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6-2.黒き獣

SIDE:ハン&ネム


「ワシのことは気にするな! 思いっきりやれい!」


 ハンが唾を飛ばしながら吠える。ネムはニヤリと笑い、サンダーレオを構えた。


「元からそのつもりだよ!」


 サンダーレオがバチバチと嬉しそうに唸りを上げる。

 そこでハンに弾き飛ばされた猫型の中で態勢を立て直した三体がネム達に向かって飛びかかってきた!


「ガガァ!!」

「GO! サンダーレオ!」


 ヒット! 二体がサンダーレオの放ったイカヅチに打たれて落ちる!

 だが、まだだ、これで怯むコーマではない。他の猫型達も次々と態勢を立て直し、襲い掛かってきているのだ!


「ぬおぉぉ!」


 ハンが一匹を器用に弾き飛ばし、襲い掛かってくる猫型達を牽制! 猫型もさるもの、素早い動きでそれを躱すが、そこにスキが生まれるのだ!


「行くよ!」

「確認不要!」


 ネムが高々とサンダーレオを頭上に掲げる。サンダーレオが纏うイカヅチがより一層強力になる!


「ブリッツフォール!」


 半径3m、稲妻の結界! サンダーレオからド派手に放たれたイカヅチが彼女を中心に所狭しと降り注ぐ! その姿は正に雷神だ!


「グギャァ!」

「ギギィ!」


 次々とイカヅチに打たれて倒れていく猫型!

 しかし、イカヅチが襲うのは猫型だけではない。ハンにも無差別 ――むしろ猫型より背の高いハンに雷が落ちるのは必然か―― に襲い掛かる!


「フン!」


 ハンはそれをリボルシブアンブレラの特性で弾いた! 雷さえ弾くとはなんという性能だ! だがしかし、それだけではない!


「ギャオ!?」


 弾いたイカヅチを器用に猫型へと誘導! 直撃! コーマ・アームを使いこなす老練の技がそこにあった!

 ネムが広範囲で一気に数を減らし、ハンが残った相手をネムの攻撃を利用することで撃破する、見事なコンビネーション! 彼女達を襲った猫型達は全て返り討ちと相成った。



SIDE:エイム&ジョー


 ジョーとエイムは背中合わせで構えている。それをジリジリと猫型コーマ達が取り囲んでいる。それでもジョーの余裕の表情は崩れない。


「何だって猫型がこう群れてんだか」


 エイムが口を歪め、非常に攻撃的な笑みを浮かべる。獲物を前にした獰猛な獣さながらだ。


「群れで乱暴とかレディに対する礼儀がなってないわ。しっかり躾てやんないとね」

「レディはそんな顔はしないぞ」

「あら、見えてたかしら?」

「見えなくても想像つく」


 まるで今の状況を楽しんでいるような二人に痺れを切らしたのか、猫型が一斉に四方八方からジョー達へと襲い掛かる! 逃げ道は無い!


「カモン!」

「ギ!?」


 しかし、ジョーの鞭となったチェーン・ソードが空中の猫型一匹を捉え、瞬時に引き寄せる。


「1つ!」


 エイムが見向きもせずに裏拳で引き寄せられた猫型コーマを真っ二つに砕いた! 砕いた半分 ――下半身である―― の足をエイムは握りしめ、手近な猫型へと豪快にぶん投げる!

 猫型はもちろん躱そうと跳躍! だが、その先には鞭で操られた残った上半身が待ち受けていた。


「ギガァ!?」

「2つ目!」


 見事にヒット! だがまだまだ数は残っている。この間にジョーに猫型の爪攻撃が迫る。ジョーが身を少し屈めると、その背中をエイムが飛び越えてくる。

 その勢いのまま、猫型の頸部を思い切りストンプ! 首がくの字に折れ曲がる! 少女の体重と侮ってはいけない。エイムは見た目こそ華奢だが、実はムキムキなジョーより重い!


「3つ、ブラボー!」


 位置を入れ替えたジョーがそのまま後ろにいた猫型を切り裂く。チェーン・ソードの剣モードだ!


「四つ。あと二!」


 ジョーはスクラップになった猫型の胴に鞭モードにしたチェーン・ソードを巻きつけ、大きく振り回す。それを避けるために残った猫型は一旦飛びのく他ない。猫型は飛びのいたが近くにエイムもいる! 巻き添えだ!


「ちょっと! 危ないでしょ!」


 そう言いながらもエイムは自分に迫ったスクラップを思い切り殴り飛ばす。豪快に吹っ飛び場外ホームランだ! 追加点1である。

 そのビーンボールを放ったジョーは悪びれもせずに、ぴっとエイムを指差した。


「これくらいなんてことないだろ?」

「当然!」


 エイムのサムズアップと白い歯が眩しく輝く。

 あれだけ数のいた猫型達も、あっという間に残り二体となってしまった。数の上での有利も無くなった猫型達にもはや勝ち目はない。

 お互いの心がわかっているかのような流麗なコンビネーション。この二人は一緒に戦ってこそ真価を発揮するようだ。



 全ての猫型コーマを片付け終えた直後。


「流石に、もう動けん……」


 ハンがそう言い、その場に膝をつく。肉体の限界は十の昔に超えていたのだ。今までよく持ったというべきだろう。ネムがハンに手を差し伸べる。


「ギリギリセーフだね。肩貸すよ、ハン」


 ハンはその手を掴む。が、その顔は勝利の喜びとは程遠く、依然として厳しいままだ。


「まだじゃ。まだ『奴』が残っておる」

「奴?」


 ハン達のところにジョーとエイムもやってきた。


「どうした、じぃさん。助かったんだからもっと喜べ」

「この程度の敵だけだったら、ワシとグラトンでも何とか出来たわい」

「どういうこと?」


 エイムが首を傾げる。

 ネムが緊張の面持ちで息を飲む。


「……まだ『大物』がいるってことかい?」


 その時であった。後方から、メキメキと金属が潰れる音がした。

 皆が音のした方へ一斉に視線を向ける。

 そこには猫型コーマの亡骸を踏み砕きやってくる漆黒の獣の姿があった。


【黒き獣 終わり】

次回予告!(担当:エイム)


なんだかんだで私の初デビューの時がきた!

初戦の相手は何とも怪しげな黒豹のマスクをした女!

ちょちょちょっと、でかすぎない!? プロレスって階級ないの!?


次回 第7話 決戦! ブラックレパード


あなたのハート、狙い撃ち!



【超メモ】

・大きさで分かれるコーマの種類

コーマの大まかな種別は本体部分の全長で別れる。

80cm未満:小型

80cm以上2.5m未満:中型

2.5m以上5m未満:大型

5m以上:特大

物語中では完全に人の目分量に頼るため、ざっくりとした指針である。まぁ面倒なので境目位になりそうな微妙な大きさのコーマなどは出てこないだろう。

基本的に大きなものになればなるほど強いといわれるが、例外もある。例外については今後 ――具体的にはこの後すぐに―― 説明があるだろう。

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