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転生って……  作者: カーザ
第一章 転生前夜
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第二話 ボーナスって

「他に質問はありますか?」

「いえ、結構です。お答えいただき、ありがとうございます。えーと、転生先の条件でしたね。そんなにいくつも条件を指定していいんですか?」

「大丈夫ですよ。むしろ絞り切れないのでもっと言って下さい」


 うーんと、調子に乗らずかつポイントを押さえて効果的な……

「それじゃあ、お言葉に甘えて。元の世界と常識が似通った世界がいいですね」

「と言うと?」


「以前の知識を持っていると、物理法則が全然違うとか禁忌やマナーがかけ離れてると生活しにくいと思うんですよ」

「なるほど。それでだいぶ絞り込めましたね」


 そうか、常識が異なる世界の方が多いんだ。

「あとは、スキルというか特殊技能を覚えられる世界とかありますかね?」

「具体的にはどんな技能ですか?」


「遠隔武器の命中補正とかマジックアイテム作成、言語習得、高速移動、周辺マップ表示、鑑定とかですね」

「ふーむ、なるほど。元の世界のゲームの中に出てくるようなものですね」


「ええその通りです。ああいった技能が現実で使えたら便利だろうなーと。あ、そうだ技能かどうかわかりませんがインベントリがあるとすごく便利ですね」

「具体的に言うとどういったものでしょう?」


「異空間収納庫とでもいうんでしょうか。重量とか個数の制限なく触れたアイテムを出し入れ出来て内部では時間が停止していて温度変化がないというものです」

「時間停止ですか、他の機能は問題ないですが時間停止は特殊ですから……」


「難しいでしょうか?」

「うーん……。ああ、ここなら大丈夫かもしれません」




 少しの間黙り込んでタブレットを操作していた男が笑みを浮かべて顔を上げた。

「え、あるんですか?」

「本来は難しいのですが、現在イベント参加者を募集しているので参加条件として指定すれば受け入れられると思いますよ」


「イベント?」

「その世界の主神を決めるイベントでして。守護する一族が勝利したものが主神に成れるとあって、優秀な参加者には多少の融通は利かせてくれるでしょう」


 それイベントってレベルじゃないでしょ! 負け組になったらずっと重い石を持たされるとか、毎朝鳥に腸を食われるとかですか?


「主神を決めるイベントって最終戦争っぽいんですけど大丈夫なんですか? それに優秀と言われても何も実績がないわけで自信はないんですけど……」

 君子危うきに近寄らず。ここは回避の方向で進めるのが賢いよね。




 こちらの思惑を知ってか知らずか、にこにことした顔で話を続けられる。

「おそらく大丈夫ですよ。最終局面に至るのはまだまだ先でしょうし。なんといっても、100回記念のボーナスがありますからね。一般参加者と比べるとものすごく有利になります」


「ボーナスって、転生する世界を選べる事と過去の知識や記憶を持っていける事ですよね?」

「それ以外にも能力を付与できます。分かりやすく言うと100ポイントの自由に割り振れるポイントを持っていて、それを使って身体機能を上げたり先ほどのスキルや魔法を最初から使えるようにするとかですね」


 スキル持ちキター! しかも複数持てるっぽい。

「それは凄い優遇ですね」

「そうですね。滅多にないチャンスですよ」

 そうか、それなら俺でもいけるかもしれないな。だんだんチートの異世界転生ぽくなってきたぞ。


「ふむふむ。じゃあこの後はどうすればいいんでしょうか?」

「まずはあなたの希望を具体化してあちら側の神々に提示します。現在不利な神ほど好条件で受け入れようとするでしょうけど、早死にする可能性も高くなります。その辺を見定めて転生先を決めて、足りないスキルはポイントを使って習得という流れですね」

「なるほど……そこでお願いします」


 早死にすると言われて少し考えてしまったが、異世界転生出来たら……いろんな小説を読んでて自分ならこう立ち回るなと考えたことが何度かある。それを実践するチャンスじゃないか!

 さっきスキルについて聞かれた時にスラスラ出てきたのも、自分ならこのスキルだなと考えたことがあったからなんだよね。




「時間停止・重量・個数制限無しで出し入れ自由なインベントリ、魔物やドラゴンとの従属契約と意思疎通、遠隔武器の命中補正、マジックアイテム作成、言語習得、高速移動、周辺マップ表示、鑑定あとは魔法ですがこれは属性適性も付けた方が便利だと思いますよ」

「属性適性ですかそれじゃあ、回復魔法、土魔法、風魔法といったところでお願いします」


「なかなか渋い選択ですね。攻撃より守りですか」

「取り敢えず生き抜くことを優先しようかと」


「いい心がけかと思います。他にご希望のスキルはありますか? ここは遠慮しても意味がないので思いつくままにリクエストした方が得ですよ」


 なかなかノリのいい人?だな。それじゃあお言葉に甘えて。

「うーん、他に思いつくのは魔石作成、複製品作成、罠探知、罠解除、あとは並列思考、マジックハンド、魔法だと空間魔法かな」


「魔石作成というのは?」

「その世界で魔石という名前かどうかは分かりませんが、マジックアイテム作成に使ったりエネルギー供給するのに使うアイテムがあるのなら、それを自力で作れるということです」


「なるほど。あと、複製品作成は制限がそれなりにあると思いますよ」

「ああ、そうですよね。複製不可アイテムとかあるでしょうし、ある程度の材料は揃えておく必要があるとかでしょうか?」


「そういうこともあるでしょうし、魔力不足で作成できないこともあるでしょうね。並列思考とマジックハンドはどのようなものですか」

「並列思考はスキルや魔法などを同時使用する能力です。右手と左手で別のことをしたり、周囲に注意しながら森の中を走りつつ、後ろに向かって魔法を撃つとか。マジックハンドは魔力で見えない腕を作って、本物の腕のように使えるというものですね。この二つを組み合わせることで複数の作業を同時進行できるようになります」


「作業効率が上がるわけですね。最後に空間魔法ですがこれは?」

「鞄の容量を増やしたり部屋を実際より広くしたり、後は離れた場所に移動出来たりでしょうか」


「なるほど。以上でよければ交渉に入りますが、どうします?」

「お願いします」






 先ほどより少し長く黙り込んでいた男が振り返ってこちらを向いた。この短時間で相手と交渉が出来たのだろうか? もしかすると時間の概念が異なっているのかもしれないな。


「おまたせしました。命中補正、マジックアイテム作成、高速移動、鑑定、回復魔法、土魔法、風魔法、罠探知、罠解除、並列思考、マジックハンド、以上についてはヒューマン族の神が了承しました。周辺マップ表示と言語習得に関しては他の信仰神が関与するため難しいとのことなのでこちらでボーナスポイントを使って付与しましょう。インベントリ、テイミング、魔石作成、複製品作成、空間魔法、この五つはコストが高いので一つに絞ってほしいそうです。こちらもポイントを使って三つは付与できますが四つは難しいですね。どうしますか?」


「あー、それじゃあ魔石作成をキャンセルでお願いします」

 何に使えるかわからない魔石は他より優先度が低いと判断した。複製品作成があれば魔石も複製できるかもしれないしね。


「わかりました。ではこちらでインベントリ、複製品作成、空間魔法を付与しますね。ちなみに他の種族だと半分くらいしか付与できないとの返事だったので、転生先はヒューマン族の前提で話してますが構いませんか?」


 ヒューマン族か。なんか普通の人っぽいな。エルフとかオーガにも興味があるけど食生活を考えると無難かな。エルフだと木の実だけ、オーガなら生肉を喰えとか言われても困るしね。


「それは構いませんが、ヒューマン族は不利なんですか? それとヒューマン族って前の世界の人間みたいなものでしょうか?」

「そうですね。数的には最大手なんですが個々の力が劣っていて厳しいようです。それと種族に関してですが、あちらの世界で人間あるいは人と呼ばれるのは、ヒューマン、エルフ、魔族、ドワーフ、ノーム、オーガ、巨人、ホビットの八種族となります。ヒューマンの外見は前いた世界の人間に類似していますね。食生活も似ていると思いますよ」


「なるほど、ありがとうございます。劣勢なのは不安ですけど、でもそのおかげで優遇してもらえるんだから個人的にはラッキーですね」

「頑張って主神にしてあげたら、ご褒美が貰えるかもしれませんよ」




「うーん、それって他種族を殺しまくったりするんですかね? 頑張れるかな?」

「種族間の争いもあるでしょうが、基本は魔物との争いでしょうね」


「え、そうなんですか?」

「ええ、あそこは主要な土地は魔物の支配下で人間はその隙間で細々と暮らしている状態です。なので支配地域を広げる=魔物を倒すですね」


 いいことが聞けた。ずいぶん気が楽になったよ。

 あれ、でも魔物の支配地域が広いのなら魔神とかが主神になるんじゃ?


「魔物を従えている神はいないんですか?」

「魔物は信仰を持たないので信仰神はいませんね。同じ理由で植物にも信仰神はいませんよ」


 なるほど魔物と植物には神がいないと。

 それと信仰神と創造神は違うのか。まあ創造神なら最初から主神だろうし、そういうものだと理解するしかないか。


「それはそうとボーナスポイントがまだ残ってますが、何に使いますか?」

「はあ、何に使えるんでしょうか?」


「そうですね。前の世界のアイテムをいくつか持ち込むとかどうです?」

「前の世界の……。あっちの世界って文明レベル的にはどうなんです? 自分が前いた世界と比べて」


「そうですね、近世レベルでしょうか。電子技術や内燃機関はありませんね」

 産業革命前ってところか。ちなみに中世と言うのは5~16世紀で東ローマ帝国が頑張ってた頃ね。

「持ち込んだアイテムって複製できるでしょうか?」

 男の目がわずかに開かれる。


「複製ですか。対価として支払う魔力によっては可能かと」

「複製できるんだ。そうすると、武器で考えると戦闘機とか戦車、いやミサイルの方がいいのか? あ、でも使い方がわからないや。マシンガンとか銃くらいなら練習すれば使えるかな?」


「大量殺戮兵器は止めておいた方がいいかと思いますよ。獲物の肉が食べられなくなりますし、皮も燃えてしまったり穴だらけだと使えなくなりますから」

「なるほど。すると武器だとライフルとか拳銃……いや音が大きい武器だと獲物が逃げるか、そうすると弓……コンパウンドボウとかクロスボウ、乗り物だとオフロードバイク、発電機も持ち込めるなら電動もありかな? どうでしょうか?」


「その辺りなら大丈夫でしょう」

「ふむふむ。発電機ありならタブレットも欲しいのですが、中に入れるソフトも指定できますか?」


「構わないですよ」

「それは助かります。あとは食品とか雑貨かな」


 うーん、なんだかさっきからデジャヴを感じるな。同じようなリストを作ったような……


お願い

・この展開は不自然

・これは理屈に合わない

・この設定は無茶

・誤字脱字

 等々ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。


 ご指摘いただいた点をすべて修正できるとは限りませんので

その点ご了承ください。

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