見学
外が明るくなってきたころ、目が覚めた。
服を着替えてドームの外に出てみる。
朝特有の冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んでみる。
気持ちのいい朝だ。
のんびりするために、土魔法で椅子を作って空を眺める。
椅子は他の3人の分もついでに作っておいた。
澄み切った青が木々の間から覗いている。
何か飲み物でも作ろうかと思っていた頃、幹哉がドームから出てきた。
「おはよう、幹哉」
「おはよう」
挨拶を交わす。
「他の二人はまだ寝てる?」
「ああ。寝てる」
「昨日は大変だったからね」
「雫は早いんだな」
「習慣かな」
「そうか」
そんな風に言葉を交わす。
せっかくなので、昨日摘んできたハーブでハーブティーを2人分作る。
「はい。どうぞ」
「おお、ありがとう」
2人で朝の森を眺める。
「今日はどうする予定なんだ?」
「食料は、昨日のイノシシを氷魔法で凍らせたのが残っているし、今日はのんびりしようか」
「そういうのもありか」
「うん」
2人でハーブティーを飲む。ハーブの香りが心を落ち着かせる。
しばらくすると、明美と美晴が起きてきた。
「おはよう2人とも」
「おはようございます、雫さん」
「おはよう、雫」
その後、昨日作ったスープの残りをドームの中で皆で食べる。
そんな中、みんなに話しかける。
「もう私達は生活基盤ができたし、他の班の人たちに会いに行こうか」
このキャンプでは班ごとにある程度間隔を置いて拠点が作られていた。
「いいね。他の人たちに折角だから会いに行こう」
美晴が一番乗り気なようだった。
ということで、皆で他の班に会いに行く。
探すために生命探知すると近くに反応があった。
反応のある方向へ少し歩くと隣の班に会えた。
「おはよう。そっちはどんな感じ?」
見た感じだと、土でできた歪な形の拠点があるようだった。
「おはよう。こっちの班はね、住む場所はできたんだけど食料がなくて、水だけで凌いでるよ」
「それは、それは」
男の子が答えてくれた。
見ると、この班の人たちは少し疲れたような様子だ。
「狩猟とか採取に行かないの?」
「狩りには行ったけど動物を見つけられても逃げられちゃうし、採取は食べられるものが何なのかわからなくて・・・」
あー、これはダメなやつだ。少しアドバイスしてあげようか。
「生命探知使える子はいる?」
「2人いるよ。それで昨日狩りに行ってきた」
「闇魔法使える人はこの班いる?」
「一人いる」
「なら隠密魔法を自分たちにかけて動物を探してみるといいよ。動物から気づかれにくくなるから。それと、草や茂みに当たった時には音が立つから、音が立たないように気をつけるといいよ」
「なるほどね、ありがとう。頑張ってみるよ」
「頑張ってね」
食料を分けてあげてもいいのだが、それだとこのキャンプの意味がなくなってしまうからしない。先生たちからも食料は班ごとの自給自足が基本だと伝えられていたし。
今の班から離れ、他の班を探しに行った
生命探知をまた行い、反応のある方向に向かう。
すると穴があった。人は辺りに見えないので、地下にいるようだ。
穴に向かって声をかけてみた。
「おはよう。誰かいる?」
すると穴の中から女の子の声が聞こえてきた。
「いるよ。ちょっと待ってね」
少しすると穴の中から一人女の子が出てきた。
「ちょっと見学に来たんだけど中見てもいい?」
「いいよー。入って入って」
穴の中に入ってしばらく進むと開けた広い場所に出た。
「すごいな」
中は光魔法で明るく照らされていた。
椅子や机、ベッドや暖炉などの家具が土魔法で作られていた。
「なんで地下に作ったの?」
「男子達が秘密基地を作ろうっていう話になって、地下の方がロマンがあるだろって」
「火を焚いてるみたいだけど酸欠にならないの?」
「1時間ごとに私が風魔法で換気してるから大丈夫」
確かになんだかロマンがある気はするが、雨が降った時大丈夫なのか。
「雨降って来たらどうするの?」
「入り口は雨が入ってこないように多少工夫してるみたいだよ」
確かに入り口の穴は屋根があったし、段差もあったな。
「なんか問題とか起きてないの?」
「特にないね。昨日は鹿を狩ったり野草を採取して食べたし、隣の部屋にはお風呂もあるから快適だよ」
私たちの班並みに快適なようだ。何だこの班は。
「すごいねこの班」
「私の班は男子3人と私1人なんだけど、男子が全員土魔法使えたからヒートアップしたみたい。今も増築中。最終日までには地下要塞を作る予定みたいだよ」
何を目指してるんだこの班の男達よ。・・・なかなかいいじゃないか。頑張れ。
「だから姿が見えないんだね」
「そうだよ。私は土魔法使えないし、興味もないから一人でのんびりしてるの。私がやってることは料理と換気ぐらいだから楽ちんだよ」
男の子達の中に女の子一人なのになかなか強かだな。
少しその子と話した後に、私たちのドームに戻った。
「なかなか独創的な班だったな、今のは」
「そうだね」
「俺らも増築するか」
幹哉は興味をもったようだった。
いや、やらないからな。




