授業
私たち新入生は初めての授業に備えて、教室に集まっていた。
この1週間は濃密すぎた。
「みなさん、おはようございます。先日はみなさん災難でしたね。それでも、一人も怪我なくこの授業初日を迎えることができ嬉しく思います」
みんな頷きながら、本当にそうだと同意している。
「さて、今日から一般の中学の座学とともに、魔法の座学と実技を行なっていきます。張り切っていきましょう」
「はい」
ということで始まった、魔法学院の授業。
魔法がメインだと思っていたが、数学や物理、歴史などの一般的な中学生向けの授業がメインであった。まあ、一応表向きは一流大学の付属中学ということになっているのだから当たり前か。
このクラスは入学試験の成績が一番良かった子たちの集まりなので、サクサクと授業が進んでいく。さすがだな。
そんなこんなで、休み時間になった。
「なんか案外普通だな」
健也としては少々拍子抜けしていたようだ。
「そうかなー。私はここの授業好きだよ」
彩花としては充実しているようだ。意外と勉強もできるからな、この子は。
そういえば、午後は魔法実技だったな。
そのことを二人に伝えると、
「ここからが俺の力の見せ所だな」
健也が復活したようだ。
ということで、魔法実技の授業。
体育着に着替えて、先生を待っていた。
すると、筋肉ダルマみたいなおっさんが現れた。
・・・魔法学院だよな、ここ。
「俺の名前は、山口 剛だ。お前ら、準備体操の後は校庭20周だ。魔術師といえど体力がないと勤まらないぞ。ちなみに、強化魔法は禁止。よし、始め」
脳筋が多いのか、この魔法学院は。
強化魔法禁止とかきついな。
とりあえず、準備体操を一通りした後、校庭を走っていく。
「雫ちゃん、大丈夫?」
「大分きついけど、なんとか」
私の体は、魔力量はとてつもなく多いが、筋肉量はそこまで多くないのだ。
きついわ。この運動。
一方で、彩花と健也は余裕そうだ。
「無理するなよ」
「心配してくれてるの?」
「あたりまえだろ」
健也、お前って案外優しいんだな。
私はへとへとになりながら、何とか20周することができた。
力を使うようなときはいつも強化魔法使ってるから、地の体力がなさすぎるな。
運動しよ。
そんなことを考えていた。
クラスのほとんどがすでにへとへとになっている中、先生が話を始めた。
「よし、よくやったお前ら。次は、魔力のある限り魔法を使って限界を知ってもらう。ガンガン使って、魔力量を増やしていこう」
脳筋だわ、この人。
「お前ら全員で俺を倒してみろ。よし、始め」
よしじゃないわ。
「なんか面白そうだね、雫ちゃん」
「・・・うん。まあ、始めようか」
「うん!」
彩花が一番手で先生に攻撃を仕掛ける。
「アイススピア」
トリガーワードと共に、同時に出現した10の氷の槍が高速で先生に接近する。
容赦ないな。
先生に槍が当たり、轟音と共に爆散する。
「やったか?」
何言ってんの、彩花さん。
それは確実に無事なパターンでしょ。
「はっはっはっ。いい攻撃だ。もっとだ。もっと強くこい」
案の定無傷な先生。
M属性でもあるのだろうか。
「それじゃ、次は俺がいくぜ。ファイアーアロー」
炎の矢が10本展開し、先生に直撃して爆発する。
だが、またしても傷一つ負わすことはできない。
「硬いな、あの先生」
確かに硬いな。本当に人間なのか。
上位魔獣と言われても納得するレベルだ。
その後生徒らが同時に様々な攻撃を仕掛けたりしたが、全く攻撃が通らなかった。
「まあ、1年でこのぐらいなら有望か」
さすがだな、この先生。防御力が頭おかしいレベルだ。
「そこの生徒、攻撃してこないのか」
私が指さされる。
「攻撃してもいいですが、上位魔法とか使ってもいいですか」
「おおっ。上位魔法が使えるのか。それはいい。もちろん使っていいぞ。どんとこいだ」
殺さない程度に強力な魔法って難しいな。
彩花の手本のためにも、氷の上位魔法でも使ってみるか。
「祝福されし凍てつき物は全てを貫く力となる。ブレスドアイスボール」
アイスボールに光魔法で祝福を与えて強化したもの。扱い的には上位魔法に当たる。
そこそこの魔力を込めた、氷の玉が先生に向かって超高速で接近し、激突する。
すると、先生が吹き飛ばされた。
あっ、やばいかも。
吹き飛ばされた先を見ると、少しよろめきながらも立ち上がってこちらに戻ってきた。
「いい攻撃だったぞ。肋骨にヒビが入ったかもしれんな」
「冷静に分析しないで寝てください。回復しますから」
「悪いな」
横になった先生に光魔法で回復をかける。
確かに、折れてはないがヒビが入っているようだ。
普通なら、折れてもおかしくはないレベルの攻撃なんだけど、やっぱり硬いなこの人。
回復をすませると、すぐに先生が立ち上がって抱きついてきた。
「お前のようなものを待っていたんだ。先生嬉しいぞ」
やめてくれ、筋肉おっさんに抱かれる趣味はない。
しばらく抜け出せないままになっていたのだった。




