再生
意識を取り戻した。ふわふわ漂いながら、暖かな場所に私はいる。辺りは淡い光で満たされている。ここはいったいどこなのだろうか。そんなことを考えていると徐々に周りの世界が暗く、狭まってくる。そこでまた意識を失った。
次に気付いた時には、液体の中にいることに気がついた。そして目を開けると先ほど入ったのと同じカプセルにいるようだ。部屋中を満たしていた光はすでに消えていた。失敗したのかと思いながらカプセルを開くためにガラスに触れる。その時に目に入った自分の手がとても小さいことに気がつく。そのことに驚きながらも、液体が完全に抜けてカプセルが開く。
「おお。やったな、成功している。まさか上手くいくとは思わなかったがな。っと、声もかなり高くなっているのか。まあ子供であるしな」
自分の小さな手や高くなった声にテンションを上げながらカプセルから出て、自分の身体を見てみる。
「筋力は大丈夫そうだな。身体を動かすには十分だ。この辺は培養中に刺激を与えていたからな。それにしても目線が大分低くなったな。部屋がかなり広く見える。これは面白い」
ふと自分の出て来たカプセルの隣のカプセルに目がいく。
「これが元の私の身体か。大分不健康な生活をしていたからか、大分衰えてるな。まあ、38年お世話になった身体だからな、愛着もあったが、新しい身体になれて良かったな。最近足腰が痛くて動くのが辛かったから、それに比べるとこの身体は軽いことこの上ない。いやいや、成功してよかったものだな」
そんな風に郷愁に浸っていたのだが、身体が冷えてきているのを感じていた。
「さすがに裸は寒いな。姿鏡で全身をみてみたいし、クローゼットに行くか」
そう言うと、先ほど脱ぎ捨てた服のシャツだけを着て、研究室を後にする。
「シャツはぶかぶかだ。これだけでワンピースみたいだな。となると、持っている中で着れる服が全くないな。どうしたものか。それにしても前髪が邪魔すぎる。ハサミで切るか」
ぶかぶかのシャツだけを着て、屋敷の中を歩く。慣れない身体に戸惑いながらも子供のように大きく手を振りがら、顔は満面の笑みにあふれていた。これからの様々な生活に想いを馳せながら。




