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警戒

 私は急いでホテルに戻った。


「ご無事ですか?」

「はい。どうかしましたか」


 部屋に戻ると、理恵様は無事で、特に何も問題はなかった。


「ご無事で何よりです。結局追手には逃げられてしまいました」

「そうですか。ですが、雫さんが無事で安心しました」


 そういって彼女は微笑む。


 私はすぐに荷物の中から魔石を取り出して設置し、結界をもう一つ展開することで2重の結界にした。


「結界をさらに展開されたようですが、そんなに強い相手だったのですか?」

「強いというか、魔法を使わないのに全ての攻撃を回避されて、展開していた結界からも逃げられてしまいました。こんなことは初めてです。なので、念の為結界を二重にしました」


 だが、これだけだと不十分だろう。


 念の為更に防御を固めることにした。


 床に両手をつき、魔力を放出しながら詠唱を開始し、床に魔法陣が浮かび上がる。


「契約に基づき求める。全てを守る盾となれ。召喚・アリシア」


 その言葉と共に魔法陣がまばゆく光り、その光が収まるとキラキラとした光の粒子と共にメイド服の若い女性が1人立っていた。


「お久しぶりです、我が主・・・?」


 現れたアリシアは何故かキョトンとしていた。


「久しいな、アリシア」

「魔力から主であることはわかりますが、何故女の子になっているのですか?」

「ああ、そうか。まあ、魔法による効果と言っておこうか」


 ここで説明するのは少しまずいだろう。


「流石です、主。そして、何の御用でしょうか?」

「こちらの美鈴理恵様の護衛を頼もうと思ってな。魔法を使わずに私の攻撃を全て回避して、閉じ込めていた結界から逃げ出せるような追手に目をつけられていてな」

「主が手こずる相手とは相当ですね。かしこまりました」


 そう答えると、アリシアは理恵様にカーテシーと共に挨拶をする。


「よろしくお願いします、美鈴様」

「はっ、はい」


 理恵様が少し慌てていた。


「もしかして召喚魔法を見るのは初めて?」

「いえ、見たことはあります。でも、その時は鳥や狼などで人を召喚する人はいませんでした」

「なるほどね、契約する難易度が高いからね。ちなみに彼女は精霊だよ」

「精霊さんなんですか。よろしくお願いします、アリシアさん」


 これで護衛の心配は大分減っただろう。


「それでは、寝ましょうか、理恵様」

「はい、そうですね」


 私達はベッドに入った。

 アリシアは私達の脇に椅子を置いて、座っていた。


「そういえば、アリシアさんは眠らないんですか?」

「精霊は寝る必要がないんですよ」

「そうなんですね」


 そんな会話を挟みながら、私達は眠った。

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