「ギィィガァァ!!!」
サンダーレオからイカヅチが放たれ、ネムとブラックレパードが悲鳴をあげる! ブラックレパードに突き刺さり、わずかに反射したイカヅチがネムの肌を切り裂くのだ!
あと、忘れてはいけない。実はジョーも繋がっているはず! だが、いつの間にかジョーはチェーン・ソードを本体だけ残して切り離し、その場からいなくなっていた! しゅ、主人公にあるまじき非道行為! 卑怯!
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「2!」
エイムが叫ぶ!
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「ううん、ちょっと違うわね。私と融合した、といった方が正しいかしら」
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残った左腕の肘上もその姿をマグナム銃のような姿へと変貌させ、ごとりと落ちる。
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「くっそぉぉ!!」
ネムが自身のイカヅチの耐え切れず、後方へよろめき倒れる! ブラックレパードは!?
「……」
動きを止めている。ネムの捨て身の攻撃が効いたのだ!
「ジョー、まだなのかい!!」