表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

入学

 うららかな春の日差しの中、小学校まで歩いてゆく子どもと保護者たち。今日は入学式である。そんな中に、葵と雫もいた。


「私がこんなところにいると親になったみたいなんだが」

「里親登録したんだから、親で間違っていないだろ」

「まあ、確かにそうなんだけどな」


 葵と雫が出会って一ヶ月ほど。雫はお金はあったが、未成年ということで不都合が多かったので、都合がいいことに葵がいたので養子縁組をして、親子関係を結んだのであった。ただ、この親子、娘6歳に親が金銭的に依存している状態となっており、どちらが保護者なのかは大分あやしいものであったのだが。


「嫌なら断ってもよかったのに」

「別に嫌じゃないし、親権ないとこの国じゃ不便なのはわかってるからな。こっちは助けてもらったし、お互い様だ」

「なら、いいさ」


 そんな、他人に聞かれたら不味そうな会話をしながら、学校へと向かう二人であった。




「今日はお日柄もよく(以下略)」


 今は広い体育館で、新入生が皆座りながら先生方の話を聞いている。どのご時世にも、校長の長い話というものはあるものである。そして眠くなるものだ。睡魔と戦いながらも、ただじっと椅子に座りながら時間を過ごす。


「(この感じは昔と変わらないものだな)」


 少し感慨にふけってもいた。



 そんな戦いという名の入学式も終わり、各自教室へ移動する。さっきまでの静かさから開放され、皆生き生きしている。


「ねえ、君なんていうの?」


 そんな中、近くにいた女の子が話しかけてきた。


「私は柏木 雫。君は?」

「私は御堂みどう 彩花あやか。よろしくね」

「こっちこそよろしく」


「(目がくりっとしていて、かわいい子だな)」


 そんな風に考えていると、


「おまえ、雫って言うんだな。俺は五十嵐いがらし 健也けんや。よろしく」

「うん。よろしく」


 同じく近くにいた男の子が声をかけてきた。どちらかというと、体育会系だろうか。


(それにしてもみんな元気あるな。流石若いだけはある)


 皆、バイタリティーに溢れた盛りなので、教室はなかなかにカオスな状況だ。



「はい、みんな席について」


 先生が来て、皆に席の場所を伝える。


「はい。それでは、今の席が1学期の席になるので皆さん覚えておいてくださいね」

「はーい」


 今日は、そんな感じで学校は終わり、解散となった。



「雫、学校はどうだった?」

「小さい子がいっぱいで、みんな元気すぎて付いていける気がしない」

「6歳とは思えないコメントだな」

「6歳じゃないからな」


 そんな感じで2人は家路につくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ