迎撃
現状確認のために再度目を瞑り、生命探知を行う。
「ライフサーチ」
接近している魔獣、約1000体。
って多すぎるだろ。一人で対処するなんて無理。
シールド張るにしては広すぎる。大規模魔法で足止めするのがベターか。
使うなら山火事にならないように水魔法を使おう。
「おい、大丈夫か」
迎撃をするタイミングを待っていると先生方が10人ほどこちらに向かってきた。
その中で30才程度に見える男の人が話しかけてきた。
「はい。2匹いた魔獣は既に殺しました。あと3分程で約1000体の魔獣が来ます」
「まじかよ・・・。ライフサーチ。確認した。お疲れ様。お前は早く避難しろ」
「私は大規模魔法が使えるのでそれを一発使ってからでもいいですか?」
「大規模魔法が使えるのか。了解した。それなら守ってやるから早く準備しろ」
「わかりました」
大規模魔法は、学院の先生でも使える人は数人しかいない。少しは疑われるかと思ったが、飲み込みが早くて助かった。顔が知られていたのだろうか。先生方が周囲を警戒してくれている。
さて、構築開始。
「精霊よ、我の願いを聞きたまえ。全ては凍てつき、全ては止まる。全ての命は氷の中で安らかに眠りたまえ」
両手を前に突き出して、魔力を全力で前方に広げていく。これは精霊魔法で目に見えない精霊に魔力を与えて大規模な魔法を発動させるタイプのものだ。
「先生方、離れてください」
前方の安全を確認。
最後にトリガーワード。
「アイスブリザード」
前方に強風と共に吹雪が吹き荒れる。魔獣でも簡単には歩いてこれないだろう。
「すごいな、君は」
先ほどの男性教師が話しかけてくる。
「ありがとうございます。先生方は、避難誘導をお願いします」
「一人で任せるわけには」
「では、周囲警戒をしていただけますか」
「わかった。私が君を守る」
この人って誰なのだろう。なかなか気概のある人だ。
「あとどれくらい持ちそうか?」
「10分は大丈夫ですよ」
「さすがだな。それじゃ、他の教師は避難誘導を頼んだ。一人も死なせるんじゃないぞ」
「了解です。学院長」
・・・なんでいるんだ、学院長。
学院長だけが残って、他の教師は避難誘導に向かった。
「学院長だったんですね」
「ああ、そうだが。知らなかったのか」
「すみません」
「いいさ。私は、御影 義一だ。学院長と呼んでもらっても構わない」
「質問なんですが、なんで学院長がいらっしゃるのですか」
「たまには体を動かしたくてな。それに、今年は有望な新入生が多いみたいだから、一目見に来たわけだ。もちろん、雫くん。君も含まれているよ」
「私をご存知だったのですか」
「めぼしい生徒の名前は覚えているものさ」
そんな感じで、学院長と少し話をしていた。
「時に学院長」
「なんだね」
「なんで、学院長が魔法を使わないんですか」
「いい質問だ。それは私が身体強化魔法や小規模魔法の高速発動は得意だが、大規模魔法は不得意だからだよ」
「つまり肉弾戦専門だと」
「まあ、そうだな」
なにこの、魔法(物理)な人。魔法使いしろよ。
「なんで学院長になれたんですか」
「辛辣だな、君は。これでも全国魔法選手権の優勝者だぞ」
「それは凄いですね」
全国魔法選手権は、日本中の魔法使いが魔法を使って争う戦いであり、優勝者ということは日本最強の魔法使いと言える。
「基本的に魔法使いは近距離戦が不得意だからな。私みたいなのだと、典型的な魔法使いは簡単に倒せるのだよ」
「魔獣に対しても有効そうですね」
「もちろんだよ。ちなみに弾丸も弾けるぞ」
すごい。この人。
そんな風に話していたら、ぼちぼち10分が経とうとしていた。
「そろそろ魔力が切れそうです」
「1000体もの魔獣をこれだけの時間足止めできれば十分。あとは、俺に任せろ。お前は避難しろ」
「わかりました」
魔力が少し残っているところで、吹雪を止める。
すると、学院長は魔獣の群の方に高速で飛び込んでいった。
さすがは、魔法(物理)系魔法使い。
後はよろしくお願いします。




